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ビタミンE

ビタミンEアイコン

成分
10秒解説

ビタミンEは別名「若返りビタミン」と呼ばれ、高い抗酸化作用により体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助けるのが特徴です。しわ・たるみ予防、ホルモンバランスの調節、自律神経の安定、血行促進などの作用があります。

体内ではほとんど作ることができないため、食品からの摂取が必要。アーモンドや枝豆などの豆類や、鰻やぶりなどの魚介類に多く含まれているビタミンです。

こんなお悩み・健康効果に

  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • ホルモンバランスの調節
  • 自律神経の安定
  • 生活習慣病予防
  • エイジングケア
  • 抗アレルギー作用
  • がん予防
  • 動脈硬化予防
  • 関節痛・腰痛・冷え予防
  • 美肌
  • 更年期障害の予防
  • 生理不順の改善
  • 肩こり改善
  • 疲労回復

ビタミンEとは

ナッツ類、緑黄色野菜など植物性食品に多く含まれている脂溶性ビタミンで、
高い抗酸化作用があります。

ビタミンEは、ビタミンA、ビタミンCとともに「抗酸化ビタミン」と呼ばれ、高い抗酸化作用により活性酸素の働きを抑えている成分です。[※1]

油脂に溶けやすいという特徴を持ち、脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収されます。抗酸化作用が非常に強く、細胞膜を構成している不飽和脂肪酸や他の脂溶性成分を酸化障害から守るためにリン脂質中に存在しています。過酸化脂質の生成を抑制したり、血管を健康に保ったり、血液中のLDLコレステロールの酸化を抑制したりする役割を担っています。
また、細胞の酸化を防ぎ、細胞の健康維持を保っているため、老化抑制効果も期待できます。

ビタミンEの多くは体内で合成することができないため、食物から摂取することが必要です。食物から摂取したビタミンEは、タンパク質のボール(キロミクロン)に吸収されて運ばれていきますが、このときタンパク質が不足していると、このボールを作ることができずせっかく摂ったビタミンEが無駄になってしまうことも。
また、一緒に食べる脂質の量によっても吸収率が変わるので、ビタミンEを摂るときには、油脂やタンパク質をしっかり摂ることが大切です。

期待される効果・作用

エイジングケア

肌のシミやシワといった老化現象の原因のひとつである活性酸素。
活性酸素とは、通常の状態よりも活性化された酸素=酸化しやすい酸素のことで、呼吸によって体内に取り込まれる酸素の数%が活性酸素に変化します。[※2]
活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能としての働きをもつ重要な物質ですが、過剰に発生すると細胞を傷つけ、シミやシワなどの老化現象の原因に。ビタミンEは、その強い抗酸化作用で活性酸素からの攻撃(酸化)を防ぐ働きを担っているため、シミ・シワ予防をはじめとした総合的なエイジングケアへの効果が期待されている成分です。

ホルモンバランスの調節

ビタミンEは、脳下垂体や副腎といったホルモンを分泌する器官に作用して、女性ホルモンの分泌を促したりバランスを調整したりしてくれます。
特に更年期に多いホルモンバランスの乱れには有効で、ホルモンバランスが原因による体の不快な症状も改善します。

血行促進

肩・首筋のこり、のぼせ、冷え、手足の痺れといった症状は、末梢の血液循環が悪くなると起こります。ビタミンEを摂ることで血行が促進され、末梢の血行障害による症状をやわらげます。

動脈硬化予防

体内の中性脂肪やコレステロールが酸化すると、過酸化脂質と呼ばれる、人体にとって有毒な物質に変化します。それらの物質は血管壁や細胞膜を傷つけ、動脈硬化を引き起こしてしまうのです。
ビタミンEは体内の抗酸化剤として働くことにより、中性脂肪やコレステロールの酸化を抑え、動脈硬化になるのを予防します。

がん予防

活性酸素やフリーラジカルは炎症時に組織を障害する物質で、遺伝子を傷つけて発がん物質の生成に関与すると言われています。強い抗酸化作用をもつビタミンEを積極的に摂取することで、活性酸素やフリーラジカルの働きを抑えることができ、がん予防につながると言われています。

疲労回復

ビタミンEには血行を促進させる作用があるため、スピーディに酸素を体内行きわたらせ、疲労回復をサポートする働きがあります。さらにビタミンEがもつ抗酸化作用には、長時間の作業によって血液中に増加する乳酸やアンモニアなどの疲労物質を素早く消失させることによる、疲労回復を促す働きも期待できます。

こんな方におすすめ

ビタミンEは抗酸化作用を持つ若返りビタミンです。
活性酸素のダメージによるシミやシワ、動脈硬化、疲労の蓄積、がんなど体へのさまざまな影響を改善・予防する働きを持っています。
そのため、毎日元気に過ごしたい方、若々しい毎日を送りたい方、美容に気を使う方、日差しが気になる方、脂肪のとりすぎを気にしている方、タバコを吸う方、食品中のコレステロールが気になる方、疲労を感じているかたなどに適している栄養素です。

ビタミンEの必要摂取量は年齢によって異なります。食事摂取基準2015年版(厚生労働省)[※3]によると、ビタミンEの1日の摂取目安量は成人男性で6.5mg/日、成人女性では6.0mg/日です。
また、妊婦・授乳婦は、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量として想定される摂取量として、妊婦 6.5mg/日、授乳婦で7mg/日が、摂取量として設定されています。

考えられるリスク・
副作用

通常の食事で過剰になる心配はほとんどないと言われており、むしろ意識して摂取した方が良い栄養素の1つです。
ただし、サプリメントでビタミンEを大量に摂取すると、出血リスク(切り傷や怪我を負った際、血液凝固能が低下するため)や、脳内の重篤な出血リスク(出血性脳卒中)を増大させる可能性に加え、前立腺がんのリスクを増大させる可能性も示唆されています。
また、ビタミンEは慢性的な健康障害をもつ特定の成人の死亡リスクを上昇させる可能性もあります。健康な方の場合にはそのような問題はありませんが、持病がある方は注意が必要です。[※4]

ビタミンEを含む食べ物

ビタミンEは、ナッツ類や魚介類、緑黄色野菜などに多く含まれています。ビタミンEは熱や酸に強く壊れにくい栄養素なので、加熱調理にも適しています。料理での制約が少なく、取り入れやすいのが特徴です。

ビタミンEを含む主な食べ物(100gあたり)[※5]

・アーモンド…30.3mg
・らっかせい ピーナッツバター…4.8mg
・ひまわり油(ハイリノール・ミッドオレイック・ハイオレイック)…38.7mg
・オリーブ油…7.4mg
・うなぎ 養殖(生)…7.4mg
・すけとうだら たらこ(生)…7.1mg
・西洋かぼちゃ 果実(生)…4.9g
・赤ピーマン 果実(生)…4.3mg

ビタミンEは、摂取後すぐに活性酸素と結びつくことで、その効力を失ってしまいますが、このときビタミンCが一緒にあると、効力を失ったビタミンEをもう一度活性化させることができます。
この相乗効果を得るためには、アボカドのサラダやイカ焼きなど、ビタミンEが豊富な食材にレモンを添えるなどして摂取をすると良いでしょう。
また、ビタミンEは乳脂質と結合しやすく、体への吸収も良くなるため、牛乳やチーズ、アイスクリームなどと合わせて摂取するのも効果的です。

発見・研究の歴史

ビタミンEは、不妊治療の研究の過程で発見された成分です。
1820年に行われた実験で、脱脂粉乳で飼育されたラットが繁殖できなくなるという結果が発表されました。その後、1922年に当時発見されていたビタミン類を含む飼料で飼育すると繁殖しない個体になり、さらにレタスを与えると回復することを発見。このレタスに含まれる未知の物質(のちのビタミンE)をXと命名しました。
未知の物質だったXは、1924年にアメリカのキャサリン・ビショップによって、ビタミンE(tocopherol)と命名。
語源であるTocos(子どもを産む)+pher(力を与える)+ol(水酸基)を合わせて『Tocopherol(トコフェロール)』と呼ばれるようになりました。[※6]

ビタミンEに関する研究情報

【1】ビタミンEは免疫機能に関与しており、主に細胞のin vitro試験で示されているように、細胞シグナリングや遺伝子の発現調整、およびその他の代謝過程に関与していることが確認されています。
Traber MG. Vitamin E. In: Shils ME, Shike M, Ross AC, Caballero B, Cousins R, eds. Modern Nutrition in Health and Disease. 10th ed. Baltimore, MD: Lippincott Williams & Wilkins, 2006;396-411.

【2】自由な生活を営んでいる65〜102歳の高齢者を対象とした前向き・コホート試験で、食品あるいはサプリメントからビタミンEを3年間にわたり摂取し続けた結果、認知低下の低減に関連性が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12117360/

【3】ビタミンEの摂取、あるいはビタミンEサプリメントの摂取が、前立腺がん発生リスクに影響を及ぼすのかを複数の試験で検討。
29000人超の男性を対象とした前向き・コホート試験では、食事あるいはサプリメントからのビタミンE摂取と前立腺がんリスクに関連性は認められませんでしたが、喫煙者・禁煙者においては、1日400IU以上のビタミンE摂取により、進行性前立腺癌リスクが71%となり、リスク低減が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16478743/

参照・引用サイトおよび文献

※1「抗酸化ビタミン|厚生労働省e-ヘルスネット」
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html)

※2「活性酸素と酸化ストレス|厚生労働省e-ヘルスネット」
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html)

※3「日本人の食事摂取基準(2015年版)|厚生労働省」
(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf)

※4「ビタミンE|厚生労働省eJIM」
(https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html)

※5「ビタミンEの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団」
(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html)

※6「ビタミンEとは?|公益社団法人ビタミン・バイオファクター協会」
(https://vita-bio.org/whats-v-e.html)

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