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緑茶

成分
10秒解説

古くから日本人に親しまれている緑茶。チャノキと呼ばれる植物の葉や芽を用いた不発酵茶で、お湯や水を使って成分を抽出します。近年では緑茶に含まれるカテキンの健康効果・殺菌効果などに注目が集まっており、緑茶を使った飲料なども数多く開発・販売されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • コレステロール値を下げる
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • ストレス緩和
  • 免疫力向上
  • 肥満予防
  • 美肌
  • 生活習慣病予防
  • 歯周病・口臭の予防
  • ダイエット
  • リラックス

緑茶成分とは

抗ウイルス作用を持つカテキンを多く含むほか、
アミノ酸やビタミン類も同時に摂取できます。

独特のうま味、苦み、甘みを持つ緑茶は、日本人の生活になじみの深いお茶のひとつ。チャノキという植物の葉や芽を蒸して乾燥させてつくる不発酵茶で、発酵によって含有量が減少してしまうカテキンを豊富に含んでいるのが特徴です。

緑茶に含まれるカテキンはポリフェノールの一種で、緑茶独特の苦み成分。茶葉の中にはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類が含まれており、とくに若い茶葉の芽に多く含まれています。

また緑茶には、カテキンの他にもさまざまな成分が含まれています。そのひとつがアミノ酸で、これは緑茶のうま味成分。緑茶のアミノ酸はその大半がテアニンと呼ばれるもので、最初に摘み取られる一番茶にとくに多く含まれているのが特徴です。

その他にも緑茶にはカフェイン、サポニン、フッ素、ビタミン、カリウム、カルシウム、リン、マンガン、クロロフィル(葉緑素)などが含まれています。とくにビタミン類は、ビタミンC、ビタミンB2、葉酸、βカロテン、ビタミンEとさまざまな種類が含まれており、その含有量も多くなっています。

期待される効果・作用

インフルエンザの予防効果

緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキン。このカテキンは抗ウイルス作用を持っており、風邪やインフルエンザなどから体を守ってくれます。インフルエンザウイルスはA型・B型などに分類されますが、10~40年の周期で新型インフルエンザウイルスが現れるのが特徴。茶製品を取り扱う株式会社伊藤園では、新型インフルエンザウイルスに対して緑茶成分が有効であるかどうかを調査しました。

伊藤園と静岡県立大学薬学部の鈴木隆教授による共同研究では、緑茶に含まれるカテキンのひとつであるエピガロカテキンガレートを用いて研究を実施。2009~2010年に流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1型)に対する感染抑制力を調べたところ、インフルエンザの感染抑制が確認されました。このことから、緑茶にはインフルエンザを予防する効果があると考えられます。[※4]

コレステロール値の改善

緑茶に含まれるカテキンには、血液中のコレステロール値を改善する効果があるとされています。血中コレステロール値が高い人が朝食・夕食時に約200㎎のカテキン飲料を摂取したところ、2ヶ月後には血中コレステロール値が低下してきたという報告があります。しかもコレステロールには善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)がありますが、数値が下がったのは悪玉コレステロールのみ。善玉コレステロールの数値には影響がありませんでした。[※5]

むし歯・口臭の予防効果

歯の表面に細菌のかたまりである歯垢(プラーク)が付着し、その細菌による酸がエナメル質を溶かすことで起こるむし歯(う蝕)。歯垢が付いたままの状態だったり、むし歯が放置されている状態だと口腔内に細菌が繁殖し、口臭の原因にもなります。

緑茶のカテキンには抗菌作用があるため、緑茶を飲むとむし歯や口臭の原因となる細菌を減らすことができます。また緑茶に含まれるフッ素には歯質を強くする働きがあるため、歯を丈夫にしてむし歯を予防する効果も期待できるでしょう。さらに、抗菌・消臭作用に優れたクロロフィル(葉緑素)も含まれているため、緑茶を飲むことは口腔ケアに有益であると考えられます。

リラックス効果

緑茶のテアニンはアミノ酸のひとつで、うま味や甘味の成分。テアニンには副交感神経を優位にし、心と体をリラックスさせるという効果があります。テアニンを摂取すると、癒し効果を得られているときに出るアルファ波という脳波が増加。また、ストレスによる自律神経の乱れを整える働きもあるとされています。

美肌効果

緑茶にはさまざまなビタミンが含まれていますが、とくに豊富なのがビタミンC。その含有量は赤ピーマンの1.5倍、ホウレンソウの3~4倍と言われています。ビタミンCは高い抗酸化力を持つ成分で、シミ、しわ、たるみの原因となる活性酸素を除去する働きを持っています。また、コラーゲン生成を促してハリのある肌作りをサポートするという効果もあります。

こんな方におすすめ

緑茶にはカテキン、ビタミン、ミネラルといったさまざまな栄養素が含まれており、その効果も高いものとなっています。まずおすすめしたいのは、風邪やインフルエンザなどにかかりやすい人。緑茶のカテキンには抗菌・抗ウイルス作用があるため、こまめに飲むことで風邪やインフルエンザへの罹患を防ぐことができると考えられます。

コレステロール値が気になる人、脂肪の吸収を抑えてダイエットに役立てたい人にも良いでしょう。健康診断などでメタボリックシンドロームを指摘された人などは、緑茶成分の恩恵が期待できます。また、歯質が弱くむし歯になりやすい人、口臭を防いで爽やかな息を保ちたい人、ストレスが多く心を落ち着かせたい人にもおすすめです。

緑茶そのものに摂取目安量や上限目安量は設けられていませんが、緑茶に含まれるカフェインには多少注意が必要です。 日本ではカフェインについての摂取許容量はとくに設定されていませんが、エナジードリンクを多用して死亡した男性がカフェイン中毒死だったとの報道もあり、カフェインの過剰摂取には注意が必要であると農林水産省も注意喚起を行っています。[※8]
アメリカでは、保健福祉省(DHHS)及び農務省(USDA)が発表した2015年度の栄養ガイドラインでは、健康な大人の場合は、1日当たり3~5カップ又は1日当たり400 mgまでのカフェイン摂取なら、心血管疾患などのカフェインによる慢性的毒性のリスクは増加しないとのことです。[※8]

なお、せん茶(浸出液 ※浸 法:茶葉10 g、90℃湯430 mL、1 分)に含まれるカフェイン濃度は0.02 g/100 mL(=20 mg/100 mL)ですので、よほどの過剰摂取をしなければ大丈夫でしょう。[※9]

考えられるリスク・
副作用

日本で1,000年以上にわたって親しまれてきた緑茶。気になる副作用ですが、家庭で楽しむお茶やペットボトルの茶飲料で副作用が起こることはないとされています。ただし、緑茶に含まれるカフェインによって不眠、動悸、吐き気などの症状を催すこともあるため、飲みすぎには注意しましょう。また、何かしらの薬を常用している人が高濃度カテキン飲料やサプリメントを利用する際は、リスク回避のためにも事前に医師へ相談することをおすすめします。

成分を上手に摂取するには

緑茶には苦み成分のカテキンや、うま味成分のアミノ酸などが含まれており、淹れ方によって抽出される成分の量が異なります。そのため、どのような効果を得たいかで淹れ方を変えることが重要です。

まずカテキンの抗酸化力を期待するなら、高温で抽出するのが適しています。緑茶のカテキンは高温であるほどよく抽出されるという特徴があるため、使用するお湯の温度は70~80℃が良いでしょう。とくに緑茶にしか含まれていないとされるエピガロカテキンガレートは、お湯の温度が高いほど抽出量が多くなるため、80℃以上のお湯を使うのが好ましいです。

緑茶のリラックス効果を期待するなら、テアニンをはじめとするアミノ酸が溶け出しやすい低温での抽出がおすすめ。お湯の温度は50~60℃ほどが目安です。水出しの緑茶でもテアニン量が多くなります。

発見・研究の歴史

緑茶の歴史は古く、日本にもたらされたのは奈良・平安時代と言われています。遣唐使や、行基、永忠、空海、最澄といった留学僧が中国の唐からお茶の種を持ち帰り、栽培が始まりました。緑茶については平安時代初期に編纂された「日本後記」にも登場しており、僧の永忠によって煎じられた緑茶が嵯峨天皇にふるまわれたというエピソードが記されています。

15世紀後半になると侘茶(わびちゃ)という茶道のもととなった文化が生まれ、のちに茶の湯として千利休らによって広められました。江戸時代には日本ならではの煎茶が生まれ、武家だけでなく庶民も緑茶を楽しむようになっています。

現代では家庭で淹れる緑茶はもちろん、さまざまなペットボトル飲料の緑茶が手軽に手に入るようになり、老若男女問わず親しまれ続けています。

緑茶成分に関する研究情報

【1】がんや循環器疾患を持たない40~69歳の男女約9万人を、約19年にわたり追跡調査。その結果、1日1杯の緑茶を飲む人を基準にした場合、飲用する量が増えるほど死亡リスクが低くなることが明らかになりました。
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3526.html

【2】健常な20歳以上の成人男女で、血清総コレステロール値が高い(180~260mg/dl)60名を対象とした研究。その結果、12週にわたってガレート型カテキン配合飲料を1日2本摂取したグループは、総コレステロール値・LDLコレステロール値の有意な低下が認められました。
https://www.itoen.co.jp/company/research/report01/

【3】テアニン含有量の高い緑茶抹を充填したカプセルを、1年にわたり高齢者に1日12カプセル(テアニン量約47.5㎎)摂取してもらったところ、改訂長谷川式簡易知能評価スケールを用いた認知症テストでテアニン摂取群のみ特典の改善が見られました。
https://www.itoen.co.jp/company/research/report07/

参照・引用サイトおよび文献

※1 「お茶の成分と健康性(お茶百科)│株式会社伊藤園」
(URL:http://www.ocha.tv/components_and_health/

※2 「気になる体脂肪に緑茶カテキンの効果とは(お茶百科)│株式会社伊藤園」
(URL:http://www.ocha.tv/components_and_health/column/column04/

※3 「「緑茶」を飲みすぎると、「カフェイン」の過剰摂取になりますか?(お客様相談室)│株式会社伊藤園」
(URL:https://www.itoen.jp/customer/faq/detail.php?id=131

※4 「レポート03緑茶成分によるインフルエンザ予防~新型インフルエンザの感染も抑制~│株式会社伊藤園」
(URL:https://www.itoen.co.jp/company/research/report03/

※5 「お茶の成分と健康性 血中コレステロールの低下│株式会社伊藤園」
(URL:http://www.ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/catechin/cholesterol/

※6 「テアニンの機能性~特に向精神作用について~│太陽化学株式会社」
(URL:https://www.taiyokagaku.com/lab/column/07/

※7 「長くて短い日本茶の歴史。抹茶と煎茶のルーツと発展を辿る│煎茶堂東京」
(URL:https://shop.senchado.jp/blogs/tea_life/tea-history-matcha-sencha

※8 「カフェインの過剰摂取について│農林水産省」
(URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html#other%20countries

※9 「資源調査分科会報告「日本食品標準成分表2010」について│文部科学省」
(URL:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1298713.html

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