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ルテイン

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成分
10秒解説

アントシアニンやアスタキサンチンと同様、眼の健康に役立つ成分として注目されているのがルテインです。ルテインは高い抗酸化作用を持ち、ブルーライトから目を保護したり、加齢に伴う眼疾患を予防したりといった効果が期待されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • ブルーライトによる網膜ダメージの軽減
  • 加齢性黄斑変性症の予防
  • 白内障の予防
  • コントラスト感度の改善
  • 美肌効果

ルテインとは

優れた抗酸化作用で目の健康をサポートする成分

ルテインはカロテノイドの一種です。カロテノイドは植物などに存在する黄色~赤色の色素で、強い抗酸化作用を有する物質です。植物が光合成を行うのに必要な物質であるため、すべての植物の葉などに含まれています。[※1]

ルテインは、カロテノイドのうち「キサントフィル類」に分類される物質です。カロテノイドには他に「カロテン類」があり、代表的なものにはβカロテンやリコピンなどがあります。

ルテインとよく似た化学構造を持つ物質に「ゼアキサンチン」があります。ゼアキサンチンもカロテノイドの一種で、ルテインよりも若干赤身の強い色味を呈します。[※2]ゼアキサンチンとルテインは、人体では眼の水晶体や網膜、特に黄斑に多く存在していることが分かっています。そのため、これらの物質は眼の健康に重要な役割を果たす成分であると考えられています。[※3]

期待される効果・作用

ブルーライトによる網膜ダメージの軽減

ルテインは、パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明などから発せられる「ブルーライト」から目を保護する働きがあります。

可視光線のなかでも、波長が短くエネルギーが強いのがブルーライトの特徴です。さらに、ブルーライトは目の角膜や水晶体を通り越して、眼球の一番内側にある網膜まで届くため、目の病気の可能性も指摘されています。[※4]ルテインには、このブルーライトを吸収し網膜のダメージを軽減する効果が期待できると考えられています。

加齢性黄斑変性症の予防

ルテインを摂取することで、加齢に伴う眼の病気のひとつ「加齢性黄斑変性症」を予防する可能性があることが示唆されています。[※5]

加齢性黄斑変性症は、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害が生じ視力低下を来す病気です。ルテインは特に黄斑部に多く存在しているため、ルテインを補うことでこの病気の予防や改善につながるとわれているのです。

白内障の予防

白内障も加齢に伴う眼の病気のひとつですが、ルテインは白内障の予防にも役立つと考えられています。

白内障の危険因子の一つとして考えられているのが活性酸素[※6]。強い抗酸化作用を持つルテインを摂取することで白内障の予防にもつながるといわれています。[※3]

コントラスト感度の改善

ルテインには、コントラスト感度を改善する作用があるといわれています。[※3]

コントラスト感度とは、物の輪郭や色の濃淡を判別する能力のこと。コントラスト感度が低下すると、物がぼやけて見えるようになってしまいます。ルテインには、このコントラスト感度を改善させる作用が期待できます。

美肌効果

ルテインは、眼への効果だけではなく肌にも良い作用をもたらすとされています。経口摂取と外用を併用することにより、皮膚を紫外線から守り水分量や弾力性などを改善させることが分かっています。

こんな方におすすめ

ルテインは、眼の健康に気を配りたい方におすすめの成分です。近年、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の普及により、ブルーライトによる疲れ眼や眼病の発症が問題になっています。ルテインにはブルーライトから目を保護する作用が期待できるため、長時間パソコンに向かうような仕事を持つ方にはぴったりの成分であるといえるでしょう。

また、加齢による眼の症状改善や眼病の予防をしたいという方にも効果が期待できる成分であるといえます。

現在、ルテインには摂取目安量・上限目安量などの食事摂取基準は設けられておらず、眼の健康維持のためには、1日当たり6~10mg程度の摂取が有効であると考えられています。[※3]

また、食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)においては、ルテインとゼアキサンチンの1日摂取許容量(ADI:生涯を通じて毎日摂取し続けたとしても健康被害が出ないと推定される体重1㎏当たりの物質量)を0~2mg/㎏/日と設定しました。このことを踏まえると、体重60㎏の方のルテインとゼアキサンチンのADIは、120mg/日であるということになります。[※2]

加齢性黄斑変性症のような眼病予防のためにはルテイン10mg/日、ゼアキサンチン2mg/日を摂取することが有効であるとの報告も出されています。[※2]

考えられるリスク・
副作用

βカロテンやクリプトキサンチンなど、カロテノイドの一部はプロビタミンAとしてビタミンAに変換されます。しかし、ルテインなどビタミンAに変換されないカロテノイドは体内に蓄積され、抗酸化作用など効果を発揮します。また、ルテイン(カロテノイド)が脂溶性の成分であることも体内に蓄積される理由のひとつです。

現時点では、体内への過剰蓄積による重篤な健康被害の報告はありませんが、安全性などに関しては今後の研究成果を待つ必要もあります。[※5]

サプリメントからルテインを摂取しているという方も増えてきていることから、過剰摂取が健康被害につながらないよう、1日当たりの摂取目安量を守って利用しましょう

なお、ルテインの欠乏症や医薬品との相互作用についても現時点では報告されていないようです。[※2][※5]

ルテインを含む食べ物

普段よく食べられている食材のなかでは、ブロッコリーやほうれん草、小松菜、チンゲン菜、しそなどの緑黄色野菜などに多く含まれています[※7]。青汁の原料としても知られるケールには、より多くのルテインが含まれています。

脂溶性の色素であるルテインは、肉・魚・卵など脂質を多く含む食材と一緒に摂ったり、炒め物など油を使って調理したりすることで吸収効率を高めることができます

なお、ルテインと同様に眼の健康に貢献する成分として「アスタキサンチン」や「アントシアニン」があります。アスタキサンチンはルテインと同じカロテノイドの一種、アントシアニンはポリフェノールの一種で、どちらも高い抗酸化作用を持つ眼に良いとされている成分です。

発見・研究の歴史

ルテインの発見は、にんじんからカロテンが抽出された1830年代に遡ります。同時期に紅葉した葉からキサントフィルが抽出されましたが、これがルテインに相当する物質だったようです。

その後、1930年代にはカロテン類のβカロテン、リコピンなどの構造が明らかにされるとともにキサントフィル類のルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンなどの構造も次々明らかにされてきました。[※8]

現在では、ルテインが網膜の黄斑部に多く存在していることから、ルテイン・ゼアキサンチンなどが加齢性黄斑変性の予防や進行抑制につながることが注目されています。眼の健康のためにルテインをサプリメントで補うこともひとつの手段となっていますが、その有効性や安全性の確立には、今後のさらなる研究が必要です。

ルテインに関する研究情報

【1】ルテインとゼアキサンチンは青色光のフィルターとして働いたり、抗酸化物質として過酸化脂質や活性酸素を除去したりすることで、網膜を保護する作用があると言われています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15604618/

【2】ルテインとゼアキサンチンを十分に摂取することで、加齢による白内障のリスクを軽減できる可能性が示唆されています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22194644/

【3】ルテインやゼアキサンチンは、青色光による網膜色素上皮細胞の炎症反応を調節することで、加齢性黄斑変性症のリスクを抑えることに役立つと考えられています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22732187/

【4】健康な人における、ルテインとゼアキサンチンを豊富に含む食品およびサプリメントの摂取は、黄斑色素量を改善する可能性があると考えられています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22313522/

【5】ルテインを経口投与した場合、局所投与した場合よりも紫外線照射後の皮膚において優れた保護効果が得られる可能性があります
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17446716/

参照・引用サイトおよび文献

※1 カロテノイド|花き研究所|国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
(URL:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/flower/kiso/color_shikiso/contents/carotenoid.html

※2 【PDF】橋本 正史 「機能性表示食品におけるルテインとゼアキサンチンの科学的根拠」|ファルマシア 52巻 6号 534頁
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/52/6/52_534/_pdf

※3 【PDF】河口 良子 「ルテインとその機能性」|Vitamins(Japan),89(11),537−539 (2015)
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/89/11/89_KJ00010091115/_pdf/-char/ja

※4 ブルーライトってなに?|一般社団法人 町田市医師会
(URL:https://www.machida.tokyo.med.or.jp/?page_id=3321

※5 【PDF】厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ビタミン(脂溶性ビタミン)
(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586561.pdf

※6 白内障 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-039.html

※7 ルテインを多く含む食べ物・食材23選!野菜や果物の含有量はどれくらい?|メノコト(株式会社わかさ生活)
(URL:https://menokoto365.jp/163/

※8  眞岡 孝至 「天然カロテノイドの分析と構造研究」|オレオサイエンス第12巻第10号(2012)485-494
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/12/10/12_485/_pdf

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