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クルクミノイド

成分
10秒解説

クルクミノイドとは、スパイスのターメリックに含まれるポリフェノール化合物。クルクミノイドの主要成分がクルクミンで、鮮やかな黄色を示す天然の色素成分となっています。近年ではさまざまな健康効果が認められ、食用だけでなくサプリメント成分としても注目されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • コレステロール値を下げる
  • 美肌
  • 歯周病・口臭の予防
  • 心臓疾患の予防
  • 肝機能アップ
  • 二日酔い予防

クルクミノイドとは

抗酸化作用・肝機能に関する機能性が報告されている
ポリフェノール化合物です。

クルクミノイドは、ターメリック(ウコン)の黄色のもととなっているポリフェノール化合物。
クルクミノイドには、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミンなどの種類がありますが、なかでも最も活性が高いと考えられているのがクルクミンです。

鮮やかな黄色が特徴的で、インドでは古くからカレーのスパイスとして利用されてきました。日本の食品にもクルクミノイドは利用されており、たくあん、練り物、栗の甘露煮などに天然色素として使われています。

クルクミノイドは脂溶性の物質で、水にほとんど溶けないのが特徴。体内に取り込んでもほとんど吸収されず、体外へ排出されてしまいます。しかし、さまざまな研究で、クルクミノイドには抗酸化作用・肝機能に関する機能性が報告されています。有用性は報告されているのに、体内でどのように吸収・代謝されているのかはまだ明確になっていません。

期待される効果・作用

肝機能を高める効果

クルクミノイドの主成分であるクルクミンには、肝機能を高める効果があるといわれています。肝臓には体内の毒素を分解する解毒機能がありますが、クルクミンはこの機能に関与。さらに、消化酵素を含む胆汁の分泌を促すといった働きもあるとされています。ハウスウェルネスフーズの研究によると、ウコンに含まれるクルクミンとビサクロンという成分を同時に摂取することは、健康な人の肝臓機能の指標となる酵素値(GOT、GPT)を改善するとしています。[※4]

歯周病の予防効果

歯や歯ぐきの健康をおびやかすだけでなく、認知症や糖尿病といった病気を引き起こすとされる歯周病。この歯周病の原因菌に、クルクミノイドのひとつであるクルクミンが効果を発揮することが分かりました。歯周病菌にはさまざまな種類がありますが、その中でも毒性が強いとされているPg菌(Porphyromonas gingivalis:ポルフィロモナス・ジンジバリス)。クルクミンは、このPg菌の増加を防ぐとされています。しかも、口腔内の善玉菌には影響せず、Pg菌のみを減らすのがクルクミンの特徴です。

二日酔いの予防

二日酔いの原因となるのは、アルコールの分解過程で生成されるアセトアルデヒドという物質。このアセトアルデヒドが血液中に長時間留まると、その毒性によって二日酔いの症状が現れます。クルクミンには、アセトアルデヒドの代謝を促す胆汁の分泌を促進する作用があるため、二日酔いの予防に役立つとされています。

コレステロール値低下効果

ポリフェノール化合物であるクルクミノイドには、その他のポリフェノールと同じくコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされています。悪玉コレステロールは動脈硬化の原因となるものですが、クルクミンはコレステロール値の上昇を抑え、悪玉コレステロールの酸化を防ぐことが動物実験でも明らかになっています。[※2]

心臓の健康維持効果

クルクミンには、心臓の健康維持に役立つ働きがあることも報告されています。ニュージーランドシロウサギに、通常食・高コレステロール食+0.2%クルクミン・高コレステロール食を与えたところ、クルクミンが含まれるエサを食べたウサギのコレステロール値は、高コレステロール食のウサギに比べて総コレステロール・LDLおよび酸化LDLコレステロールの減少が認められました。[※2]

美肌効果

ポリフェノールのひとつであるクルクミノイドには、老化の原因となる活性酸素を抑制する抗酸化作用があります。紫外線を浴びる活性酸素が増えますが、それは炎症反応を引き起こすとされるNF-kB(NFカッパービー)というタンパク質が活発化するためといわれています。クルクミンにはこのNF-kBの活性を抑える作用があるため、炎症が起きにくくなり、活性酸素による細胞へのダメージを減らすことができると考えられます。

がん予防効果の期待

クルクミンにはがん細胞の細胞死(アポトーシス)を誘発し、がんを予防する効果が期待できるのでは、と考えられています。動物モデルにクルクミンを経口投与した実験では、口腔がん、胃がん、肝臓がん、大腸がんなど、化学的に誘発されるがんの発症が抑制されることが分かっています。[※1]
しかし、クルクミンの摂取がヒトのがんリスク低下に関与しているというエビデンスはまだ明確になっていません。

こんな方におすすめ

ウコンに含まれるクルクミノイドは、肝機能の改善に効果を発揮するといわれています。そのため、「お酒をよく飲む人」「肝臓の健康を保ちたい人」「二日酔いになりやすい人」におすすめの成分です。また、肝臓の健康は美しい肌づくりにも役立つため、老化予防を目指している人も摂取を心がけるとよいでしょう。

安全基準については、クルクミノイドの主成分であるクルクミンについてのデータがあります。クルクミンは、国際機関JECFA が1日の摂取許容量(ADI)を3mg/kgと設定しました。[※6]これに基づくと、体重50㎏であれば1日150㎎のクルクミンが摂取許容量ということになります。また、一般的に流通しているクルクミンが含まれた健康食品などを見ると、その多くが1日あたり30㎎のクルクミンを摂取できるようになっていました。

考えられるリスク・
副作用

クルクミンは安全性の高い成分であると考えられていますが、大量摂取や医薬品との相互作用については注意が必要です。アメリカでは、乾癬患者12名が4.5gのクルクミンを12週間連続で摂取したところ、そのうちの3名に症状の悪化が見られました。[※7]韓国では、1日3~4.5gのターメリック(ウコン)を1ヶ月以上摂取した際に、副作用が見られたという報告もあります。[※8]

医薬品との相互作用については、肝機能障害、C型肝炎、アルコール性脂肪肝といった疾患を持つ人や、それに関する医薬品を服用している人はクルクミンを避けたほうがよいといわれています。また、クルクミンには血行促進作用があるため、血液凝固剤(ワーファリン、アスピリンなど)との併用も避けるべきでしょう。

クルクミノイドを含む
食べ物

クルクミノイドはウコンに多く含まれています。ウコンには「春ウコン」「秋ウコン」「紫ウコン」などいくつかの種類がありますが、クルクミンをもっとも多く含むとされているのは秋ウコン。実はターメリックと呼ばれるのは秋ウコンのみで、その他のウコンは別の植物になります。

今は生ウコンを購入することもできますが、スーパーなどで日常的に入手するのは難しくなっています。着色料としてたくあん、練り物、カレー粉、パエリア、和菓子などにも含まれていますが、その量はごくわずかです。

そのため、クルクミノイドを効率よく摂取したいなら、サプリメントや健康食品を利用するのがベター。こういった製品を利用する場合は、吸収率を高める工夫がなされた「還元型」「高吸収型」の製品を選ぶようにすると良いでしょう。

発見・研究の歴史

クルクミノイドを豊富に含むターメリック(秋ウコン)は、インドや中国で古くから薬として用いられてきました。インドではアーユルヴェーダの治療薬、中国では漢王朝の時代から漢方薬として用いられてきたという歴史を持ちます。

日本にウコンが入ってきたのは平安時代の沖縄(琉球王国)で、そこから全国に広まっていったといわれています。とくにウコンの肝機能向上効果・美肌効果は、伝承医療として現代にも伝えられています。

ウコンの研究については、1990年にアメリカ国立がん研究所(NCI)によってがんの予防の可能性があるデザイナーズフーズリスト」が発表され、これにウコンが含まれていたことから注目度がアップ。ウコンの抗酸化成分であるクルクミンの研究に力が入るようになり、近年ではがん予防効果についても示唆されています。

クルクミノイドに関する研究情報

【1】大阪大学歯学研究科の研究によると、5ppm以上のクルクミンが歯周病の原因菌であるPg菌の増殖や、細菌の集合体であるバイオフィルムの形成を抑制することが明らかになりました。
https://www.saraya.com/research/saisei/curcumin.html

【2】ウコンの主成分であるクルクミンには、白血球のひとつであるマクロファージにおける悪玉コレステロールの取り込みを阻害すると共に、大動脈のコレステロールを排出する組織(ABCA1、ABCG1)の機能促進が確認されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22648616/

参照・引用サイトおよび文献

※1「クルクミン│日本微量栄養素情報センター」
(URL:https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%80%A7%E5%9B%A0%E5%AD%90/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E6%80%A7%E5%8C%96%E5%90%88%E7%89%A9/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%9F%E3%83%B3

※2「クルクミン│日本食品機能研究会」
(URL:https://www.jafra.gr.jp/curu.html

※3「歯周病の予防や美肌に効果:スーパー成分「クルクミン」に注目!」
(URL:https://media.karakoto.com/health/En9Nj

※4「クルビサ紹介ページ│ハウスウェルネスフーズ」
(URL:https://curbisa.house-wf.co.jp/

※5「ウコンのクルクミンによる美肌効果とは?美肌になれるウコンの美容法3選│コスメディ製薬株式会社」
(URL:https://cosmedy.jp/quanis/blog/column/1943/

※6「ウコンエキスの安全性│ウコン研究所」
(URL: https://ukonken.jp/future/03.html)

※7「Oral curcumin in the treatment of moderate to severe psoriasis vulgaris: A prospective clinical trial|National Center for Biotechnology Information」
(URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18249471/)

※8「Transient complete atrioventricular block associated with curcumin intake」(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19892416/)

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