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コエンザイムQ10

コエンザイムQ10アイコン

成分
10秒解説

サプリメントの成分として有名なコエンザイムQ10は、エネルギー代謝に関わる補酵素として体内のミトコンドリアに存在しています。体内のエネルギー産生のほか、活性酸素を取り除き老化防止に役立つ「抗酸化作用」を持つ成分です。

こんなお悩み・健康効果に

  • 老化予防
  • 疲労の軽減効果
  • 心臓機能を正常に保つ

コエンザイムQ10とは

体の内面から若々しさを保つことに役立つ注目の成分

厳密にはビタミンとは別の成分分類されるものの、ビタミンと似た生理作用を持つ「ビタミン様物質」の一つがコエンザイムQ10。「ユビキノン」とも呼ばれるコエンザイムQ10は、脂溶性の特徴を持つ成分です。[※1]

コエンザイムQ10は細胞のミトコンドリア内に存在し、生命活動のエネルギー源となる「ATP(アデノシン3リン酸)」の産生のために働く補酵素です。エネルギー産生をスムーズに行うことに関わる成分であるため、疲れにくい体づくりに役立っているとされています。

体内でも合成されますが、加齢やストレスなどにより体内の活性酸素が過剰になると、コエンザイムQ10の必要量が増すといわれています。これは、コエンザイムQ10が活性酸素から体を守るための抗酸化作用を持つためであるといえるでしょう。

過剰産生された活性酸素は細胞の老化を引き起こします。この活性酸素を除去したり働きを抑えたりするコエンザイムQ10はビタミンA、C、Eの抗酸化ビタミンやカロテノイド類、ポリフェノール類などの抗酸化物質とともに、非常に重要な役割を担う成分であると考えられます。

コエンザイムQ10は機能性表示食品の成分としても知られており、日常生活で生じる身体的な疲労感を軽減する作用が期待されています。

期待される効果・作用

老化予防

コエンザイムQ10は、体内に過剰発生した活性酸素を取り除く抗酸化作用を持つ成分として、老化を予防することに役立つとされています。

活性酸素は、過剰産生や酸化ストレスによる老化やがん、生活習慣病の発症と関連があるといわれています。また、紫外線による肌の老化、つまり肌の弾力やハリの喪失、シミ・シワの発生にも関与しています。

コエンザイムQ10は、活性酸素から体を守ることで病気を予防したり、肌の若々しさを保ったりしてくれる成分であるといえるでしょう。

疲労の軽減効果

コエンザイムQ10はエネルギー産生において重要な役割を担っていることから、疲労を軽減する作用が期待できるといわれています。

細胞のミトコンドリア内で、エネルギー源となるATPの産生に関わる成分として必要不可欠なのがコエンザイムQ10です。そのため、コエンザイムQ10を補うことは私たちが活動するためのエネルギーの産生をスムーズにし、疲れにくい体づくりに役立つと考えられています。

心臓機能を正常に保つ

コエンザイムQ10は体内でも合成される成分で、心臓などに多く存在しています。そのため、全身に血液を送るポンプ機能など、心機能を正常に保つ作用があると考えられています。[※3]

こんな方におすすめ

コエンザイムQ10は体内で合成されますが、加齢に伴い合成量が減少していきます。[※2]そのため、加齢による日常生活の疲労感や肌の衰えが気になっている方は、コエンザイムQ10を補うことで症状の改善が期待できる可能性があります

また、慢性的なストレスを抱えている方も、コエンザイムQ10を摂取することで体の不調が改善される可能性があります。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」では、コエンザイムQ10の摂取目安量や上限量などについての基準は設けられていません。

一方、欧米ではサプリメントなどから1日100~300mgのコエンザイムQ10が摂取されていますが、体内への吸収については個人差が大きいようです。[※2]

コエンザイムQ10体内で合成される成分であり、長年利用されてきた経緯もあることから安全性は高い成分であることが考えられます。[※2]

しかし、厚生労働省は医薬品として用いられている成分がサプリメントなどとしても用いられている場合、医薬品に用いられる量を超えないよう注意喚起をしています。コエンザイムQ10は、医薬品として1日30mgの用量で承認されているため、この量を目安に摂取するのが適切であると考えられます。[※4][※5]

考えられるリスク・
副作用

コエンザイムQ10の摂取において、重篤な副作用の報告はないようです。

ただし、厚生労働省では、医薬品として承認されている成分をサプリメントなどのいわゆる健康食品に用いる場合は、承認された用量を超えないように摂取すべきであるとしています。

日本で承認されたコエンザイムQ10の医薬品としての用量は1日あたり30mgですが、サプリメントなどでは1日当たりの摂取目安量が30mgから300mgとさまざまな製品が販売されているようです。そのため、医薬品として承認された量を超えるコエンザイムQ10をサプリメントから摂取する場合には、体調の変化などに注意する必要があります。気になる症状が現れた場合はただちに使用を中止し、状況に応じて医療機関を受診するなどの対策を取りましょう。

コエンザイムQ10を含む食べ物

コエンザイムQ10は、人間を含む動物の細胞に含まれる成分です。イワシやサバなどの魚類や豚肉、牛肉、鶏肉などの肉類に多く含まれています。[※3]

コエンザイムQ10は脂溶性の成分で、イワシやサバは比較的脂の多い魚であるため、これらの食材に含まれるコエンザイムQ10は、比較的良く吸収されると考えられます。肉類に関しては適度に脂のある部位を摂取したり、脂の少ない部位は調理の際に油を使ったりすることで吸収が高められる可能性があります。

また、抗酸化ビタミン(ビタミンA、E、C)とコエンザイムQ10を一緒に摂取することで、より抗酸化作用が高まるとも考えられます。ビタミンA、ビタミンEはコエンザイムQ10と同じ脂溶性のビタミンですが、ビタミンCは水溶性ビタミンです。水溶性ビタミンは熱に弱く水に溶けやすい性質があるため、ビタミンCを含む食材は生で摂取したりスープにしたりするなど、効率よく摂取する工夫をしてみましょう。

  • ビタミンAを多く含む食品……緑黄色野菜、うなぎ、レバーなど
  • ビタミンEを多く含む食品……ナッツ類、植物性油、かぼちゃなど
  • ビタミンCを多く含む食品……レモン、いちご、ブロッコリー、ピーマンなど

発見・研究の歴史

1955年アメリカのCraneらのグループは、ウシの心臓から「コエンザイムQ10」という物質を抽出しました。同年イギリスのMortonらのグループはブタの肝臓から「ユビキノン-10」を発見しましたが、その後の報告により「ユビキノン-10」と「コエンザイムQ10」は同一の物質であることが分かりました。その後1958年には、Folkersらがその構造を明らかにしました。[※6]

日本から始まったの研究により、コエンザイムQ10のは1973年にうっ血性心不全薬として認可され、1974年から販売されています。コエンザイムQ10は海外では食品として広く使われていましたが、日本で食品として認められたのは、食薬区分の見直しが行われた2001年。こうしてコエンザイムQ10は、サプリメントなどの健康食品としても利用されるようになったのです。

現在、コエンザイムQ10は食品だけにとどまらず、化粧品やシャンプーなどに配合されるなど、とても身近な存在になっています。

コエンザイムQ10に関する研究情報

【1】中高齢者における8週間のコエンザイムQ10の摂取は口腔免疫機能および精神的QOLの改善に有効である可能性があります
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/12/1/12_37/_article/-char/ja/

【2】熟成ニンニクエキスとコエンザイムQ10は炎症マーカーに有益な効果をもたらし、冠動脈硬化の進行を抑制することに関与していると考えられます
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22923934/

【3】コエンザイムQ10の経口投与は作業負荷試験中の主観的な疲労感を改善し、身体能力を向上させることから、身体疲労の結果としての好ましくない状態を予防する可能性があります
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18272335/

【4】還元型CoQ10摂取により加齢による精神機能の低下や自発的な活動度を改善しさらには口腔免疫機能を改善する可能性があることが分かりました
https://www.kaneka.co.jp/topics/information/in20150701/

【5】抗酸化作用を持つコエンザイムQ10には、体内から放出される加齢臭の原因物質ノネナールを抑える効果があることが分かりました
https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002162

参照・引用サイトおよび文献

※1 コエンザイムQ10について|国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
(URL:https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail677.html

※2 コエンザイムQ10の魅力|日本コエンザイムQ協会
(URL:http://coenzymeq-jp.com/%e3%82%b3%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%b6%e3%82%a4%e3%83%a0q10%e3%81%ae%e9%ad%85%e5%8a%9b/

※3 コエンザイムQ10の効果|協和発酵バイオの健康成分研究所
(URL:https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/coenzymeq10/effect02.html

※4 【PDF】コエンザイムQ10を含む食品の取扱いについて|厚生労働省医薬食品局食品安全部
(URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/16.pdf

※5 コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について|厚生労働省
(URL:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/08/h0822-1.html

※6 【PDF】吉村 育生「医薬品としてのコエンザイム Q10 の開発」 Vitamins (Japan), 94 (3), 203-205 (2020)
(URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/94/3/94_203/_pdf

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