ケルセチン
こんなお悩み・健康効果に
- 血糖値の上昇抑制
- コレステロール値を下げる
- むくみ改善
- 冷え改善
- 肩こり改善
- 関節痛・関節炎対策
- 血流改善・血行促進
- 動脈硬化の予防
ケルセチンとは
血流改善や生活習慣病対策に効果を発揮します。
ケルセチンはポリフェノールの一種であるフラボノイドのうち、フラボノール類に属する黄色色素成分です。
フィトケミカル(果物、野菜、いも類、豆類、海藻などの植物に含まれる化学成分)ではありますが、ビタミンのようなはたらきをもっているため、「ビタミンP」ともよばれています。
脂溶性が高く、そのままでは体内吸収率が高くありませんが、糖と結合することで水溶性が高いケルセチン配糖体に変化し、吸収率が高まる成分です。
主に野菜や柑橘類に多く含まれており、特に玉ねぎに多いとされています。血中LDLコレステロールの酸化や血糖値の上昇を抑えることで、血液のコンディションを正常化し、血流をよくする効果や生活習慣病対策の効果が期待されています。抗炎症作用も知られており、関節痛をやわらげるのに役立つ可能性も示唆されている成分です。
近年の研究によって、ケルセチン配糖体には関節の動きをサポートする機能が認められ、機能性関与成分に登録されました。現在はケルセチン配糖体配合の機能性表示食品および特定保健用食品も販売されています。
また元々ケルセチン含有量の多い玉ねぎに改良を加え、吸収率の高いケルセチン配糖体を多くした玉ねぎも開発されているようです。
期待される効果・作用
血流をスムーズにする
血液成分の一種である赤血球は、血流にのって全身に酸素や栄養を運ぶ役割を担っています。正常な赤血球は自由に形を変えることができるため、末梢の毛細血管もスムーズに流れることが可能です。しかし活性酸素によってダメージを受けると、柔軟性を失い、流れが滞ってしまいます。そうなると血流悪化による様々な不調をきたしやすくなってしまうのです。
ケルセチンのもつ抗酸化作用は、活性酸素による害から赤血球を守り、赤血球のはたらきを促す効果が期待されています。
関節痛をやわらげる
関節痛は加齢による軟骨成分の減少で、骨に変形や不具合が生じた場合に伴う疼痛です。変形性関節症や関節炎を伴う場合もあります。このような関節疾患の疼痛に対してケルセチンの抗炎症作用が役立つ可能性が期待されているようです。
ケルセチンの摂取と併せて、軟骨成分となるグルコサミンやコンドロイチンなどを摂ると、より効果が期待できるとされています。[※2][※3]
コレステロール値を下げる
食生活の欧米化や運動不足などによって、高コレステロール血症患者は増加しています。高コレステロール血症は、動脈硬化をはじめ、心疾患・脳血管疾患の原因となるため、進行の抑制と対策が重要です。
東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センターの小林彰子准教授らの研究によると、ヒトの腸管でコレステロールの吸収を担う物質(NPC1L1)の阻害に、ケルセチンとルテオリンが関与していることが明らかになりました。この結果から、ケルセチンやルテオリンを含む食べ物を日常的に摂取することによって、コレステロール値の低下、ひいては高コレステロール血症対策につながる可能性が期待されています。[※4]
動脈硬化対策
動脈硬化は、動脈の壁の肥厚や硬化によって本来のはたらきが障害される、血管の病変です。血管の内側にコレステロールが蓄積し、次第に脂肪分が沈着していくことにより、血管が狭くなります。沈着した脂肪分が崩れることによって血栓が生じ、心筋梗塞や脳梗塞の引き金となるのです。
自覚症状が乏しい動脈硬化ですが、命の危険と隣り合わせであることは否めません。動脈硬化の原因の一つとなるのが、高コレステロール血症です。悪玉コレステロールともよばれるLDLコレステロール値の正常化は、動脈硬化対策において重要とされています。
ケルセチンは、活性酸素によるコレステロールの酸化を抑制する抗酸化作用や、先に述べた腸管でのコレステロール吸収物質NPC1L1の阻害作用が期待される成分です。これらの作用により、コレステロール値を正常化に導き、動脈硬化対策に役立つと期待されています。[※4][※5]
こんな方におすすめ
ケルセチンは、抗酸化作用によって活性酸素ダメージから細胞や器官を守るはたらきがあります。そのため、体内が酸化すると起こりやすい疾患や不調のケアに適している成分です。
赤血球のはたらきを正常化させることにより血流がスムーズになると、肩こりや冷えの緩和、体温上昇による免疫力上昇が期待できます。
またコレステロールの酸化を抑制し、腸管からの吸収を阻害することによる、コレステロール値の正常化や生活習慣病対策にもおすすめです。
疼痛を緩和させる抗炎症作用も知られており、変形性関節症や関節炎など、加齢による関節疾患の疼痛をやわらげる可能性も期待されています。
摂取目安量・上限目安量
ケルセチンは、ビタミンやミネラルのような栄養成分とは異なるため、定められた摂取目安量や上限量はありません。一般的な数値として、100~500mg/日程度の摂取が好ましいとされています。摂取量に幅はありますが、ケルセチンが多いとされる玉ねぎであれば、中玉1個以上で目安量が摂取できる計算です。
考えられるリスク・
副作用
ケルセチンは糖と結合することで、体内に吸収されやすいケルセチン配糖体となります。水溶性の成分であるため、一般食品からの摂取であれば過剰症のリスクは少ないとされています。
サプリメントによる高濃度ケルセチンの場合は、長期間摂取や過剰摂取によって、頭痛・胃腸障害・血腫などの副作用のおそれがあるため、注意が必要です。
また、ワルファリンやシクロスポリン、降圧薬、キノロン系抗菌薬などは、薬の作用に影響を及ぼすおそれがあるため、ケルセチン配合サプリメントの摂取にあたっては、医師に相談することが望ましいとされています。
服薬以外にも、ケルセチン配合サプリメントの摂取は妊娠中、授乳中、小児などに対する安全性を確認できる十分なデータが確認されていないため、該当する方は控えたほうがよいでしょう。
ケルセチンを含む
食べ物
ケルセチンは、植物が作り出す黄色色素成分で、野菜や柑橘類を中心に多く含まれています。
ケルセチンを含む主な食べ物
・玉ねぎ
・りんご
・柑橘類
・ブロッコリー
・サニーレタス
・モロヘイヤ
・そば
・緑茶
ケルセチンが特に多いのは玉ねぎです。100gあたり28~50mgのケルセチンを含んでいます。さらに玉ねぎの皮に含まれるケルセチンは可食部の20倍以上です。廃棄する場合が多い部分ですが、洗浄して煮出すことでお茶として利用することができます。
脂溶性が高いため、植物油、肉類、魚類、乳製品などの油脂と併せて摂取するのがおすすめです。
また、ビタミンCの吸収を助ける作用があり、併せて摂取することで、より高い抗酸化作用が期待できます。
発見・研究の歴史
ケルセチンはラテン語でオークの森を意味する「quercetum」を起源としており、1857年に名付けられました。古くから染料として利用されてきた歴史があります。
1990年代、様々な研究の結果から、ケルセチンの摂取により循環器疾患予防への効果が期待できることが明らかになり始めました。1993年にオランダで実施された疫学調査では、玉ねぎやりんごを介してケルセチンや他のフラボノイド類を多く摂取していた人は、心臓病の発症率が低かったという結果が出ています。
その後のさらなる研究によって、脂溶性の高さや糖と結びついてケルセチン配糖体となることなど、ケルセチンの特性や機能性が解明されているようです。
ケルセチンに関する研究情報
【1】ケルセチンは、野菜や果物、茶、ワインなどに多く、高い抗酸化作用をもつことが明らかになりました。この作用により、骨粗しょう症やがん、循環器疾患の予防に役立つことが示唆されました。
【2】抗酸化作用と抗炎症作用をもつケルセチンは、慢性前立腺炎や慢性骨盤疼痛症候群の治療に有用とされています。このことから、ケルセチンは、UPOINTを用いたマルチモダール療法またはケルセチン単独治療において、両疾患の治療に役立つことが期待されています。
【3】ケルセチンは、炎症関連物質であるサイトカインの抑制のほか、グルタチオン、IL-βに作用することで鎮痛効果を誘導することが確認されています。
【4】健康な男性22名を対象とし、ケルセチン51mgを含む濃縮タマネギエキスの摂取を1ヶ月実施した結果、食後の血管内皮機能の改善に役立つことが示唆されました。
【5】BMI25以上30未満の男女200名において、ケルセチン配糖体配合飲料を12週間摂取した結果、ケルセチン配糖体配合飲料摂取群で、腹部脂肪面積の減少がみられました。プラセボ群では、開始時よりも増加がみられたことから、ケルセチン配糖体の体脂肪減少効果が示唆されました。
成分
10秒解説
ケルセチンは、ポリフェノールの一種で、フラボノイドという植物色素の仲間で、フラボノール類に属します。抗酸化作用や毛細血管を強化するはたらきなどが期待されている成分です。別名「ビタミンP」とも呼ばれています。野菜や柑橘類などに含まれているのが特徴です。[※1]