アントシアニン
こんなお悩み・健康効果に
- 眼精疲労の改善
- 網膜の保護作用
- 血小板凝集抑制作用
- 肝機能の向上
- メタボリックシンドロームの予防
アントシアニンとは
アントシアニンはブルーベリーやナス、ブドウの果皮などに多く含まれ、pHによって青、紫、赤色を示す天然の色素です。
フラボノイド系のポリフェノールに分類されるアントシアニンは、植物が紫外線によるダメージから自分自身を守るために作り出している物質であるとされています。
そのため、太陽に当たる時間が長い植物ほど、多くのアントシアニンを蓄えることができると言えるのです。
アントシアニンは、視神経のはたらきをサポートしている「ロドプシン」の再合成を促す作用があるため、疲れ眼を改善させるなど眼の健康に役立つことが知られています。[※1]
また、他のポリフェノールと同様に強い抗酸化作用があり、活性酸素の発生を抑制したり除去したりする働きを持っています。
アントシアニンをはじめとしたポリフェノール類は体に蓄えられない物質であるため、毎日の摂取するのが良いとされています。
期待される効果・作用
疲れ眼・眼精疲労の改善
アントシアニンには、網膜に存在する色素ロドプシンの再合成を促進する作用があるため、疲れ眼や眼精疲労の症状軽減に役立つことが期待できます。
眼精疲労とは、眼を酷使する作業などにより、眼だけではなく全身に症状がおよび、休養を取っても改善しない状態のことです。
アントシアニンの疲れ眼を軽減させる作用により、全身にまで症状が及んでしまう眼精疲労の予防・改善に効果を示す可能性があります。
また、ロドプシンは「視物質」のと呼ばれ、暗い場所で明るさを感知する細胞に存在しています。
そのため、ロドプシンの再合成を促すアントシアニンは、暗順応の機能を高めてくれる働きも期待できると言えるでしょう。[※2]
網膜の保護作用
太陽の光を直に浴びる眼球は、紫外線の影響を受けやすいと言えます。
紫外線を浴び続けると、眼の中の組織に活性酸素を発生させてしまいます。また、パソコンやスマートフォンから発せられる「ブルーライト」も可視光線の一種であり、眼に同様のダメージを与えてしまいます。
アントシアニンには強い抗酸化作用があるため、紫外線による眼のダメージを軽減させ、網膜を保護します。
血小板凝集抑制作用
アントシアニンには、ドロドロ血液を防ぐ効果があると言われています。
アントシアニンの持つ抗酸化作用により血液凝集を抑制し、血栓ができるのを防ぎます。
肝機能の向上
紫サツマイモに含まれるアントシアニンには肝機能改善効果があるという研究報告があります[※3]。
肝機能の数値が正常範囲を超えている健康な成人男性が、紫サツマイモの飲料を8週間飲み続けたところ、数値の改善が見られました。
また、アントシアニンを豊富に含む食品は、非アルコール性脂肪性疾患(NAFLD)の合併症予防の可能性が期待されています。[※4]
メタボリックシンドローム予防効果
抗酸化作用を持つアントシアニンは、血清脂質の酸化を防いだり血管の健康を保ったりすることに役立つため、高血圧や脂質異常症、動脈硬化の予防が期待できます。
その結果、メタボリックシンドロームの発症を抑えることにつながると言えるでしょう。
こんな方におすすめ
近年、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の利用が多くなり、知らずしらずのうちに目を酷使しているという方も多いでしょう。
電子機器を長時間利用することによる眼の毛様体筋の緊張は、ドライアイや疲れ眼の原因となります。
このような症状にお悩みの方は、アントシアニンの眼の血流改善や毛様体筋の緊張をほぐす作用により、疲れ眼の改善や眼のピント調節機能の向上が期待できます。
また、疲れ眼の症状からくる肩こりや頭痛などの全身症状にお悩みの方にも、おすすめの成分であると言えるでしょう。
さらに、抗酸化作用もあるため、生活習慣病の予防などに気を遣う方にも取り入れていただきたい成分でもあります。
摂取目安量・上限目安量
アントシアニンは、食品からの摂取目安量や上限摂取量は定められていません。
近年、機能性表示食品やサプリメントとしてアントシアニンが含まれている商品が多く販売されています。
アントシアニンを含有するサプリメント製品に使用される原材料の多くが「ビルベリーエキス末」。ビルベリーエキス末は、アントシアニンを36%以上含有するものが多く使用されています。
サプリメント製品としての1日当たりのアントシアニン摂取目安量は、40mg~60mg程度です。そのため、この量を効果が期待できる摂取量の目安であると考えてよいのではないでしょうか。
考えられるリスク・
副作用
通常の食事から摂取するアントシアニンの量であれば、安全性は高いとされています。
また、他のサプリメントや医薬品との相互作用についても報告されていません。しかしアントシアニンには血小板凝集抑制作用があることから、出血性疾患の既往がある方や抗凝固薬を内服している方は、主治医や薬剤師に相談の上で利用するのが安全でしょう。
妊娠中については、アントシアニンなどのポリフェノール類の過剰摂取には注意が必要であるとされています。
妊娠中にプルーンを過剰摂取したことにより、胎児の動脈管早期収縮の原因となった可能性が報告されています。[※5]
アントシアニンを含む食べ物
アントシアニンを多く含む食品には、以下のようなものがあります。
- 赤ワイン
- ブルーベリー(ビルベリー)
- プルーン
- 黒豆
- ブドウの果皮
- ナスの果皮
- カシス
- 紫イモ
- 赤玉ねぎ
- 紫キャベツ
- 赤シソ
ブドウやナスは皮の部分に多く含まれているため、皮を捨ててしまうとアントシアニンが摂取できません。アントシアニン摂取のためには、皮も利用する食べ方がおすすめです。
また、加熱により分解されてしまうアントシアニンをより効率的に摂取するためには、サプリメントなどから摂取するのも良いでしょう。アントシアニンは体に蓄積できないため、毎日摂取することも重要です。
なお、アントシアニンと同様に抗酸化作用を持つ栄養素であるβ-カロテンやビタミンE、ビタミンCを含む食材と組み合わせると、より効果的であると言えるでしょう。
- β-カロテンを多く含む食品:にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜、スイカ
- ビタミンEを多く含む食品:アーモンド、ひまわり油、西洋かぼちゃ
- ビタミンCを多く含む食品:果物類、野菜類(ブロッコリー、ピーマン)
発見・研究の歴史
アントシアニンが視力の向上に良いのではないかといわれ始めたのは、第2次世界大戦中。
ブルーベリーを良く食べていたパイロットが、夕暮れ時など薄暗い環境の中での飛行が苦にならなかったことが注目され、研究が行われるようになったとされています。[※6]
その後、ブルーベリーの青紫色の色素であるアントシアニンが、眼の網膜中に存在するロドプシンという物質に働きかけることで効果を発揮することが分かりました。
眼に良い効果があるということが分かったものの、当時はこのアントシアニンの効果の検証が不十分であったようです。
しかし、近年では最新の研究においてアントシアニンの効果が検証されるとともに、新たな効果として糖尿病性網膜症の発症予防・進行抑制効果も示唆されています。[※7]
さらに、アントシアニンの眼に対する効能以外の健康効果についても研究が進められています。[※8]
アントシアニンに関する研究情報
【1】アントシアニンが豊富なブラックカラント抽出物とシアニジン-3-O-グルコシドは、細胞保護作用と抗炎症作用を持っています
【2】典型的なアントシアニンであるシアニジン-3-O-β-グルコシドは、高血糖時に3T3-L1脂肪細胞で抗脂肪分解効果を示します
【3】アントシアニンなどのフラボノイドやフェノール酸などのフェノール性物質が大量に含まれているアロニアの果実(果汁)は強力な抗酸ラジカル活性を示します
【4】ベリー果実のポリフェノール(アントシアニン)は、血管の健康を促進する役割を果たしている可能性があります
【5】アントシアニンとその代謝物は、ビフィズス菌属の増殖を有意に増強するなど腸内細菌叢を改善する可能性があります。
成分
10秒解説
ブルーベリーやナスなどに含まれる天然色素がアントシアニン。ポリフェノールの一種で、眼に良い成分としてサプリメントなどにも利用されている成分です。最近では、肝機能向上や動脈硬化予防など生活習慣病にも役立つ成分として注目されています。