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シトルリン

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成分
10秒解説

シトルリンは、スイカから発見されたアミノ酸の一種です。血管のしなやかさを保ち、血流を改善する効果が期待できる成分です。欧州では医薬品として利用されていますが、日本やアメリカではアスリート向けサプリメントの成分としても注目されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 血流改善作用
  • 保湿効果による美肌作用
  • むくみの改善
  • 疲労回復
  • 運動時の疲労軽減・持久力向上

シトルリンとは

一酸化窒素の生成に役立ち血流改善などに関わる遊離アミノ酸

シトルリンは、哺乳類をはじめとする動物の体内や、スイカなどのウリ科の植物に多く含まれているアミノ酸です。たんぱく質の構成成分とはならずに体内に単体で存在し、それぞれの機能性を発揮している「遊離アミノ酸」の一種です。

遊離アミノ酸にはシトルリンのほか、オルニチンやGABAなどがあります。これらの遊離アミノ酸はそれぞれ独自の働きを持っていますが、シトルリンは肝臓内でアンモニアを無毒化する尿素サイクルにおいて不可欠な成分であることが分かっています。

また、シトルリンは血管を拡張して血流を促す効果や、抗酸化作用を持つことが知られています。これは、シトルリンが生み出すNO(一酸化窒素)の働きによるもので、動脈硬化の抑制や美肌効果など多くの効果が期待されているのです。

シトルリンは食品から摂取することもできますが、十分に摂取したい場合にはサプリメントを上手に活用しましょう。

期待される効果・作用

血流改善作用

シトルリンがつくり出すNOには、血管を拡張させ血流を良くする効果が期待されています。

NOは血管内皮でアルギニンから生成されます。しかし、アルギニンはシトルリンから変換されるため、シトルリンもNOの産生に不可欠な成分であると考えられているのです。[※1]

NOには、抗酸化作用や血管の弾力性を維持して血流を改善させる作用があります。そのため、シトルリンには、動脈硬化を予防したり、血流が悪化することで生じる手足の冷えを改善したりする効果が期待できるといわれています。[※2][※3]

また、シトルリンを摂取することで脳の血流が促されると、記憶力や集中力の向上に役立つ可能性もあると考えられています。[※4]

保湿効果や紫外線からの保護による美肌作用

人間の皮膚に備わる「天然保湿因子」の構成成分のひとつがシトルリンです。乾燥肌が起こる原因は、皮膚の表皮に存在する天然保湿因子の量が減少し、肌の保水能力が低下することにあります。そのため、シトルリンの摂取は肌の潤いを保持し、みずみずしい肌を保つことにつながるでしょう。[※5]

また、シトルリンがつくり出すNOには紫外線のダメージから肌を守る作用も期待されています。紫外線を浴びると、シワやたるみなど肌の老化の原因となる活性酸素の過剰発生につながります。NOには、この活性酸素の働きを抑制したり、取り除いたりする抗酸化作用があると考えられているため、肌の老化防止対策として有効であると考えられているのです。

むくみの改善

シトルリンは血流を改善することで、手足のむくみを予防・改善する可能性があると考えられます。シトルリンを摂取することで末梢の血流が改善されることから、ふくらはぎのむくみが予防されたことが報告されています。[※6]

疲労回復

尿素サイクルに不可欠なシトルリンは、疲労回復に役立つ成分であると考えられます。

代謝の過程でつくられる有害物質アンモニアは疲労の原因となります。シトルリンは肝臓内の尿素サイクルにおいて、アンモニアがスムーズに尿素に変換されて体外へ排出されるのを助ける成分であることから、疲労回復に役立つと考えられているのです。

運動時の疲労軽減・持久力向上

NOには、運動時の疲労を軽減したり持久力を向上させたりする作用が期待されています。NOをつくり出すシトルリンは、運動時のパフォーマンス向上を目的としたプレワークサプリとしても注目されている成分です。

NOには血流促進作用のほか、運動時などに筋肉が使われることで発生する乳酸の再利用を促す作用もあります[※7]。シトルリンを十分に摂取して血流を促進したりエネルギー産生をスムーズにしたりすることで、運動時の疲労感や筋肉痛を軽減させ、持久力を向上させる可能性があると考えられています。

こんな方におすすめ

シトルリンは、スポーツやトレーニングを行う方におすすめの成分であると考えられます。

また、シトルリンの血流改善効果や抗酸化作用から、動脈硬化の予防にも効果が期待できる成分であるといえるでしょう。そのため、動脈硬化および動脈硬化によって引き起こされる病気の予防対策をしたいという方におすすめしたい成分です。

さらに、冷えやむくみに悩まされている方や、肌の若々しさを保ちたいという方にも役立つ成分であると考えられます。

厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2020年版)では、シトルリンの摂取目安量・上限量などは設けられていません。

しかし、サプリメントなどからシトルリンを摂取する場合、1日当たりの摂取推奨量は800mg であると考えられています。[※8]。

考えられるリスク・
副作用

シトルリンは適切に摂取する分には安全性の高い成分です。摂取する上で注意が必要な方や相互作用のある医薬品、過剰摂取による健康被害の可能性などは今のところ報告されていません。

とはいえ、サプリメントなどからシトルリンを摂取しようと考えている方は、より安全に利用するために1日あたりの摂取目安量を守って利用すると良いでしょう

シトルリンを含む食べ物

シトルリンはスイカやメロン、きゅうり、にがうり(ゴーヤ)、冬瓜などウリ科の野菜や果物に多く含まれています。[※9]

  • スイカ   180mg/100g
  • メロン   50mg/100g
  • 冬瓜    18mg/100g
  • きゅうり  9.6mg/100g
  • にがうり  16mg/100g
  • にんにく  3.9mg/100g

シトルリンは食品からも摂取できますが、その含有量はごくわずか。サプリメントからの摂取推奨量とされている1日あたり800mgのシトルリンを食品から摂取するのは困難であると考えられます。そのため、十分に摂取したいという方は、食品から補うよりもサプリメントの活用を選択するのが適当であるといえるでしょう。

なお、シトルリンと同時に摂取することで相乗効果が期待できる成分が「アルギニン」です。アルギニンもシトルリン同様、NOをつくり出す物質として知られています。直接NOをつくり出しているのはアルギニンですが、アルギニンは体内でシトルリンから変換されるため、シトルリンもNOの産生に不可欠な物質であると考えられているのです。

シトルリンとアルギニンを同時に摂取することで、より効率よくNOを産生することができるといえるでしょう。

発見・研究の歴史

シトルリンは1930年に日本で発見されました。スイカの果汁から発見されたシトルリンはスイカの学名「Citrullus vulgaris」から名づけられたとされています。シトルリンはカラハリ砂漠に自生する野生のスイカに多く含まれている成分ですが、このスイカが砂漠の過酷な環境で生きていけるのはシトルリンの影響ではないかと考えられています。[※10]

その後1950年頃には、人間の体内でも重要な役割を担っていることが解明され、現在も多くの機能性について研究が進められています。[※1]

シトルリンに関する研究情報

【1】高コレステロール食を与えられたウサギにL-アルギニン、L-シトルリン、抗酸化物質などののNO産生物質を経口投与すると、酸化ストレス状態を解消し、動脈硬化の進行を抑制することが示されました。これはヒトの動脈硬化の治療においても役立つと考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16157883/

【2】15人の健康な男性被験者(年齢:58.3±4.4歳)に5.6g /日のL-シトルリン(n=8)またはプラセボ(n=7)を7日間投与したところ、血圧に有意差はありませんでしたが、baPWVはL-シトルリン群でのみ優位に増加しましました。これは短期間のL-シトルリン補給が、血圧とは無関係にヒトにおいて動脈硬化を機能的に改善する可能性を示唆しています
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21067832/

【3】高血圧予備軍またはステージ1の高血圧でABIが正常な肥満の中年成人において、スイカの抽出物補給が足首血圧、上腕血圧、頸動脈波反射を減少させました。これは動脈機能の改善を反映している可能性があることを示しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22402472/

【4】L-シトルリンの経口投与は、L-アルギニンを投与するよりも血漿L-アルギニン濃度を上昇させます
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17662090/

参照・引用サイトおよび文献

※1 【PDF】林 登志雄「シトルリンの代謝と薬効」|公益社団法人 日本農芸化学会 化学と生物 第46巻 (2008) 7号
(URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/46/7/46_7_460/_pdf/-char/ja

※2 シトルリンによる動脈硬化と心筋梗塞の予防~血管年齢をチェック~|シトルリン研究会
(URL:https://citrulline.jp/about/work/artery.html#_ga=2.104310342.776246764.1643764245-699451498.1643330982

※3 冷え改善|シトルリン研究会
(URL:https://citrulline.jp/about/work/cold.html#_ga=2.32901880.776246764.1643764245-699451498.1643330982

※4 シトルリンのはたらきと効果-06.記憶力・集中力アップ|協和発酵バイオの健康成分研究所
(URL:https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/citrulline/effect06.html

※5 シトルリンのはたらきと効果-05.アンチエイジング|協和発酵バイオの健康成分研究所
(URL: https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/citrulline/effect05.html

※6 むくみ予防|シトルリン研究会
(URL:https://citrulline.jp/about/work/dropsy.html#_ga=2.104310342.776246764.1643764245-699451498.1643330982

※7 スポーツ|FAQ シトルリンの知恵袋|シトルリン研究会
(URL: https://citrulline.jp/faq/sports/

※8 【PDF】食品安全委員会「遺伝子組換え食品等評価書CPR株を利用して生産されたL-シトルリン」
(URL: https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc2_idensi_citrulline_290920.data/pc2_idensi_citrulline_290920.pdf

※9 【PDF】林 登志雄「動脈硬化症とアルギニン、シトルリン」|公益社団法人日本生化学会 生化学 第86巻第3号(2014)
(URL: https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-08.pdf

※10 シトルリンの発見|シトルリン研究会
(URL: https://citrulline.jp/about/citrulline/karahari.html

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