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EGCG(エピガロカテキンガレート)

成分
10秒解説

カテキンとはお茶に含まれるポリフェノールの一種で、主な種類はエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4つ。この中でもっとも抗酸化力が強いのがEGCG(エピガロカテキンガレート)で、緑茶の特有成分となっています。

こんなお悩み・健康効果に

  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • 免疫力向上
  • 生活習慣病予防
  • 歯周病・口臭の予防
  • ダイエット
  • エイジングケア

EGCG(エピガロカテキンガレート)とは

緑茶カテキン特有の成分で、
ビタミンCの約90倍もの抗酸化力を誇ります。

EGCG(エピガロカテキンガレート)とは、緑茶に含まれるポリフェノールの一種。
緑茶のカテキンには、EC(エピカテキン)、ECG(エピカテキンガレート)、EGC(エピガロカテキン)、EGCG(エピガロカテキンガレート)の4種があり、この中でもっとも含有量が高いのがEGCGです。その含有量の比率は、総カテキン量の約60%と言われています。

カテキンは緑茶よりも含有量は低いですが、紅茶やウーロン茶などにも含まれている成分です。しかしEGCGは緑茶以外の茶葉から現段階では発見されていません。そのため2020年現在は、緑茶カテキン特有の成分です。

緑茶に含まれる4つのカテキンの中で、もっとも強力な働きをするのがEGCGです。とくに体内の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する抗酸化力が強く、そのパワーはビタミンEの約23倍、ビタミンCの約90倍であると言われています。そのため、老化や動脈硬化の予防をはじめ、さまざまな病気の治療薬としての活用が期待されているのです。

ちなみにEGCGはエステル型カテキンに分類されるもので、強い苦みと渋みのもととなっています。低温ではほとんど抽出されず、高温で抽出されやすいという特徴を持ちます。

期待される効果・作用

生活習慣病の予防・アンチエイジング効果

ポリフェノールの一種であるカテキンは、強い抗酸化作用が認められる抗酸化物質です。抗酸化物質とは、細胞にダメージを与える活性酸素の増殖を抑え、除去する効果を持つもの。緑茶には4種類のカテキンが含まれていますが、その中でもっとも強い活性を示すのがEGCGです。

活性酸素は細胞を傷つけて老化を早めたり、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を引き起こすとされています。そのため、この活性酸素を抑えるEGCGには、生活習慣病の予防効果やアンチエイジング効果が期待できると考えられます。

血糖値の上昇を抑える効果

カテキンには、糖尿病を引き起こす血糖値の上昇を抑える働きがあるとされています。カテキンは消化酵素(唾液・膵液などに含まれる酵素)の働きを抑制してくれるため、消化にかかる時間が増加。その結果、血糖値が上がりにくくなると言われています。

血糖値とは血液中のブドウ糖量を示す数値で、この数値が高い状態が続くと糖尿病につながります。症状が悪化すると血管や神経にまで影響がおよび、合併症や動脈硬化が進行。しかも糖尿病は自覚症状に乏しく、気づいたときには重症であったというケースも少なくありません。一般的なカテキンよりも作用の強いEGCGであれば、より高い血糖値の抑制効果が期待できると考えられます。

内臓脂肪を減らす効果

EGCGを含むお茶のカテキンには、メタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪を減少させる効果があります。また、カテキンには腸から糖が吸収されるのを防ぐ働きもあり、これらの効果を利用した製品が特定保健用食品として注目を集めています。

インフルエンザの予防効果

EGCGには、インフルエンザの予防効果があることが研究によって示唆されています。株式会社伊藤園が静岡県立大学薬学部と共同で行った研究によると、新型インフルエンザの原因とされるブタ由来ウイルス(H1N1)を含む3つのウイルス型に対し、細胞実験でEGCGは感染阻害作用を示したとのこと。このことから、EGCGはインフルエンザ予防に有効なのではないかと考えられます。[※2]

むし歯・口臭予防効果

口腔内に食べカスが残ったままになると、むし歯の原因となる歯垢が溜まったり、歯周病の原因菌が繁殖したりします。抗菌作用を持つEGCGには、歯垢の付着を抑える効果があることが示唆されているのです。太陽化学株式会社が行ったヒトを対象とした研究では、EGCGを含むチュアブルを毎食後に摂取してもらったところ、歯垢の付着が抑制されたとのことです。このことから、EGCGは口腔ケアに対して有用な働きを持ち、むし歯・歯周病・口臭などに対する新たな口腔ケア商品の成分として期待できることが明らかとなりました。[※5]

こんな方におすすめ

EGCGを含むカテキンは抗酸化作用が高く、動脈硬化、高血圧、糖尿病といった生活習慣病を予防したい人に適しています。とくに食生活がみだれがちな人、寝不足の人、ストレスが蓄積している人、飲酒や喫煙などの習慣がある人は活性酸素が溜まりやすいため、積極的にEGCGを取り入れると良いでしょう。またEGCGには内臓脂肪を減らす働きもあるため、肥満を予防したい人にも向いています。

また、EGCGは優れた抗菌作用もあり、インフルエンザや口内細菌を抑制するという働きも期待されています。そのため、風邪を引きやすい人、口臭が気になる人、むし歯や歯周病を予防したい人にも効果的です。

厚生労働省が策定している食事摂取基準に、カテキンの摂取目安量、上限目安量は設定されていません。EGCGを含む緑茶は、日本で1000年以上にわたり親しまれてきたもので、家庭で飲むお茶や市販の茶飲料の常識的な摂取によって健康被害が生じたという報告はなされていません。健康な方なら1日10杯以内程度が目安でしょう。[※6]
ちなみに湯飲み1杯(120ml)に含まれるカテキンの量は80㎎とされていますが、このすべてがEGCGではありません。

考えられるリスク・
副作用

緑茶からEGCGを摂取する場合、緑茶にはカフェインも含まれていることには注意が必要です。カフェインを摂りすぎると不眠や吐き気、動悸などの原因になりますので、特に就寝前の飲用は避けた方がよいでしょう。
また、薬を常用している方の場合、緑茶に含まれるカフェインやタンニン等が相互作用を起こす研究結果が報告されています。[※7]
尿路結石の原因となるシュウ酸も含まれるため、高濃度茶カテキン飲料を摂取する際は必ず医師に相談したうえで指導に従って下さい。

EGCGを含む
食べ物

カテキンは緑茶をはじめさまざまなお茶に含まれていますが、EGCGは緑茶特有の成分です。今のところ緑茶からしか摂取できない成分なので、緑茶からうまく取り入れるようにしましょう。

緑茶にはいくつかのカテキンが含まれていますが、抽出温度によって摂取できるカテキンの量が違ってきます。EGCGは低い温度(20℃以下)だとあまり抽出されず、高い温度で溶けだすという性質があるため、緑茶を淹れる際には80℃くらいのお湯を使うようにしましょう。

ただし、EGCGは緑茶の苦み成分でもあるため、高温で抽出すると苦みが強くなります。また、覚醒作用を持つカフェインも通常より多く抽出されるため、摂取の際には量に注意するようにしましょう。

発見・研究の歴史

カテキンが発見されたのは、1821年のドイツです。化学者であるルンゲが、インドに生息しているマメ科アカシア属のアカシヤ・カチューという樹木からカテキュー(catechu)と呼ばれる無色の結晶を分離。その後、1832年にドイツの植物学者であるエーゼンベックが、ルンゲが分離した物質に対してカテキン(catechin)という名称をつけました。
さらに20世紀に入ると研究が進み、発見されたカテキンはエピカテキンであることがドイツのフロイデンバーグらによって明らかとなったのです。
日本においては1927年に山本頼三によって緑茶から茶カテキン類似の物質が分離され、続く1929年には、理化学研究所の農学博士である辻村みちよらがエピカテキン(EC)を単離。その後の1933年、大島康義と合馬輝夫が台湾産茶葉からエピガロカテキン(EGC)の結晶を分離しました。なお辻村は、1934年に日本緑茶からエピガロカテキン(EGC)の結晶分離にも成功しています。
これにエピガロカテキンガレート(EGCG)を含めた4種が、お茶に含まれる主要カテキンです。

EGCGに関する研究情報

【1】C57BL/6Jマウス・Sprague-DawleyラットにEGCGを摂取させたところ、食事誘因性肥満の改善が確認されました。これにより、肥満改善の自然治療のひとつとしてEGCGが有効であることが示唆されました。
http://www.vic-japan.gr.jp/info_for_prof/egcg/EGCG_obesity2005.htm

【2】アポE遺伝子が欠損したマウスに高コレステロール食を与え、EGCGがアテローム病変の進行にどう影響するかを調査。その結果、進行した動脈硬化にEGCGは影響しないが、初期段階では病変の進行を抑えられることが示唆されました。
http://www.vic-japan.gr.jp/info_for_prof/egcg/egcg_athero04/egcg_athero04.htm

参照・引用サイトおよび文献

※1「お茶の科学!│竹沢製茶株式会社」
(URL:http://www.takezawa-seicha.co.jp/enjoy/Chemistry.html

※2「緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCg)が、新型インフルエンザウイルス(H1N1)予防に有効であることを細胞実験で確認│株式会社伊藤園」
(URL:https://www.itoen.co.jp/company/research/result/detail.php?id=23961

※3「お茶はええんですよ│一般社団法人松原市歯科医師会」
(URL:https://www.matsubara-dental.net/mouth/%E3%81%8A%E8%8C%B6%E3%81%AF%E3%81%88%E3%81%88%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%99%E3%82%88/

※4「カテキンのいろは│日本カテキン学会」
(URL:http://www.catechin-society.com/iroha.html

※5【PDF】「緑茶カテキン EGCg の口腔環境の有効性 第68回日本口腔衛生学会・総会(滋賀)で発表│太陽化学株式会社」
(URL:https://www.taiyokagaku.com/uploads/2019/05/88c556373f995c0a20a177a2937f7ddc.pdf

※6「緑茶は1日何杯まで!?緑茶の健康効果と適正量のお話。│大井川茶園公式ブログ」
(URL:https://www.ooigawachaen.co.jp/blog/2017/03/07/381)

※7「緑茶カテキンが医薬品と相互作用する可能性についてのリスクアセスメント│一般財団法人食品分析開発センターSUNATEC」
(URL:http://www.mac.or.jp/mail/200401/02.shtml)

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