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βグルカン

βグルカンアイコン

成分
10秒解説

βグルカンは果糖やブドウ糖などのグルコースがたくさん結びついてできる多糖類の仲間で、水溶性食物繊維の1つです。椎茸や舞茸などの菌類やオーツ麦などの食物に多く含まれ、免疫力の向上やコレステロール値の低下などの効果を持ち、健康食品として注目されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 免疫力の向上
  • コレステロール値の低下
  • 腸内環境改善
  • がん予防
  • インフルエンザ予防
  • 心疾患の予防
  • ダイエット効果
  • 満腹感の維持

βグルカンとは

椎茸や舞茸などのキノコ類やオーツ麦などの植物に多く含まれる水溶性食物繊維で、
免疫力を高めて身体を守る働きがあります。

果糖やブドウ糖などのグルコースがたくさん結びついてできる多糖類の仲間で、水溶性食物繊維の一種であるβグルカン。体内で合成することができず、食べ物に含まれている成分であることから食品から摂取する必要がある成分です。

熱に強いという性質をもち、炒め物、揚げ物、煮物などどんな調理にも利用可能なため、食生活の中にも取り入れやすいのですが、体内に蓄積することはできず、余剰分は排泄物として体外へ排出されてしまうため、意識して積極的に摂取をしないと不足してしまいやすい栄養素といえます。

体内で水に溶けてゲル状になるという性質を持っているため、便を柔らかくして排泄を促したりする働きのほか、糖質の吸収を穏やかにし血糖値の急激な上昇を抑えるたり、消化管ホルモンに作用することで満腹感の持続・食欲の抑制・空腹感の減少、免疫力の向上、アレルギー症状の予防など、様々な効果があります。

期待される効果・作用

免疫力の向上

βグルカンは、消化吸収されることなく腸まで到達し、腸管に存在するリンパ球に働きかけることで腸管免疫を活性化させることができると言われています。また、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させることも明らかになっており、これらの免疫力が向上効果により、インフルエンザや花粉症などの予防効果も期待されています。

コレステロール値の低下

小腸でコレステロールと結びつくことで体内へ吸収されるのを防ぎ、そのまま体外へ排泄させる働きがあるβグルカン。そのためβグルカンを多く含む食品を積極的に摂取することで、コレステロール値の低下が期待できます。

腸内環境改善

水溶性食物繊維の一種であるβグルカンは、そのほかの水溶性食物繊維と同様に、大腸内で発酵・分解されることでビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えるという整腸作用を持っています。そのためβグルカンを摂取することで、便秘や下痢の改善につながると言われています。

がん予防

βグルカンから精製されるレンチナンと呼ばれる成分は、がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させる効果があり、がん治療薬として抗がん剤治療に使用されるようになりました。このことからβグルカンは、がんに対する免疫力を高めるのではないかとして期待されています。

心疾患の予防

βグルカンには、血糖値の上昇を抑え糖尿病を予防する効果や、脂肪が吸収されるのを抑える働き、コレステロール値を低下させる働きなどがあることから、心疾患の予防効果についても期待されています。

ダイエット効果

食事をすると体内で分泌されたインスリンが血液中の糖分をエネルギーに変える働きをしますが、その際に余った糖は脂肪として体内に蓄積されてしまいます。しかしβグルカンは、食べたものと結びつくことで胃から腸へゆっくり移動し排泄させる働きを持っているため、余分な糖が体に蓄積されず脂肪が体につきにくいにという効果があります。

満腹感の維持

大麦に由来するβグルカンは、胃内滞留時間が長いうえ、消化管ホルモンにも作用するため、満腹感の持続、食欲の抑制、空腹感の減少などの効果をもたらすと言われています。

こんな方におすすめ

βグルカンは、免疫力を高めて身体を守る働きをもつ栄養素で、がん、生活習慣病、動脈硬化、アレルギーなど体へのさまざまな影響を改善・予防する働きを持っています。
そのため、毎日元気に過ごしたい方、コレステロール値が気になる方、花粉症などのアレルギー症状に悩んでいる方、がん予防や感染対策を考えている方などに適している栄養素です。

βグルカンの摂取目安量は、日本では特に設定されていませんが、カナダでは3g/日以上が推奨されています[※1]。水溶性食物繊維の一種であるβグルカンは、余剰分は水に溶けて排泄物として体外に排出されることから、上限目安量は定められておらず積極的に摂取することが推奨されています。

考えられるリスク・
副作用

通常の食生活で過剰になる心配はなく、むしろ摂取量が基準値を大きく下回っている栄養素であるため、意識して摂取した方が良い栄養素の1つです。
余剰分は排泄物として体外へ排出されるため過剰症の心配はほとんどないと言われています。βグルカンを多く含む食品としてキノコ類が有名ですが、キノコアレルギーの方はβグルカンのサプリメント摂取時にアレルギー症状が出る場合があり注意が必要です。

βグルカンを含む食べ物

βグルカンは、キノコ類、大麦・オーツ麦などに多く含まれています。βグルカンは熱に強い性質をもつため、加熱調理にも適しています。煮物や鍋物、炒め物、ご飯に炊き込む、お味噌汁などさまざまな料理に取り入れやすいのが特徴です。

βグルカンを含む主な食べ物(100gあたり)[※2][※3]

・まいたけ…2.3g
・エリンギ…1.9g
・ぶなしめじ…1.8g
・大麦…4.7g
・オーツ麦…2.5g

水溶性食物繊維であるβグルカンは、摂取基準量よりも大幅に摂取量が下回っているため、意識して積極的に摂取するようにしましょう。

発見・研究の歴史

1941年にパン酵母と免疫についての研究が進められる過程で発見された成分です。
1960年代になると、アメリカのチューレン大学医学部のウィリアム・ブローダー博士によりパン酵母から高分子多糖体を抽出し、これをβ1、3Dグルカンと命名しました。さらに、このβグルカンから精製されたレンチナンががん治療に有効であることが解明され、がん患者に処方されるようになり、2000年代には、マクロファージや好中球などの免疫防御機構に、βグルカンの受容体があることも分かりました。

βグルカンに関する研究情報

【1】マウス実験により、舞茸由来のD—フラクション(舞茸D—フラクションはβグルカンたんぱく複合体を主とした成分)には、細胞性免疫(マクロファージ、NK細胞、T細胞、樹状細胞)を活性化させ、発がんを防ぎ、がん細胞の増殖や転移を抑制する抗腫瘍作用があることが示唆されました。
http://www.jcam-net.jp/data/pdf/01004.pdf

【2】 βグルカンには低分子と高分子の2種があり、高分子は粘度が高いことで血糖値上昇の抑制とインシュリンの感受性を高める働きが認められ、血液中のグルコースを調整できることが示唆されました。
http://www.jcam-net.jp/data/pdf/01004.pdf

参照・引用サイトおよび文献

※1「Health Canada」
(http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/alt_formats/pdf/label-etiquet/claims-reclam/assess-evalu/barley-orge-eng.pdf)

※2「大麦β-グルカンの機能性について|青江誠一郎 2015」
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/26/1/26_3/_pdf)

※3「菌活事典βグルカン|きのこらぼ ホクト株式会社」
(https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/jiten/jiten06/)

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