アスタキサンチン

こんなお悩み・健康効果に
- 眼精疲労の改善
- 肌トラブルの予防・改善
- 疲労回復効果
- 動脈硬化予防
- 体脂肪減少効果
- 糖尿病予防・改善効果
- 認知機能の向上
- 過活動膀胱の症状軽減
アスタキサンチンとは
カロテノイドの一種で、βカロテンやリコピンよりも強い抗酸化力を持つアスタキサンチンは、活性酸素の中でも非常に強い酸化力を持つ「一重項酸素」を除去する力に優れています。さらにアスタキサンチンの注目すべき点は脂質の過酸化防止力の強さ。その効力はビタミンEの1,000倍ともいわれています。[※3]
強い抗酸化力を持つアスタキサンチンに期待できる機能は多岐にわたります。眼精疲労の軽減効果をはじめ、肌の保湿・弾力維持、筋肉の疲労回復、動脈硬化予防などが臨床試験によって確認されています。
現在は、サプリメントとして取り入れられることの多いアスタキサンチンですが、サケなどの海産物からアスタキサンチンを抽出することは非常に困難です。そのため、現在使用されているアスタキサンチンのほとんどが「ヘマトコッカス藻」という植物から抽出されています。
期待される効果・作用
眼精疲労の改善
至近距離で細かな字を見るパソコン作業時などに、ピントが合いにくくなったり目がしょぼしょぼしたりするなどの現象が起きることがあります。アスタキサンチンはこのような「眼精疲労」や眼のピント調節を改善する効果があることが確認されています。
さらに、ピント調節の改善に伴い、肩こりや頭痛などの症状も改善したとの報告もされています。[※4]
肌トラブルの予防・改善
活性酸素を過剰に産生させる原因の一つが紫外線。アスタキサンチンは、紫外線による肌の炎症を抑えることで、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑えてくれると考えられています。
また、紫外線による皮膚の水分量の低下を抑制したり、加齢によるコラーゲンの変性を防止したりする作用もあるため、肌の弾力を保ちシワの予防に役立つとされています。[※5][※6]
疲労回復効果
アスタキサンチンは筋肉や脳での糖の利用を抑える作用があるため、肉体的疲労と精神的な疲労の両方に有効であるという報告があります[※7][※8]
体脂肪減少効果
アスタキサンチンの摂取と運動の併用により、有意に体脂肪が低下したという研究結果が報告されています。このことから、アスタキサンチンは体脂肪を減少させる手助けをしてくれる可能性があることが分かりました。[※9]
動脈硬化予防
アスタキサンチンは、強い抗酸化作用によりLDLコレステロールの酸化を防止します。また、HDLコレステロールの増加や、動脈硬化予防に期待されるアディポネクチンの分泌増加も報告されています。
このことから、アスタキサンチンは血管の老化を防ぐ効果が期待できるといえるでしょう。また、中性脂肪値を低下させ、血液サラサラにする効果もあるとされています。[※10]
糖尿病予防・改善効果
アスタキサンチンはインスリン抵抗性を改善し、糖尿病の予防や悪化防止効果が期待できると報告されています。「インスリン抵抗性改善」とえいば糖尿病治療薬メトホルミンの効果として知られていますが、アスタキサンチンにも骨格筋や肝臓でのインスリン抵抗性を改善させる可能性が示唆されています。[※11]
認知機能の向上
低強度の運動は認知機能の向上に効果的であることが確認されていますが、アスタキサンチンの摂取を併用することで、その効果が増大することが報告されています。[※12][※13]
過活動膀胱の症状軽減
過活動膀胱の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、加齢による体の「酸化」が原因である可能性が示唆されています。アスタキサンチンの抗酸化作用が過活動膀胱の症状軽減に関与している可能性も報告されており、さらなる研究が進められています。[※14]
こんな方におすすめ
アスタキサンチンの持つ抗酸化力は、活性酸素がもたらす酸化ストレスによる細胞の老化を防止する作用があります。この作用により血中脂質の酸化を防いで動脈硬化を予防するなど、生活習慣病対策としての効果も期待できるでしょう。
また、機能性表示食品として届け出のあるアスタキサンチンを含む製品には、眼精疲労や眼のピント調整などに関する表示を許可されたものが多数存在します。[※15]そのため、アスタキサンチンは眼に関する症状でお悩みの方に適した成分であるといえます。
摂取目安量・上限目安量
アスタキサンチンは、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」において摂取目安量や上限目安量についての基準は設けられていません。消費者庁の「機能性表示食品の届出情報」によると、アスタキサンチンを含有する機能性表示食品の多くは、6mg~12mg/日の摂取目安量となっています。[※15]
機能性表示食品は特定保健用食品とは違い国の審査はありませんが、企業ごとに安全性などを評価し販売許可を得ているため、この量を1日の摂取目安量としても問題はないでしょう。
欧州食品安全機関 (EFSA) では、通常の食事からのアスタキサンチン摂取量を考慮したうえでサプリメントからの安全な最大摂取量を8mg/日としています。しかし、14歳以下では食事に加え、8mg/日のアスタキサンチンをサプリメントから摂ってしまうと、過剰摂取となるため注意喚起をしています。[※16]
考えられるリスク・
副作用
日本では、アスタキサンチンを含有するサプリメントや、医薬品との相互作用について消費者からの健康被害はほとんど報告されていません。また、臨床研究においても医薬品との相互作用についての報告は見当たらないとされています。[※17]
しかし、虚血性脳卒中の既往を持つタイ人女性において、抗凝固剤ワルファリンとアスタキサンチンの併用でPT-INRが増加したとの症例が報告されました。そのため、アスタキサンチンとワルファリンの併用は抗凝固作用に対して望ましくない影響をもたらす可能性があると考えられます。[※18]
アスタキサンチンが多く含まれる食べ物
アスタキサンチンは、サケやエビ・カニなど赤色系の色素を持つ海洋生物に多く含まれています。[※19]
- イクラ 0~14mg/㎏
- サケ 3~40mg/㎏
- ニジマス 1~13mg/㎏
- オキアミ 45~130mg/㎏
- エビ・カニ ~400mg/㎏
発見・研究の歴史
アスタキサンチンがサケやエビなどに多く含まれることを考えれば、私たちが昔から取り入れてきた成分であるといえます。もともとは海洋生物や藻が食物連鎖の中で、自らを守るために生成したり蓄えたりしてきた成分なのです。
「サケの遡上」。自然界でのアスタキサンチンの効果を説明するにはこの話が一番分かりやすいかもしれません。
サケは川の上流で生まれ、海に出ていきます。海ではオキアミなどを餌に、アスタキサンチンを筋肉にため込み、いわゆるサーモンピンクになるのです。長い間海を回遊したサケは、産卵のために生まれた川に戻るのですが、この時に流れる川を命を懸けて遡上することになります。この時に力を発揮するのが、海で蓄えたアスタキサンチンであると考えられているのです。また、生まれた卵(イクラ)にもアスタキサンチンが含まれていますが、これは卵を紫外線から守るためであるといわれています。
まさに命をつなぐ赤色色素アスタキサンチンの持つ効果のメカニズムを、人間の健康に活かす術を模索し始めたのが、アスタキサンチン研究の始まりでもあるのです。
アスタキサンチンに関する研究情報
【1】pluvialis藻類抽出物からの1日あたり6mgのアスタキサンチンが健康な成人によって安全に消費できることを明らかにしています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12804020/
【2】アスタキサンチンに富むヘマトコッカス・プルビアリス抽出物が健康な高齢者の認知機能を改善することを示唆しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22962526/
【3】アスタキサンチンは加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの眼底疾患、緑内障における視神経乳頭血流改善など各種眼底疾患に対し、臨床対応できる可能性が示唆されました。
http://www.jcam-net.jp/data/pdf/15051.pdf
【4】「アスタキサンチン」を摂取すると、紫外線 UVAを長時間照射しても、肌のシワ形成が抑制されること、経皮水分蒸散が抑制されることを確認しました。
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1411014980.pdf
【5】「アスタキサンチン」の乳化物を、より微粒子化することで、活性酸素の一種で悪玉とされる一重項酸素の消去能が高まることを確認しました。
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1410229251.pdf
参照・引用サイトおよび文献
※1 抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html)
※2 活性酸素と酸化ストレス | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html)
※3 アスタキサンチンの魅力 | ライフサイエンス事業 | 富士化学工業株式会社
(URL:https://www.fujichemical.co.jp/life_science/fascinating_astaxanthin/index.html)
※4 眼精疲労の回復に効果的 | アスタキサンチンの効果・効能 | FUJIFILMからだサイエンスラボ | 富士フイルム
(URL:https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/astaxanthin-affects-eyestrain/)
※5 紫外線からお肌の老化を守るアスタキサンチン | アスタキサンチンの効果・効能 | FUJIFILMからだサイエンスラボ | 富士フイルム
(URL:https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/astaxanthin-affects-anti-aging-from-uv/)
※6 コラーゲンを守るアスタキサンチン | アスタキサンチンの効果・効能 | FUJIFILMからだサイエンスラボ | 富士フイルム
(URL:https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/astaxanthin-protects-collagen/)
※7 疲労回復のしくみとアスタキサンチンの効果 1 | アスタキサンチンの効果・効能 | FUJIFILMからだサイエンスラボ | 富士フイルム
(URL:https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/how-astaxanthin-works-recovering-from-fatigue-01/)
※8 疲労回復のしくみとアスタキサンチンの効果 2 | アスタキサンチンの効果・効能 | FUJIFILMからだサイエンスラボ | 富士フイルム
(URL:https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/how-astaxanthin-works-recovering-from-fatigue-02/)
※9 脂肪燃焼の相談 | アスタキサンチンラボ|アスタリール株式会社
(URL:https://astaxanthin-lab.com/diet/)
※10 メタボの相談 | アスタキサンチンラボ|アスタリール株式会社
(URL:https://astaxanthin-lab.com/metabolic/)
※11 「アスタキサンチン」がインスリン抵抗性を改善 骨格筋のミトコンドリア機能を高め糖尿病を改善することを発見 | ニュース | 糖尿病リソースガイド
(URL:http://dm-rg.net/news/2020/02/020275.html)
※12 10分間の軽い運動でも認知機能の向上に効果―脳神経活動をモニターして解明:筑波大学/中央大学 | (旧)ウィークリー:つくばサイエンスニュース
(URL:http://www.tsukuba-sci.com/cms/?p=21157)
※13 アスタキサンチン摂取は軽運動による海馬機能向上効果をさらに増強する – TSUKUBA JOURNAL
(URL:https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20190514040035.html)
※14 過活動膀胱の相談 | アスタキサンチンラボ
(URL:https://astaxanthin-lab.com/frequent-urination/)
※15 機能性表示食品の届出情報検索 | 消費者庁
(URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search/)
※16 Safety of astaxanthin for its use as a novel food in food supplements|EFSA JOURNAL Volume18, Issue2 February 2020 e05993
(URL:https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2020.5993)
※17 【PDF】ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチン:アスタリールの安全性|日本補完代替医療学会誌 第12巻 第1号 2015年3月:9-17
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/12/1/12_9/_pdf)
※18 Interaction between warfarin and astaxanthin: A case report|J Cardiol Cases 2019 Feb 18;19(5):173-175. doi: 10.1016/j.jccase.2019.01.002.
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31073352/)
※19 【PDF】緑藻ヘマトコッカスによるアスタキサンチンの生産とその利用|オレオサイエンス 12巻(2012)10号
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/12/10/12_525/_pdf/-char/ja)
成分
10秒解説
アスタキサンチンは自然界に存在する赤色の色素で、サケやカニ・イクラなどに含まれるカロテノイドの一種。安全性が高く、緑黄色野菜に含まれるβカロテンよりも高い抗酸化作用を持つことから、予防医療や美容の分野で期待されている成分です。