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クレアチン

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成分
10秒解説

クレアチンはアミノ酸の一種です。体内で合成され、その多くが「クレアチンリン酸」として筋肉に蓄えられています。より多くのクレアチンを体内に蓄えられると、瞬発力を必要とする運動パフォーマンスの向上に効果が期待できるといわれています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 運動時の持久力の向上
  • 筋肉量の増加

クレアチンとは

運動パフォーマンスの向上に役立ちアスリートを支えるアミノ酸の一種

クレアチンはアルギニン、グリシン、メチオニンの3種類からつくられるアミノ酸の一種です。そのほとんどが筋肉に「クレアチンリン酸」として貯蔵されており、運動パフォーマンスの向上に役立つと考えられています[※1]。

運動時、つまり筋収縮の際に必要なエネルギー源は筋肉中のATPです。このATPが分解され、ADPがつくられる際にエネルギーが生じます。しかし、筋肉中に蓄えられたATPの量はわずかであるため、すぐに使い果たしてしまいます。そこで使われるのがクレアチンリン酸。クレアチンリン酸からリン酸が放出されることで、速やかにATPが再合成されるのです[※2]。

クレアチンを摂取することで筋肉中のクレアチンリン酸濃度が増すと、ATPが再合成されやすくなります。そのため、瞬発力を要する競技に必要なエネルギー源が素早く供給できると考えられています[※3]。

なお、比較的軽い強度で長時間行う有酸素運動においては効果が期待できないとされています[※4]。

期待される効果・作用

運動時の持久力の向上

運動時のエネルギー供給をスムーズに行えることから、クレアチンには持久力の向上が期待されています。

筋肉を動かす際に必要なエネルギー源は、ATP(アデノシン三リン酸)が加水分解されADP(アデノシン二リン酸)が生じる際に発生します。運動を持続するためには体内のATPを再合成し、エネルギーを補給し続ける必要があるのです。

筋肉量の増加

クレアチンの摂取と同時に筋力トレーニングを行うことで、脂肪量の低下と体重増加、つまり筋肉量の増加が見られたことが報告されています[※5]。

理解しておくべきなのは、これはクレアチンの摂取だけで筋肉量が増えたのはなく、筋力トレーニングと同時にクレアチンを摂取することで、筋肉量を増やせる可能性があるということです。

こんな方におすすめ

クレアチンは、日常的に運動している方やアスリートなど、トレーニングや競技のパフォーマンス向上を目指す方に適した成分です。特に、瞬発力を必要とする競技を行う方への効果が期待できると考えられます。

クレアチンの摂取目標量や上限の目安量は設定されていません。しかし体重70kgの大人で1日当たり約2gのクレアチンが必要であるといわれており、そのうちの半分は肝臓で合成されているのです[※3]。

運動能力を高める目的としては、さまざまなクレアチンの摂取スケジュールが用いられています。一般的なのは初期に1日当たり10~35gを4~10日間摂取し、その後1日当たり2~9gを持続的に摂取するスケジュールです[※4]。

なお、個人的にサプリメントなどを使用する場合は、製品に記載してある1日当たりの摂取目安量を守りましょう。

考えられるリスク・
副作用

クレアチンは、健康な方が適量を摂取する場合は安全性が高いとされています。

しかし、長期的に摂取したり、過剰摂取したりすると健康被害を生じる可能性があるため、注意が必要です。また、妊娠中の方や授乳中の方が摂取することについてのデータは不十分であるため、摂取は避けたほうがよいでしょう。

サプリメントなどからクレアチンを過剰に摂取すると胃痛や吐き気、下痢などを起こす可能性があります。また、腎疾患や腎機能が低下する恐れのある糖尿病の方などは、クレアチンの摂取により腎機能が悪化する可能性があります。

また、カフェインやマオウ(麻黄)と併用することで重篤な副作用を引き起こす恐れがあるとされています。

クレアチンを含む食べ物

クレアチンは肉類や魚類などに含まれています。これらの食品以外にはほとんど含まれていない上に、加熱によって含有量が減少する[※1]ため、一般的にはサプリメントで摂取することが多いようです。

なお、クレアチンと炭水化物を同時に摂取することで、クレアチンを単独摂取するよりも筋肉中のクレアチン値が上昇することが分かっています[※4]。

発見・研究の歴史

クレアチン研究の歴史は古く、1832年にフランスの化学者Michel Eugene Chevreulによって発見されたことに始まります[※6]。

しかし運動能力の向上に効果があることが報告されるようになったのは、1990年代初期と、比較的最近です。1992年のオリンピックで活躍した陸上競技選手がクレアチンを用いていたことが話題となり、さまざまなスポーツによるクレアチンの効果が報告されました[※1]。

クレアチンに関する研究情報

【1】ギプスで右脚を2週間固定した後、半数の被験者はクレアチンモノハイドレート(CR、1日20gから5gまで)、残りはプラセボを摂取して週1回×10週間の膝伸展のリハビリテーションプログラムに参加しました。その結果、クレアチンを摂取した群はプラセボと比較して膝関節伸展力ならびに膝下筋面積でより早い回復が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11600695/

【2】65歳を超えた高齢者のレジスタンス運動トレーニング後に、クレアチンモノハイドレート(CrM)+共役リノール酸(CLA)を投与したところ、筋持久力、等速性膝伸展力、除脂肪体重の改善や脂肪量の低下みられました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17912368/

【3】クレアチンの摂取はハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの改善に役立つことが報告されていますが、ホモシステインの産生を減少させることにより、冠動脈疾患または脳血管疾患などの発症リスクを低減する可能性も期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12044443/

【4】クレアチンを(8g/日・5日間)摂取することで、簡単な計算の繰り返しによる精神的疲労が軽減されました。これは、被験者の脳内酸素化ヘモグロビンのタスク誘発性の上昇が有意に抑制されることによって、脳内の酸素利用が促進されることによる効果であると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11985880/

参照・引用サイトおよび文献

※1  第1回「クレアチンの基礎 その効果と作用機序、歴史」 | 一般社団法人日本スポーツ栄養協会
(URL:https://sndj-web.jp/news/000606.php

※2 クレアチンリン酸 / CrP | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-018.html

※3 クレアチン|特定非営利活動法人日本食品機能研究会
(URL:https://www.jafra.gr.jp/crea.html

※4 クレアチン|健康食品・サプリ[成分]のすべて(第6判) ナチュラルメディシン・データベース

※5 Mark Tarnopolsky et al.「Creatine monohydrate and conjugated linoleic acid improve strength and body composition following resistance exercise in older adults」|PLoS One. 2007; 2(10): e991.
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17912368/

※6 【PDF】クレアチンモノハイドレートのサプリメント補給:アスリートの認知能力に関する留意点|特定非営利活動法人 NSCAジャパン
(URL:https://www.nsca-japan.or.jp/journal/25_10_46-55.pdf

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