リコピン
こんなお悩み・健康効果に
- コレステロール値を下げる
- 疲労回復
- しわ・たるみ予防
- しみ・くすみ予防
- 美肌
- 生活習慣病予防
- 血管性トラブル予防
- 眼の健康
リコピンとは
抗酸化作用が高い成分です。
リコピンは、フィトケミカル(植物のもつ色素や香り、アクのもとで、体の生理機能にはたらきかける物質)の一種である、カロテノイドに分類されます。カロテノイドは色素成分であり、リコピンはその中のカロテン類に属している赤色色素成分です。
リコピンは、活性酸素を除去・無害化する、抗酸化作用が高いことで知られています。活性酸素は、人体に必要なものである一方、必要以上になると、体内のたんぱく質、脂質、DNAを傷つけ、悪影響を及ぼします。リコピンは、体内で必要以上に増加した活性酸素に対して強い力を発揮し、酸化の害から体を守るのです。
リコピンの抗酸化力は、抗酸化ビタミンとして知られているビタミンEの100倍以上とも言われています。
LDLコレステロール値の正常化、生活習慣病の予防、エイジングケアなど、健康・美容に対する様々な効果も期待されています。
リコピンを多く含む食べ物は、プチトマト、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツなど。脂溶性であるため、生で摂取するよりも、調理法や食べ合わせを工夫し、油と併せたほうが効率的に摂取できます。
期待される効果・作用
血中LDLコレステロールの酸化抑制
リコピンのもつ抗酸化作用によって、血中LDLコレステロールの酸化抑制が期待できます。血中に酸化したLDLコレステロールが増加していると、血液はドロドロ状態になっているため、血流が悪く、全身への酸素・栄養分の運搬が滞ってしまうのです。その結果、様々な疾患の引き金や体温低下による免疫力低下を招く要因となります。 リコピンは、老化現象が現れやすい血液や血管も活性酸素の害から守るため、体内のエイジングケアに役立つ可能性があります。
視覚機能サポート
抗酸化作用の高いリコピンは、活性酸素による視覚機能低下のケアに役立つことが期待されています。加齢によっておこる白内障・黄斑変性症などの視疾患に対して効果的とされているルテインと併せて摂取することで、相互作用を発揮します。 また近年の研究により、糖尿病合併症の一つである糖尿病性網膜症の患者においては、リコピンやルテイン、ゼアキサンチンなど、視覚機能に関わる成分の不足傾向が示唆されているようです。このことから、糖尿病網膜症のケアとしてのリコピン摂取の必要性が注目されています。[※1][※2][※3]
生活習慣病対策
生活習慣病の中には、体内で必要以上に増加した活性酸素が原因の1つとなっているものがあります。活性酸素によって血液や血管が酸化されると、血流の悪化や血管壁の脆弱化、血管のしなやかさや弾力性の低下などが生じ、動脈硬化や高血圧のリスクが高まります。また血流の悪化は代謝の低下につながるため、栄養分の代謝が滞り、肥満の要因ともなるのです。そのほかにも活性酸素は細胞や組織に様々な悪影響を及ぼします。リコピンはその高い抗酸化力で、生活習慣病リスクを高める活性酸素を除去するため、生活習慣病対策に効果が期待されているのです。[※4][※5][※6]
健康な肌づくり
リコピンの抗酸化作用は、スキンケアにも役立つことが期待されています。活性酸素は必要以上に増加すると、肌細胞にダメージを与え、ターンオーバー(新陳代謝)のリズムを崩してしまうのです。その結果、肌細胞が正常な状態で入れ替わることができなくなり、ハリや潤いが減少。しわやたるみの原因となってしまいます。 このようなことから、健康な肌づくりにはリコピンの抗酸化作用による活性酸素除去が役立つと期待されているのです。[※7]
紫外線ダメージのケア
活性酸素は紫外線によっても増加します。適度な紫外線は骨の形成に重要なビタミンDの合成を促しますが、過剰に浴びることで日焼けやシミやくすみの原因となるメラニン色素の合成を促すのです。 そのため抗酸化作用をもつリコピンの摂取は、紫外線による肌ダメージケアへの効果が期待されています。[※7]
こんな方におすすめ
リコピンは、体内で必要以上に増加した活性酸素を除去する、抗酸化作用をもっているため、体内の酸化を抑え、細胞や組織の老化防止や健康維持に役立つことが期待されています。体内が酸化することによって発症しやすい生活習慣病や肥満のほか、白内障や黄斑変性症などの対策・視覚機能ケアに適した成分です。
また活性酸素は、紫外線によって増加する性質があるため、紫外線による肌ダメージの対策やケアとしてもおすすめできます。
研究段階ではありますが、リコピンの抗酸化作用が、活性酸素による細胞の傷害を防ぐことによって、細胞のがん化を抑制やがん細胞の増殖を抑える効果が注目されています。今後のがん対策法、治療法となることが期待されているようです。
摂取目安量・上限目安量
リコピンはビタミンやミネラルのような栄養素ではないこともあり、摂取目安量や上限量は定められていません。一般的な目安として、15~20mg/日程度の摂取によって、リコピンのもつ抗酸化作用の効果が発揮されるようです。この量はリコピンを多く含むトマトで換算すると、大きめサイズのトマトを1日あたり2個摂取する計算になります。
日本国内では摂取量が定められていないものの、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)においてはリコピンの摂取上限について「リコピンの全摂取量が20mg/dayを超えることは必要かつ有益であるとは考えない」との見解を示しています。この数値を設定した理由としてフランス食品衛生安全庁(AFSSA)は、これ以上多く摂取したとしても健康効果が大きくなる可能性は低いためとしています。[※8]
考えられるリスク・
副作用
トマトやニンジンなどの食品を介してのリコピン摂取においては、基本的にリスク・副作用は起こりにくいとされています。しかし、サプリメントのように成分が凝縮している場合には想定外の副作用が生じる可能性があるため、摂取目安量を守ったうえでの摂取が必要です。
また現段階では、リコピンと医薬品の相互作用についての明確なデータが乏しいため、治療中の疾患で服薬をしている方の場合は、医師と相談のうえ摂取を検討することが推奨されます。
リコピンを含む
食べ物
リコピンはカロテン類に属する赤色色素であるため、赤みのある食べ物に多く含まれています。
リコピンを含む主な食べ物
- トマト
- スイカ(赤肉種)
- ニンジン
- ピンクグレープフルーツ
- 柿
- アンズ
- パパイア
- マンゴー
リコピンは油に溶けやすく、熱を加えることによって吸収されやすくなる性質をもっているため、リコピンを効率よく摂取するには油を使った加熱調理を取り入れるとよいでしょう。
また、カボチャやブロッコリー、ほうれん草などに含まれている色素成分ルテインと併せて摂ることで相乗効果が発揮されます。この2つの成分のはたらきによって、活性酸素による目の老化(白内障や黄斑変性症など)の対策やケアに役立つことが明らかになりつつあるようです。
発見・研究の歴史
リコピンは従来、一括りにカロテノイドとして分類されていました。しかし1903年に行われた研究の結果から、カロテノイドとは異なる物質であることが明らかにされ、初めてリコピンという名称が与えられました。当時は単純にカロテノイドとの区別化のためだけに名前がつけられただけであり、リコピンの具体的な作用については解明されていなかったようです。
1980年代に入った頃から、リコピンのもつ抗酸化作用や血行促進作用が明らかになり始めました。その後も研究が進み、1995年には、がんへの効果が示唆されるようになり、リコピンの可能性を探求するための研究が盛んになったのです。現在も国内外でリコピンに関する様々な研究が進められています。
リコピンに関する研究情報
【1】糖尿病性網膜症患者において、血中のリコピン濃度低下が確認されていることから、リコピンを多く含むトマトの摂取によって、血中リコピン濃度を上昇させることが、糖尿病性網膜症の予防・改善に影響をあたえるかの解明が注目されています。
【2】リコピン摂取による血中コレステロール値と血圧の変化を調査した結果、リコピンを摂取することによって、収縮期血圧の低下およびコレステロール値の低下がみられました。この結果より、リコピンには、高血圧および高脂血症予防効果が期待されています。
【3】リコピンの摂取により、動脈硬化の一員となるLDLコレステロールの酸化阻害がみられました。この結果より、リコピンには、動脈硬化予防および血流改善効果が期待されています。
【4】腎疾患患者20名における、血中抗酸化物質と動脈硬化の関連性を調査した結果、VA、VE、リコピン、βカロテン濃度が低いと、コレステロール値が高くなることが示されました。この結果から、リコピン濃度と動脈硬化リスクの関連性が示唆されました。
【5】成人女性20名が、リコピン16mg含有トマトペーストを12週間にわたって摂取した結果、紫外線による紅斑感受性の抑制およびコラーゲン分解酵素MMP-1の活性化抑制がみられました。この結果より、リコピンには、紫外線から肌を守る効果が期待されています。
成分
10秒解説
リコピンは、トマトやニンジンなどに含まれる赤色色素です。カロテンの一種であり、脂溶性で熱に強い性質をもっています。高い抗酸化力が特徴で、ビタミンEの100倍以上ともいわれているほどです。LDLコレステロール値の低下、生活習慣病の予防などの効果が期待できます。