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MSM(メチルスルフォニルメタン)

成分
10秒解説

MSMとはメチルスルフォニルメタンの略称で、ヒトの体内にもともとある成分。皮膚、関節、毛髪、爪などに必要な、コラーゲンの生成をサポートするという働きを持っています。研究データはまだ少ないですが毒性がほとんどなく、美容業界や健康業会から注目を集めています。

こんなお悩み・健康効果に

  • アレルギー症状緩和
  • 疲労回復
  • 関節痛・関節炎対策
  • 頻尿改善
  • 膀胱炎予防
  • 花粉症対策
  • 美肌
  • 肌の保湿力アップ
  • エイジングケア
  • 美髪
  • 爪を丈夫にする

MSM(メチルスルフォニルメタン)とは

コラーゲンの生成サポートが期待でき、
美肌や関節の健康維持成分として注目されています。

MSMは、もともと人体にも含まれている有機硫黄化合物。MSMは略称で、正式な学名はメチルスルフォニルメタン(Methylsulfonylmethane)です。

MSMの原料となるのは、海水や大気に含まれるDMS(ジメチルスルフィド)という物質。DMSは強い毒性を示しますが、酸素と結合すると毒性の低いDMSO(ジメチルスルホキシド)に変化。そのDMSOが動物や植物に吸収・代謝されてできたのがMSMなのです。

そのため、MSMは人間だけでなくさまざまな動物や植物にも含まれています。とくに人体では、弾力のある皮膚や血管、しなやかで丈夫な骨、軟骨、腱などに必要なコラーゲン生成のサポートをするという働きを持っています。

MSMには毒性がほとんどなく、しかもコラーゲン生成のサポートをするということで美容・健康業界からの熱い注目を集めています。すでに関節痛や筋肉疲労を和らげる効果、丈夫な爪や髪の毛をつくる美容効果などが確認されており、2001年には健康食品への利用が認められています。

MSMはあらゆる生物に存在しているため、野菜、果物、牛乳、穀物といった食品からも摂取できますが、健康や美容効果を実感できるほどの量を摂取するのは難しいとされています。そのため、効率的な摂取にはサプリメントの利用が望ましいでしょう。

期待される効果・作用

関節の健康維持

MSM(メチルスルフォニルメタン)は、関節と関節の間にある軟骨のすり減りや、それに伴う痛みや炎症をやわらげるという働きを持っています。MSMは天然の硫黄化合物で、これに含まれる硫黄はスムーズな関節の動きに必要な関節液の主成分、コンドロイチン硫酸のもとになります。コンドロイチン硫酸が増加すると関節液の量も増え、関節の動きがスムーズになり、軟骨のすり減りや痛みといった症状を抑えることにつながるのです。

運動後の疲労回復効果

運動をすると乳酸をはじめとする疲労物質が蓄積し、筋肉痛などが起こりやすくなります。MSMには体内の抗酸化力を高める作用があり、これが運動によって発生する酸化ストレスを低減。運動後の疲労回復をスムーズにし、筋肉痛や疲労感を防いでくれるのです。また、体内に溜まった疲労物質である乳酸を体外へ排出するという働きも持っています。

皮膚・爪・髪の健康維持

天然の硫黄化合物であるMSMには、皮膚や軟骨といった結合組織の生成に欠かせない硫黄が含まれています。この硫黄は、若々しい肌、丈夫な爪、ツヤのある髪の毛の維持にも不可欠。それは、硫黄がコラーゲンの生成を促すだけでなく、コラーゲンの柔軟性を向上させるという働きを持っているからです。硫黄が不足すると細胞の柔軟性が失われ、皮膚、爪、髪の老化につながるため、MSMは美容効果やエイジングケアに必要な成分であると考えられます。

アレルギー症状の緩和

MSMには体内に入り込んだアレルゲンを排出する働きがあるため、アレルギー症状の予防や緩和に効果があるとされています。MSMには細胞の水分透過性をアップさせる作用があり、この作用が体内に入り込んだアレルゲンや異物を排出してくれるのです。

アレルギー症状のなかでも、MSMはとくに花粉症によるアレルギー性鼻炎に有効であるといわれています。これは、アメリカで行われた季節性アレルギー鼻炎を持つ患者50名を対象とした非盲検試験です。被験者に1日2600mgのMSMを30日間摂取してもらったところ、呼吸器系とエネルギーレベルの改善が認められました。[※2]

間質性膀胱炎に対する作用

間質性膀胱炎(Interstitial Cystitis:IC)とは、頻尿、尿意圧迫感、残尿感、畜尿時の膀胱通、排尿困難などを主な症状とする、膀胱間質における慢性炎症性疾患。世界の患者数を見るととくにアメリカに多く、非常に多くの患者がこの症状に悩まされています。性別や年代を問わず発症するものですが、なかでも女性に多く見られるのが特徴です。

原因が明らかになっていないため対症療法が主流ですが、MSMが酸素と結合することで変化するDMSO(ジメチルスルホキシド)を投与することで、間質性膀胱炎の症状緩和が見られたといわれています。[※2] [※4]

DMSOによる治療は、膀胱注入法が用いられます。これはDMSOを含む液体(DMSO = Rimso-50)を膀胱に注入し、15分後に排出するという方法。この治療法でDMSOが膀胱壁に浸透し、炎症を抑えて痛みを遮断するのではないかと考えられています。また、膀胱の収縮を抑えることによる、頻尿や尿意切迫感の予防も期待できます。

こんな方におすすめ

MSM(メチルスルフォニルメタン)には関節の健康を維持する効果があるため、膝、肩、腰といったふしぶしの痛みが顕著になる40代以降の人におすすめ。「布団から起き上がるのがツラい」「階段の昇り降りでひざに痛みを感じる」といった人は、MSMを積極的に摂取すると良いでしょう。また、テニスやマラソンといった、膝を酷使するスポーツをしている人にも最適。関節の保護だけでなく、疲労の回復効果も期待できます。

また、MSMに含まれる硫黄は健康的な肌、髪、爪の維持にも役立っているため、美容効果やエイジングケアを意識したい人にもピッタリ。コラーゲンを摂取してもなかなか効果が出ない……と感じている人は、コラーゲン生成を促すMSMの摂取を視野に入れてみると良いでしょう。また、膀胱炎や頻尿といった泌尿器系のトラブルを予防したい人や、季節性アレルギー性鼻炎の予防にも向いています。

MSMの1日の摂取目安量や上限目安量については、とくに設定されていません。摂取目安として参考になるのは、MSM配合サプリメントの含有量です。サプリメントを調査したところ、1日あたりの摂取目安量に含まれるMSM量は1~3gが平均だったため、これを目安にすると良いでしょう。
また、MSMは水溶性の性質を持っているため、摂取から12時間後には体外へ排出されてしまいます。そのため、適量を継続して摂取することが重要です。

考えられるリスク・
副作用

MSMはヒトの体内にも存在する物質であり、毒性も低いため、適量の摂取であれば安全性は高いとされています。長期間の摂取に関しても約12時間で体外へ排出されるため、問題はないといわれています。
ただし、大量のMSMを長期間にわたって摂取した場合、頭痛、疲労感、吐き気、下痢、下腹部の張り、不眠といった副作用が現れることがあります。ごくまれにアレルギー症状が見られることもあるため、適量を守って摂取することが重要です。

MSMを含む
食べ物

MSMは、牛乳、野菜、果物、穀物といった、日常的に口にしている食品に少量ずつ含まれています。中でも牛乳には約3.3ppmと、他の食品と比較するとMSMが多く含有されています。[※2]この他にもトマト、大根、きゅうり、アスパラガス、りんご、ラズベリーなどにも含まれていますが、その量はごくわずか。

MSMの摂取目安量は1~3gとされますが、食品のみでこれらの量を補給するのは至難の業です。しかもMSMは熱に弱いという性質があるため、加熱調理を行うとほとんど摂取できない成分なのです。そのため、MSMを安定して摂取するならサプリメントの利用が推奨されます。

発見・研究の歴史

MSMを最初に発見したのは、アメリカの総合製紙・林業会社であるクラウン・ゼラーパック社です。

紙を製造する過程で見つけたクラフトパルプ廃液に含まれるDMS(メチルスルフィド)の研究を行ったところ、DMSが酸化に伴ってDMSO(ジメチルスルフォキシド)に変換されることや、DMSOが代謝されることでMSMに変化するというプロセスが明らかになりました。その後、クラウン・ゼラーパック社で研究を進めていたロバート・ハーシュラー博士が人体に与えるMSMの効果・効能を確認。特許を取得しました。

MSMに関する研究情報

【1】形性関節症患者に3gのMSMもしくは偽薬(プラセボ)を1日2回投与したところ、MSMを投与されたグループでは変形関節症の痛みや健康状態を示すスコアの数値が改善しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16309928/?dopt=Abstract

【2】45~90歳の変形膝関節症患者49名に1.125mgのMSMを1日3回摂取してもらったところ、MSMを摂取していたグループでは膝関節の疼痛やWOMACスコアの改善が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21708034/?dopt=Abstract

【3】季節性アレルギー性鼻炎患者50名に、1日あたり2,600㎎のMSMを摂取してもらったところ、血中IgEやヒスタミンの数値に影響を及ぼすことなく、上気道をはじめとする呼吸器症状の改善効果が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12006124/

参照・引用サイトおよび文献

※1「MSMの健康作用│株式会社CICフロンティア」
(URL:https://www.cicfrontier.co.jp/msm/effect.html

※2「健康・栄養フォーラム メチルスルフォニルメタン(MSM) について│独立行政法人国立健康・栄養研究所」
(URL:https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/pico/index.phpcontent_id=191.html

※3「あらゆる関節の痛みに役立つMSM│ふみ整体院」
(URL:https://23san.com/archives/340

※4「間質性膀胱炎 Interstitial Cystitis = IC(2014.1.1)│サンディエゴゆうゆう」
(URL:https://sandiegoyuyu.com/index.php/professional-tips2-2/american-health/10893-gallstones-2012-9-18

※5「MSM Q&A よくある質問│株式会社プロ・アクティブ」
(URL:https://www.e-msm.jp/msm/qa.html

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