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α(アルファ)リポ酸

成分
10秒解説

αリポ酸はチオクト酸も呼ばれる補酵素で、すべての細胞のミトコンドリアに存在しているもの。ミトコンドリアは生命活動に必要なエネルギーを生成していますが、その働きをスムーズにしてくれるのがαリポ酸です。食品にも含まれていますが、サプリの成分としても知られています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 血糖値の上昇抑制
  • 疲労回復
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 美肌
  • 生活習慣病予防
  • エイジングケア
  • 糖尿病予防

α(アルファ)リポ酸とは

エネルギー代謝を促進する補酵素ですが、
抗酸化作用も高く、様々な健康効果が期待できます。

αリポ酸はエネルギー代謝を促進する補酵素で、チオクト酸(Thioctic acid)とも呼ばれるもの。
人体は約60兆個の細胞で構成されており、その中にエネルギー生成を司るミトコンドリアがあります。αリポ酸はこのすべてのミトコンドリアに存在する成分です。ミトコンドリアは、体を動かす・消化をする・呼吸をするといった生命活動に必要なエネルギーを生み出しています。

αリポ酸は体内でも合成されますが、加齢と共にその量は減少。αリポ酸が減少するとミトコンドリアがエネルギーを生成できなくなり、細胞が老化してしまいます。そのため、食品やサプリメントからαリポ酸を補給することが重要であるとされています。

αリポ酸には、R体とS体の2種類があります。R体は体内で作られる天然タイプのαリポ酸。一方、S体のαリポ酸は非天然タイプで、人工的な合成から生まれるものです。これまでR体のサプリメントは人工的な生成が難しいといわれてきましたが、さまざまな研究から製造技術が向上。サプリメントをはじめとする健康食品などにも、安全なものが使われるようになってきました。ちなみに、αリポ酸のサプリメント使用が認められたのは2004年以降のこと。それまでは医薬品として用いられていました。

期待される効果・作用

抗酸化作用による活性酸素の除去

αリポ酸は補酵素のひとつですが、強力な抗酸化作用も認められています。疲労・過度なストレス・加齢などで増える活性酸素は、健康な細胞を傷つけて老化や生活習慣病の原因となるもの。アンチエイジングや疾病予防のためには、この活性酸素の害から体を守る必要があるのですが、そこで役立つのがαリポ酸です。
抗酸化物質はほかにもたくさん存在していますが、αリポ酸の抗酸化力は、代表的な抗酸化物質であるビタミンEの数百倍と言われています。また、αリポ酸にはビタミンE、ビタミンC、コエンザイムQ10、グルタチオンなどの抗酸化力を回復させるという働きも持っています。しかも抗酸化物質は水溶性と脂溶性に分けられますが、αリポ酸はその両方の性質を併せ持っているため、働く場所が限定されないのも特徴です。

疲労回復効果

ミトコンドリア内に存在しているαリポ酸は、エネルギーの代謝をサポートして疲労回復に役立つとされています。αリポ酸は、クエン酸回路をスムーズに進めるための補酵素としての役割を持っています。
ミトコンドリアがエネルギーを生成するには栄養が必要ですが、そのためには外部から取り込まれた栄養素をATP(アデノシン三リン酸)に変換しなければなりません。そのATPを作り出すプロセスがクエン酸回路で、αリポ酸はそれに補酵素として携わっているのです。つまり、αリポ酸がなければ疲労を回復するためのエネルギーが生み出されず、疲労が溜まったままとなってしまうのです。

美肌効果

シミ、しわ、たるみといった、肌の老化現象の原因となる活性酸素。αリポ酸の抗酸化作用には、活性酸素のダメージから細胞を守って美しい肌づくりをサポートするという役割もあります。
美しくハリのある肌には、皮膚の真皮にあるコラーゲン、エラスチンといった成分が欠かせません。そのためには、活性酸素のダメージからコラーゲンやエラスチンを守ることが重要ですが、そこで活躍するのがαリポ酸です。αリポ酸にはビタミンE、ビタミンCの数百倍の抗酸化力があるとされているため、美肌のためにも積極的な摂取を心がけたいものです。

糖尿病の予防効果

αリポ酸には、糖の代謝を促す働きがあります。この働きは糖尿病の予防につながると考えられています。糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンが減少し、血液中のブドウ糖の量が増えることで起こる病気。自覚症状がほとんどないため、知らず知らずのうちに悪化することが多く、気づいたときには重症化していたというケースも少なくありません。
αリポ酸には、体内の糖がエネルギーとして効率よく使われるよう促す作用があります。これにより血液中の糖の量がコントロールされるため、糖尿病予防につながるというわけです。
ただし、ヨーロッパでは糖尿病治療薬としてαリポ酸が使われていますが、臨床データとしてはまだ不十分な部分もあります。そのため、血糖値のコントロールや糖尿病予防に対してαリポ酸に過剰な期待をかけることは避けるのが賢明です。

こんな方におすすめ

αリポ酸には、細胞のエネルギー生成を促して疲労を回復する効果が期待できます。そのため、ハードなスポーツをしている人や筋トレをしている人、肉体労働をしている人などにおすすめの成分です。また、ちょっと動いただけですぐ疲れてしまう人や、慢性的に疲労感を覚えるという人も、αリポ酸を意識的に摂取すると良いでしょう。

αリポ酸は、ビタミンC、ビタミンEよりも高い抗酸化力を持つ成分です。体内に発生する活性酸素からコラーゲンなどを守る働きがあるため、シミ、しわ、たるみなどが気になる人にも向いています。また、活性酸素による細胞の酸化を防いでくれるので、エイジングケアに力を入れたい人にも適しています。

食品から取り入れるαリポ酸の摂取目安量についてはとくに決められていません。αリポ酸が含まれるサプリメントも販売されていますが、国民生活センターが調査した結果によると、サプリメントの製造メーカーによってαリポ酸の含有量にはかなり違いがあるようです。中には適切な表示がなされていなかったり、過剰な健康・美容効果を謳っているような製品もあるため、サプリメントを利用する際には信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。

考えられるリスク・
副作用

αリポ酸を摂取する際に気をつけたいのは、インスリン自己免疫症候群を起因とする低血糖症状です。インスリン自己免疫症候群とは、糖尿病治療薬、インスリン治療などとは無関係に起こる低血糖。インスリン自己免疫症候群の発症例を調べたところ、38症例のうち薬物関連のものが21件、そのうちαリポ酸が原因と考えられるものは17件でした。
αリポ酸のサプリメントを摂取した後に、動悸、発汗、めまい、手の震えといった症状が見られ場合は、すぐに使用を中止して医療機関を受診しましょう。[※3]

α(アルファ)リポ酸を含む
食べ物

α(アルファ)リポ酸を含む食品として挙げられるのは、発酵食品です。納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルト、漬け物といった食品には、α(アルファ)リポ酸をはじめとする乳酸菌が豊富に含まれています。
こういった食品を毎日の食卓に積極的に取り入れることは、腸内のα(アルファ)リポ酸を増やすことにつながります。

また、腸内のα(アルファ)リポ酸を増やすためには、オリゴ糖を含む食材を取ることも重要。なぜなら、α(アルファ)リポ酸はオリゴ糖をエサにして増殖を繰り返すからです。
オリゴ糖は豆類、タマネギ、とうもろこし、アスパラガス、ごぼう、ブロッコリー、カリフラワー、アボカド、にんにく、バナナといった食品に多く含まれているため、積極的な摂取をおすすめします。

また、食物繊維もα(アルファ)リポ酸をはじめとする善玉菌のエサとなるため、野菜、キノコ、海藻類、こんにゃくなども取り入れるとベターです。

発見・研究の歴史

αリポ酸の発見は1937年。1951年にエネルギー生成に関与する補酵素としての機能が明らかになり、ビタミンBをサポートしてエネルギーを生成するという働きを持つことが分かりました。さらに1989年には、αリポ酸に強力な抗酸化作用があることが判明。そこから研究が進められ、その力はビタミンC、ビタミンEの数百倍であることが分かったのです。
これを機にサプリメント大国として知られるアメリカで研究が進められ、老化予防効果が期待できる成分として広く知られることになりました。

日本では医薬品としてのみ用いられてきた成分ですが、2004年の「医薬品の範囲に関する基準」の改定により、食品やサプリメントとしての利用が解禁。医師の処方なしでαリポ酸を購入できるようになり、幅広いユーザーに利用されています。[※1]

α(アルファ)リポ酸に関する研究情報

【1】2型糖尿病患者に、αリポ酸を4日間にわたり1日600~1,800 mg経口摂取してもらったところ、インスリンの感受性、糖代謝機能の改善が認められたとのことです。これにより、αリポ酸には糖尿病予防の働きがあることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10468203/

【2】軽度・中等度の糖尿病性末梢神経障害患者に、αリポ酸を摂取しもらった研究です。4年にわたる調査の結果、神経性障害の改善または遅延が認められ、αリポ酸には糖尿病性末梢神経障害の改善効果があることが示されました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22253286

参照・引用サイトおよび文献

※1「α-リポ酸の安全性・有効性情報 (痩身効果との関連)」
(URL:https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail471.html

※2「アルファリポ酸 日本食品機能研究会」
(URL:https://www.jafra.gr.jp/riposan.html

※3「自発性低血糖症の原因としてインスリン自己免疫症候群の頻度が上昇」
(URL:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2010/201005/515346.html

※4「リポ酸 日本微量栄養素情報センター」
(URL:https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%80%A7%E5%9B%A0%E5%AD%90/%E3%83%AA%E3%83%9D%E9%85%B8

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