ヒアルロン酸
こんなお悩み・健康効果に
- しわ・たるみ予防
- ドライアイ予防
- 関節痛・関節炎対策
- 美肌
- 肌の保湿力アップ
- エイジングケア
- 美髪
- 眼の健康
ヒアルロン酸とは
美容目的や関節のトラブル解消などに使用されます。
ヒアルロン酸は、1gあたり6,000mlの水分を抱え込むことのできる高い保水機能を持つ成分。
粘り気のあるムコ多糖類の一種で、主に皮膚、眼球、軟骨といった部位に存在しています。眼球では表面の保護、皮膚では乾燥の防止、関節軟骨では潤滑油やクッションとしての役割を果たしています。その保水力の高さからとくに美容面で注目されており、多くの化粧品に保水成分として配合されているのが特徴です。
ヒアルロン酸は人体のさまざまな部位に存在していますが、加齢と共にその量は減少。20歳がヒアルロン酸量のピークとされており、30代から徐々に減少。赤ちゃんの頃を100%とすると、40代では50%、60代では25%にまで減少するといわれています。[※2]
不足したヒアルロン酸は外部から取り入れることができますが、ヒアルロン酸には分子量の大きい「高分子ヒアルロン酸」と、分子量の小さい「低分子ヒアルロン酸」があります。高分子ヒアルロン酸は天然のものですが、分子量が大きく体内に吸収されにくいのが特徴。低分子ヒアルロン酸は人工的に精製されるものですが、分子量が小さく、体内への吸収率が高いことが特徴です。そのため、健康や美容目的でヒアルロン酸を摂取するのであれば、低分子ヒアルロン酸を上手に取り入れることが重要です。
期待される効果・作用
美肌効果
美肌の大敵である、しわやたるみ。加齢と共に肌のハリや弾力が失われていくと、これらの症状が顕著になります。しかし、優れた保水力を持つヒアルロン酸を補給することで、肌本来のハリや弾力を取り戻すことができます。
ヒアルロン酸を取り入れると肌の保水力がアップし、より多くの水分を蓄えられるようになります。潤いが保たれ乾燥などのダメージにも強くなり、美しい肌をキープできるようになるのです。
ヒアルロン酸を補うには、化粧品やサプリメントなどが挙げられますが、分子量が大きいと体内にほとんど吸収されません。とくに美容液や化粧水の場合は、分子量の小さい低分子ヒアルロン酸が配合されたものを選ぶことが重要です。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織で構成されていますが、ヒアルロン酸が含まれているのは真皮。分子量が大きいと真皮まで到達しないのです。美肌を目指すなら、製品選びにも配慮することが大切です。
美しい髪をつくる効果
ヒアルロン酸の潤いキープ力は、髪の毛や頭皮にも効果を発揮します。髪の毛も年齢と共にパサつきが気になるようになりますが、保水力の高いヒアルロン酸を用いることでツヤやコシがアップ。ボリュームアップも期待できます。また、頭皮がヒアルロン酸で潤うと血行がスムーズになり、毛根に栄養が行き届くようになって健康的な髪が育つようになるのです。ヒアルロン酸で美髪効果を目指すなら、ヒアルロン酸が配合されたシャンプーやコンディショナー、頭皮ケアローションなどを取り入れてみると良いでしょう。
関節軟骨の動きをスムーズにする
ヒアルロン酸は関節部分の軟骨と関節液に含まれており、関節の動きをスムーズにする働きを持っています。しかし、加齢と共にヒアルロン酸が減少すると軟骨がクッションとしての役割を果たさなくなり、歩行時や曲げ伸ばし時の痛み・違和感につながるのです。とくに全身の体重を支えている膝は、この症状が出やすい部分といわれています。
このような関節のトラブルにもヒアルロン酸は効果的です。ヒアルロン酸を取り入れることで関節の動きがスムーズになり、関節の痛みや違和感の緩和も期待できるようになります。
ヒアルロン酸は医薬品としても利用されており、そのうちのひとつに関節機能改善剤があります。膝関節と肩関節に関しては注射による投与が保険適用となっています。
ドライアイの予防
涙の量が足りなくなる、涙の性質が変わる、乾燥した環境に長時間滞在する、瞬きの回数が減るといったことで起こるドライアイ。ドライアイになると目の潤いが不足し、眼球に傷がつきやすくなったり、痛み、違和感、眼精疲労を覚えやすくなります。
このドライアイ治療の基本は点眼となっており、点眼薬にはヒアルロン酸が配合されているものもあります。ヒアルロン酸は水分を保持する機能があり、粘度も高いため、眼球の表面に長く留まってくれるのが特徴。乾燥や刺激から眼球を守ったり、表面についた傷を修復してくれたりします。
こんな方におすすめ
ヒアルロン酸は加齢に伴ってその量が減っていくため、肌や関節などにトラブルが起きやすくなります。これを防ぐためにはヒアルロン酸が持つ保水力が重要となってくるため、肌の場合は「乾燥してハリがない」「肌荒れがひどい」「しわやたるみが目立つ」といった人におすすめです。化粧品やサプリメントで取り入れる場合は、浸透力の高い低分子ヒアルロン酸が含まれているものを選びましょう。
関節の場合は、「歩くと膝に違和感がある」「階段の昇り降りで膝に痛みを感じる」「痛くて肩が上がらない」といった人におすすめ。ただし痛みや炎症が悪化してからだと治療に時間がかかることもあるため、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。ドライアイに悩んでいる人も同様です。
摂取目安量・上限目安量
皮膚に塗布する化粧水、美容液、クリームといったものに関しては、とくに摂取目安量は決められていません。使用する場合は短期間で効果を実感するのは難しいため、体質に合ったものを継続して使うようにしましょう。
サプリメントや健康食品などの摂取目安量に関しては、JHFAマークの規格基準だと1日あたり240㎎が摂取・上限目安量となっています。[※6]
考えられるリスク・
副作用
ヒアルロン酸はもともと体内にある成分なので、健康被害や副作用といった報告はなされていません。他の成分を含むサプリメントや医薬品との併用についても、相互作用は報告されていません。ただし、ヒアルロン酸は腫瘍マーカーであり、特定のがんでは細胞の増殖・転移の際に血中のヒアルロン酸濃度が上昇します。これは、ヒアルロン酸が細胞の移動に関与する活性物質であるとも考えられます。皮膚に塗布するぶんには問題ありませんが、大量のヒアルロン酸を継続的に摂取するのは推奨できないという報告もあります。
ヒアルロン酸を含む食べ物
ヒアルロン酸は、ウナギ、豚足、鶏の手羽、フカヒレ、鶏皮、鶏のトサカ、サメの軟骨、魚の目、すっぽんなどの動物性食品のほか、納豆、海藻、やまいも、オクラといったネバネバした野菜にも含まれています。
身近な食材も多いため、食品からヒアルロン酸を取り入れることは十分可能ですが、天然のヒアルロン酸は分子が大きいのが特徴。体内に吸収されにくいため、食品だけでヒアルロン酸の効果を実感するのはなかなか難しいとされているのです。
そこで取り入れたいのが、ヒアルロン酸入りのサプリメント。できるだけ体内への吸収力をアップさせるためにも、低分子のものを選ぶと良いでしょう。またヒアルロン酸だけでなくビタミンやミネラル、タンパク質といったその他の成分もバランスよく摂ることが重要です。
発見・研究の歴史
ヒアルロン酸が発見されたのは、1934年のこと。アメリカのコロンビア大学で教授を務めていたカール・マイヤー博士が、牛の目の硝子体からヒアルロン酸を発見しました。ヒアルロン酸という名称はギリシャ語で硝子体という意味を持つ「Hyaloid(ヒアロイド)」と、構造に「Uronic acid(ウロン酸)」に持つことから「Hyaluronic acid(ヒアルロン酸)」と命名されました。
その後の研究でヒアルロン酸は人体の皮膚・関節などに含まれていることが分かり、犬の関節治癒や網膜剥離手術後の硝子体置換手術に有効であるという報告もなされました。日本でヒアルロン酸が医薬品として使用されるようになったのは1987年で、変形性膝関節症やドライアイ用目薬、皮膚用の保湿剤としても用いられています。
ヒアルロン酸に関する研究情報
【1】ヒアルロン酸を用いて膝関節症の治療を行った73例を調査したところ、約40~50%に膝関節症の疼痛改善が認められました。
【2】閉経後の女性36名に7カ月にわたり高分子ヒアルロン酸を摂取してもらったところ、膣の萎縮感や紅斑といった症状に改善効果が見られました。
【3】紫外線ダメージを受けた皮膚細胞が分泌する、DAMPsという物質による炎症の悪化を、超低分子ヒアルロン酸(HA4)が軽減することが明らかになっています。
成分
10秒解説
美容成分として広く知られているヒアルロン酸は、優れた保水力を持つムコ多糖類のひとつ。眼球、皮膚、関節などに多く存在している成分で、潤いの保持や潤滑油のような働きを担っています。加齢と共にその量が減ると、しわ、たるみ、関節痛などの原因となります。