グルタチオン
こんなお悩み・健康効果に
- 生活習慣病やがんの予防
- 抗アレルギー作用
- 美白効果
- 肝機能を高める効果
- 眼病予防効果
グルタチオンとは
グルタチオンは「グルタミン酸」「システイン」「グリシン」の3つのアミノ酸が結合した「トリペプチド」と呼ばれる化合物です。動植物や微生物の細胞の中に存在していますが、主に肝臓で多く生成され、体内の異物を解毒する作用でも知られています。
強い抗酸化作用を持つグルタチオンは、活性酸素の発生やその働きを抑えたり除去したりすることで、細胞の損傷や老化を防止してくれる効果が期待されています。[※1]
日本では医薬品として使用されているグルタチオンですが、アメリカではサプリメントとして、タイやフィリピンなどでは美白素材として注目されている成分です。[※2]
また、有効な治療法が確立されていないことから難病指定されている「パーキンソン病」の治療薬としても用いられています。
イタリアの研究者らがパーキンソン病患者の脳内でグルタチオンが減少していることに注目し、グルタチオンの投与を行ったところ、症状の改善が見られました。このことから「グルタチオン点滴療法」が行われるようになり、現在も研究が進められています。[※3]
期待される効果・作用
生活習慣病やがんの予防
グルタチオンの強い抗酸化作用により活性酸を除去することで、動脈硬化や細胞のがん化抑制の可能性が期待されています。[※4]
抗アレルギー作用
抗酸化作用を持つグルタチオンには、免疫力を高めアレルギー症状を緩和する作用が期待できます。[※5]
美白効果
グルタチオンが、シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を阻害している可能性が示唆されています。
このことから、グルタチオンには肌を若々しく保つ効果が期待できると言えるでしょう。[※6]
肝機能を高める効果
肝臓に多く存在し解毒作用を持つグルタチオンは、古くから慢性肝炎の治療に使用しています。[※3]
そのため、肝機能の数値が高めの方にとっても改善が期待できる成分であると言えます。
眼病予防効果
グルタチオンは、肝臓だけではなく目の水晶体や角膜などにも含まれているため、角膜疾患や白内障といった眼病を予防する効果が期待できます。
こんな方におすすめ
グルタチオンには解毒に関わる作用があり慢性肝炎の治療にも使用されているため、お酒を飲む方で肝機能が心配な方におすすめの成分です。
また、グルタチオンには高い抗酸化作用があるため、高血圧や動脈硬化など生活習慣病などの疾病予防対策をしたい方やシミ・そばかすが気になる方にも向いているでしょう。
さらにグルタチオンは目の角膜などにも存在しているため、白内障の予防などにも効果があるとされています。目の健康に気を遣う方にもおすすめの成分です。
摂取目安量・上限目安量
グルタチオンは、日本においては医薬品として扱われている成分です。そのため、摂取目標量などの定めはなくサプリメントとして販売されていません。
食品から摂取することもできるため、グルタチオンを多く含むレバーやキウイフルーツなどを取り入れてみるのも良いでしょう。
考えられるリスク・
副作用
グルタチオンは医薬品扱いの成分であるため、食品としての使用は認められていませんが、医薬品としての安全性は確認されており有害事象も報告されていません。
ただし、グルタチオン投与によりアナフィラキシーや発疹、食欲不振、悪心や嘔吐などの副作用が見られることもあるようです。[※7]
また、妊娠中や授乳中の方においては安全性に関する十分なデータがないため、使用を避けたほうが良いとされています。
グルタチオンを含む食べ物
グルタチオンは以下のような食品に多く含まれています。[※8][※9][※10][※11]
- レバー
- 肉類(牛肉、豚肉)
- タラ
- 小麦胚芽
- パン酵母
- キウイフルーツ
- アボカド
- ほうれん草
- きゅうり
- キャベツ
- かぼちゃ
- トマト
- さやえんどう
- そらまめ
- えのきだけ
このような食品に多く含まれるグルタチオンですが、含有量は食品の鮮度や加熱調理などによっても変化するとされています。また、植物性の食品は動物性の食品より含有量が少ない傾向にあります。[※10]
また、グルタチオンには酸化型ビタミンCを還元型ビタミンCに戻してくれる働きもあります。[※8]
グルタチオンとビタミンCはどちらも抗酸化作用を示す成分のため、これらを同時に摂取することで相乗効果が期待できると考えられるでしょう。
発見・研究の歴史
グルタチオンの研究は、1888年に酵母、牛の肝臓や筋肉、羊の脳、魚類などに硫化水素を発生させる物質の存在を発見したことから始まります。[※12]
「フィロチン」と名付けられたその物質は、グルタミン酸とシステインの2つのアミノ酸が結合したジペプチドであると報告されました。フィロチンはその後再検討され、グルタミン酸、とシステイン、グリシンからなるトリペプチドであることが明らかとなったのです。
グルタチオンは、海外では食品やサプリメントなどとして利用されていますが、日本では医薬品扱いの成分です。
現在は皮膚疾患、肝臓疾患や膵炎、パーキンソン病、アンチエイジング(抗酸化)など多くの症状の治療薬として利用されています。
グルタチオンに関する研究情報
【1】グルタチオンがアルコール性肝疾患の治療に対して効果を示すことが期待されます。
【2】グルタチオンは、糖尿病患者に多い感染症を予防する効果があることが期待されます。
【3】グルタチオンが白内障の発症予防に効果を示す可能性があることが分かりました。
【4】グルタチオンには、メラニンの合成と凝集を阻害する効果が期待されています。
【5】グルタチオンは、パーキンソン病およびその進行の治療において効果を有する可能性があることが示されています。
成分
10秒解説
グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸が連なった化合物がグルタチオンです。体内にも存在し、抗酸化物質として活性酸素などの酸化ストレスから細胞を防御する働きを持っています。アレルギー疾患や肝疾患への有効性が知られていますが、近年はパーキンソン病の治療に対する効果も報告されています。