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エラスチン

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成分
10秒解説

エラスチンは美肌と健康維持に欠かせないたんぱく質の一種です。肌の真皮や靭帯、動脈、肺などに存在し、伸縮性が必要な組織をサポートしています。一般的に、肌のハリに効く成分といえばコラーゲンがよく知られていますが、エラスチンはこのコラーゲン同士を束ねて弾力のある肌へと導く役割を果たしている成分です。

こんなお悩み・健康効果に

  • 肌のハリや潤いの維持
  • 運動機能の向上
  • 動脈硬化の予防

エラスチンとは

コラーゲンとともに美肌や血管の健康維持に関与するたんぱく質

エラスチンは、組織に弾力を与える作用を持つたんぱく質の一種で、大動脈や肺、皮膚、靭帯など伸縮性が必要な組織に多く存在しています。

エラスチンをもっとも多く含んでいる組織は大動脈です。常に伸縮を繰り返し、全身に血液を送り出している大動脈には、高い弾力性を持つエラスチンが不可欠です。また、エラスチンは皮膚の真皮にも含まれています。エラスチンがコラーゲン同士を束ねることで、肌のハリや瑞々しさを保っているのです。

しかし、エラスチンは加齢に伴い減少する傾向にあります。エラスチンが減少すると肌のシワやたるみが現れたり、血管の弾力性が失われ動脈硬化を引き起こしたりするなど、体の老化につながる症状が出現すると考えられています。

エラスチンはグリシン、プロリン、アラニン、バリンなどの疎水性アミノ酸を主とし、約830個のアミノ酸で構成されています。そのアミノ酸構成はコラーゲンと似ていますが、エラスチンにはヒドロキシプロリンが含まれていないという特徴があります。[※1]

期待される効果・作用

肌のハリや潤いの維持

表皮の内側にある真皮に存在するエラスチンは、肌のハリや潤いを保つのに役立っています。

真皮はエラスチンのほか、コラーゲンや両者の間を埋める基質などで構成され、肌の表皮を支えています。しかし、加齢に伴いエラスチンが減少したり変性したりすることで、これらの物質の結びつきが切れやすくなり、弾力性を失ってしまうのです。

このことから、エラスチンを補うことは肌の老化を防ぎ、美肌を保つことに役立つと考えられています。

また、エラスチンは加齢のほか、紫外線を浴びることでも変性しやすくなります。そのため、肌のエラスチンの働きを維持するためには紫外線対策も必要でしょう。[※2]

運動機能の向上

エラスチンは靭帯にも多く存在しています。筋肉や骨とともに運動機能の一翼を担い、骨と骨の間をつなぐ関節の動きをスムーズにしているのが靭帯です。加齢に伴いエラスチンが減少・変性すると靭帯の伸縮性が低下し、関節を曲げたり伸ばしたりすることが難しくなってしまいます。

動物実験では、エラスチンを損傷した靭帯へ局所投与することで、靭帯組織の再生を促す作用があることが報告されています。[※3]また、エラスチンとグルコサミンを同時に経口摂取することで膝痛が軽減されたとの報告もあります。[※2]

動脈硬化の予防

エラスチンは、動脈のしなやかさや弾力性を保ち、動脈硬化を予防するのに役立つ成分であると考えられます。そのため、虚血性心疾患や脳血管疾患の予防効果も期待できるといえるでしょう。

エラスチンが不足するなどして動脈の弾力性が失われると、血管壁が肥厚を起こします。肥厚した血管は硬くなり、血液の循環が悪くなることで血管が詰まりやすくなってしまうのです。

そのため、エラスチンを十分に補うことは、血管のしなやかさを保つのに役立つ可能性があると考えられるでしょう。

こんな方におすすめ

エラスチンは、シワやたるみを防いだりハリを保ったりすることで、肌の若々しさを保ちたい方におすすめの成分です。加齢のほか、紫外線などによっても減少したり変性したりして機能を失いやすくなるため、屋外での作業やスポーツの機会が多い方も、意識してとり入れるとよいでしょう。

また、生活習慣病の予防や、心臓病・脳卒中などの疾患予防に気を遣っている方にも適しているといえる成分です。

加齢による膝痛を予防したり軽減したりしたいという方、スポーツなどにおいて靭帯損傷のリスクを低減させたいという方にもおすすめです。

エラスチンの食事摂取基準による摂取目安量は定められていませんが、サプリメントなどから摂取する場合、1日当たりの摂取目安量は100mgとされています。[※4]

考えられるリスク・
副作用

エラスチンは、人体の組織に存在するたんぱく質の一種です。そのため、エラスチンの摂取による副作用の心配はないと考えてよいでしょう。しかし、サプリメントから摂取する場合には注意が必要です。サプリメントに使用されているエラスチンの原材料はおもにブタや青魚由来であるため[※5]、アレルギーのある方は原材料をチェックしたうえで利用するようにしましょう。

エラスチンを含む食べ物

エラスチンは肉類や魚類に多く含まれる成分です。特に弾力のある部位に多く、代表的なものとしては牛すじや豚足、鶏の手羽、軟骨、魚の皮などが挙げられます。

より効率よくエラスチンを摂取したいという場合は、サプリメントなどを利用するのもひとつの方法です。

なお、エラスチンと一緒に摂取することで相乗効果が得られる成分がコラーゲンです。コラーゲンは、肉類や魚類の「皮」の部分に多く含まれています。両者を含む食品は共通するものが多いため、同時に摂取しやすい成分であるといえるでしょう。[※6]

ただし、このような食品は脂質の含有量が多いため、食べ過ぎには注意する必要があります。

発見・研究の歴史

エラスチンは不溶性のたんぱく質です。水に溶けず解析が困難であったこともあり、エラスチンの研究はコラーゲンに比べて大きな後れを取っていました。しかし、近年は解析方法や抽出技術が進歩したこともあり、研究が大きく進んでいます。[※1]

エラスチンは、皮膚への効果など美容分野のほか、動脈のしなやかさを保つ効果や靭帯の再生を促す効果をはじめとする医療への応用など、今後のさらなる研究にも期待が寄せられています。

エラスチンに関する研究情報

【1】エラスチンには血小板凝集抑制作用、およびヒト皮膚線維芽細胞の増殖を促進することが明らかになりました。その結果、抗血栓作用や血流改善効果、皮膚のハリや弾力、潤いを保つ可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20853312/

【2】活動性のアテローム性動脈硬化症がある場合、エラスチンの合成と分解の両方が亢進している可能性が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19755752/

【3】カツオエラスチンやPro-Glyが靭帯細胞を活性化することにより、靭帯の状態が改善される可能性が示唆されました。また、靭帯の骨化抑制の可能性も示唆されました。
https://www.hayashikane.co.jp/enjoylearn/functionalmaterial/elastin/

参照・引用サイトおよび文献

※1 エラスチン|日本化粧品技術者会 SCCJ
(URL:https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/211

※2 カツオエラスチン|林兼産業株式会社
(URL:https://www.hayashikane.co.jp/enjoylearn/functionalmaterial/elastin/

※3 宮本啓一ら「膝靭帯組織の再生時におけるエラスチンの作用に関する研究」|第32回ライフサポート学会大会
(URL:http://www.jslst.org/documents/Conference/2016/pdf/2A2-F04.pdf

※4 エラスチン食品(エラスチンペプチド含有食品)|公益財団法人日本健康・栄養食品協会
(URL:https://www.jhnfa.org/eras-1.html

※5 ファームエラスチンの原料|株式会社E&Cヘルスケア
(URL:http://eandc-hc.com/material/material_2

※6 乾燥肌によい食べ物はある?美肌を目指す食事術|大正製薬株式会社
(URL:https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_545.html

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