まいたけ
こんなお悩み・健康効果に
- 便秘予防
- コレステロール値を下げる
- 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
- 整腸
- 免疫力向上
- 生活習慣病予防
- がん予防
- 骨粗しょう症予防
- 糖尿病予防
まいたけの成分とは
がんの増殖を抑制するはたらきが期待できます。
まいたけはサルノコシカケ科のキノコです。ほかのキノコ類と同様に、ビタミンD2の前駆体であるエルゴステロールを含んでいます。
エルゴステロールは、紫外線を浴びることによってビタミンD2に変換される成分です。ビタミンD2は、カルシウムとリンのバランス調節に関与し、骨粗しょう症や、くる病、骨軟化症などへの効果が期待されています。
特有の成分はβ-グルカンという多糖類です。β-グルカンはほかのキノコ類にも含まれていますが、まいたけに含まれるものは化学構造が異なり、がんの増殖を抑制するはたらきがあるとされています。まいたけのβ-グルカンはMDフラクションとよばれ、現在は抗がん剤や免疫療法に役立てられています。
上記以外にも、三大栄養素の代謝を促すナイアシンや皮膚や髪の健康にかかわるビオチンも豊富です。
食物酵素も多く、たんぱく質を分解するプロテアーゼを含んでいます。また、冷凍して細胞膜が破壊されると生じるヌクレアーゼは、核酸RNAを分解することで、旨味成分を生成し、まいたけ特有の旨味を醸成します。[※1]
期待される効果・作用
免疫力を向上させる
風邪やインフルエンザなどの感染症やアレルギー症状は、免疫力の低下が一要因です。
まいたけに含まれるβ-グルカンは、マクロファージやNK細胞、白血球T細胞、B細胞など免疫系細胞の活性を促し、免疫関連物質であるインターフェロンの生成を促進する作用もあるため、まいたけ摂取による免疫力向上が期待されています。[※8]
生活習慣病対策
不溶性食物繊維の多いまいたけの摂取により、カサが増えた便は腸内の胆汁酸やコレステロールなどの不要物や発がん性物質を吸着して排出します。その結果、動脈硬化、心疾患、がん、胆石などにつながる、生活習慣病の対策に役立つことが期待されているのです。[※2]
糖尿病対策
食物繊維を多く含むまいたけは、そうでない食物に比べ、咀嚼回数を必要とします。その結果、唾液の分泌量が増加し、満腹を感じやすくなるため、食べ過ぎ対策につながるのです。
食物繊維には糖質や脂質の吸収をゆるやかにする作用もあります。十分な量を摂取することで、食後の血糖値スパイクを抑え、インスリンの過剰な分泌が起こりにくくなるため、糖尿病対策としての効果が期待されているのです。[※2]
便秘対策
まいたけに含まれているβ-グルカンは、不溶性食物繊維の仲間です。不溶性食物繊維は、腸の動きを刺激し、腸内の有害物質排出とともに、便の水分やカサを増やすことで便秘対策として効果が期待できます。また腸内環境を整えることによって、腸内フローラのバランスが整い、便秘対策だけでなく、生活習慣病、アレルギーや自己免疫性疾患、認知症など、全身の健康対策にも役立つ可能性が示唆されているのです。[※3]
がん対策
まいたけに含まれる特有の化学構造を有するβ-グルカンは、MDフラクションとよばれ、がんに対する免疫療法として応用されています。MDフラクションは、免疫機能を活性化させることで免疫力を向上させ、発がん性を抑えたり、がん細胞の増殖や転移を抑制したりという効果が期待されています。[※4]
骨や歯の健康維持
まいたけには、ビタミンD2の前駆体であるエルゴステロールが多く含まれています。エルゴステロールは、紫外線を浴びることによってビタミンD2に変換される成分です。ビタミンD2は、骨や歯の健康に深く関与しているカルシウムとリンの吸収促進や、血中カルシウム濃度の維持にはたらき、健康な骨や歯の形成に役立つとされています。[※1][※5]
二日酔い対策
まいたけは、ビタミンB群の一種であるナイアシンを多く含むのが特徴です。[※9]ナイアシンは、体内で他の物質と結合するとNADに変換されます。NADは、三大栄養素のエネルギー代謝に関わる酵素のはたらきを助ける補酵素として重要です。飲酒した際に発生し、二日酔いの原因となる、アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水酵素も、補酵素としてNADを必要とします。そのため、ナイアシンをしっかりと補給することで、アセトアルデヒドの分解が進みやすくなり、二日酔い対策に役立つことが期待されているのです。
こんな方におすすめ
まいたけには様々な有用成分が含まれているため、幅広い効果・作用が期待されています。特にまいたけ特有のβ-グルカンのはたらきは、感染症・がん対策をしたい方(免疫力の向上)、生活習慣病、便秘対策をしたい方(不要物や有害物質の排出)などにおすすめです。
ほかのキノコ類と同様に、ビタミンDが多いため、丈夫な骨や歯を維持したい方にも適しています。この場合、カルシウムの豊富な食材と併せて摂ると、より効果が期待できるでしょう。
二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドの分解を助ける、ナイアシンも豊富であるため、飲酒する機会が多い方は、意識的にまいたけを摂取すると、翌朝の不快な症状を緩和できる可能性があります。
摂取目安量・上限目安量
食材であるまいたけの上限目安量はとくに定められていません。
まいたけには豊富な栄養素が含まれています。日常的に適正量を摂取することで様々な健康効果を期待できるでしょう。
女子栄養大学栄養学部の上西一弘教授が実施したビタミンD血中量比較のためのヒト実験では、日照量の少ない冬期において4週間毎日まいたけを100g摂取した10名と非摂取の10名では、摂取したグループでは一定量を維持できたにも拘わらず、非摂取グループでは日照不足で体内生成が追い付かず、数値が低下したとの結果が出たと報告されています。[※10]
このことから、まいたけを1日100g摂取することで免疫力アップが期待できると考えられます。
考えられるリスク・
副作用
まいたけ自体が原因となり考えられるリスクではありませんが、まいたけに多く含まれる成分によるリスク・副作用は以下の通りです。
βグルカン
食物繊維としてみた場合、過剰摂取では下痢や栄養分の吸収阻害などが生じ、不足では便秘や腸内環境の乱れなどが生じます。
ナイアシン
過剰摂取では血管拡張を招き、皮膚の赤みや嘔吐、下痢、肝機能障害が生じます。不足ではペラグラ・皮膚炎・神経障害などが生じます。
ビタミンD
過剰摂取では高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが生じ、不足では骨軟化症やくる病・骨粗しょう症などが生じます。
まいたけの成分を
上手に摂取するには
免疫力向上やがん対策が期待できるβ-グルカンは食物繊維の一種であるため、加熱してカサを減らすことでたっぷりと摂ることができます。
二日酔い対策効果が期待できるナイアシンは水溶性ビタミンのため、煮たりゆでたりする場合には、汁ごと摂取することで無駄なく摂り入れることが可能です。
まいたけに含まれるビタミンDは、紫外線を浴びることによって増加するため、調理前に30分程度日光に当てると効率的に摂取できます。また脂溶性であることから、動物性カルシウムを多く含む食材と一緒に摂ることで、吸収率を高めることが可能です。[※5]
発見・研究の歴史
まいたけに含まれる有用成分として知られているβ-グルカンは、1941年アメリカのルイス・ピマレー博士らが酵母の細胞壁から発見した免疫活性物質ザイサモンが起源です。発見された当初のザイサモンは粗製であったため、免疫活性物質の本体は明らかにされていませんでした。
その後1960年代になり、アメリカのニコラス・ディルジオ博士らの研究によって、有効成分がβ-グルカンだということが明らかになったのです。
日本国内においてもβ-グルカンに関する研究が進められ、構造の解明や抗がん作用との関連性などが報告されています。[※7]
まいたけの成分に関する研究情報
【1】ヤマブシタケおよびマイタケ添加飼料を摂取させたマウス実験によると、両飼料とも、EL4腫瘍細胞増殖抑制がみられ、さらにマイタケ添加飼料では、脾臓でのキラーT細胞およびNK細胞の減少抑制がみられました。
【2】高血圧自然発症ラットにマイタケ配合飼料を与え、体重や血液、臓器に及ぼす影響を検討した結果、体重増加抑制効果および血圧上昇抑制効果、コレステロール排泄量増加がみられました。
【3】マイタケの水抽出物を、マウス(B2C1および3T3L1細胞)とヒト前脂肪細胞に作用させた結果、試験したすべての細胞において、脂肪細胞の分化が阻害されました。この結果から、マイタケに含まれる生物活性物質がヒトおよび動物の脂肪細胞に阻害的にはたらくことが示唆されました。
【4】健康な成人男女13名が、米飯と焼きマイタケ、マイタケサプリを異なる組み合わせで摂取し、血糖値の変化を調べた結果、マイタケを併用摂取した群で、血糖値上昇抑制およびセカンドミール効果がみられました。
【5】マイタケに含まれるMDフラクションに、白血球のヘルパーT細胞を活性化させる効果がみられました。この結果より、マイタケには免疫力向上作用が示唆されました。
成分
10秒解説
まいたけには多糖類のβ-グルカンが含まれています。その生成物であるMD-フラクションおよびX-フラクションは、免疫向上や生活習慣病の予防効果が期待されている成分です。 ビタミンDになるエルゴステロールも豊富で、健康な骨や歯の形成に役立つ可能性があります。