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霊芝(れいし)

成分
10秒解説

霊芝(れいし)は、サルノコシカケ科のキノコで、中国で古くから不老長寿の薬として重用されてきました。 日本国内でも民間薬として広まり、近年の研究によって、免疫活性作用や抗がん作用をもつβ-グルカンをはじめとした有用成分が含まれていることが明らかになってきました。

こんなお悩み・健康効果に

  • 便秘予防
  • アレルギー症状緩和
  • 血糖値の上昇抑制
  • コレステロール値を下げる
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • 不眠改善・睡眠の質向上
  • 整腸
  • 免疫力向上
  • 生活習慣病予防
  • 血管性トラブル予防
  • がん予防

霊芝(れいし)の成分とは

免疫細胞の活性化による免疫力向上に役立つとされる
β-グルカンが豊富なキノコです。

霊芝にはβ-グルカンが含まれています。β-グルカンは免疫力を高める効果が期待されている成分。不溶性食物繊維の一種であり、ほかにも、血中コレステロール値を低くする、血糖値の上昇をゆるやかにする、便通をよくする、腸内環境を整えるなど、幅広く健康維持に役立つとされています。

トリテルペンという植物由来の化学成分が含まれているのも特徴です。トリテルペンは、抗がん作用が期待される成分として知られているほか、細菌やウイルスの感染を予防したり、腸内フローラを良好にするなどのはたらきも期待できます。

そのほか、カルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル類が数多く含まれています。キノコ類の中で、霊芝のミネラルの多さはトップクラスです。その理由としては、寄生する原木やその土壌に多量のミネラルが含まれているためと考えられています。

これらの成分が相乗的に作用することによって、霊芝は様々な健康サポートに役立つ可能性があるとされているのです。

期待される効果・作用

生活習慣病予防対策

霊芝(れいし)に含まれるトリテルペンには、抗酸化作用があるとされています。生活習慣病の多くは、体内で過剰に生成された活性酸素によって生じる、細胞や血管、血液、器官などの酸化が原因の一つです。トリテルペンが活性酸素を除去することで、コレステロールの酸化や血管の老化などが抑制されます。また食物繊維の一種であるβ-グルカンが腸管からのコレステロールや有害物質の排出を促すため、霊芝は生活習慣病対策に役立つ可能性が示唆されているのです。[※1]

血圧コントロール

高コレステロール血症は、血圧を上げる原因の一つです。血中コレステロール濃度が高いと、血管内壁へのコレステロール沈着、血流の悪化、熱液粘性の上昇などが生じやすくなります。その結果、血圧が上がり、動脈硬化や心疾患などを引き起こすリスクが高まるのです。霊芝に含まれるβ-グルカンは不溶性食物繊維の一種であり、腸管を介して余分なコレステロールを排出するはたらきがあるため、血中のコレステロール濃度を正常に保ち、血圧のコントロールに役立つとされています。[※2][※3][※4]

アレルギー対策

アレルギー疾患は、本来であれば、細菌、ウイルス、異物などから体を守るはずの免疫システムが、様々な原因によって異常を起こすことで発症します。食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息など、アレルギー疾患は多岐にわたるのが特徴です。霊芝はアレルギー疾患の原因となるヒスタミンのはたらきを抑制する効果が期待されています。[※9]

便秘対策

キノコ類の一種である霊芝には、食物繊維が豊富であるため、便に水分を与えたりカサを増やしたりすることによって便通を改善する効果が期待できます。また腸内フローラの状態を良好にすることにも役立つとされ、腸内環境を整えるのにもおすすめです。

免疫力向上

霊芝に含まれるβ-カロテンは、NK細胞やマクロファージなどの免疫細胞に作用し、TNF-αやIL-10などのサイトカイン産生促進作用があるとされています。免疫力が向上することで、風邪やインフルエンザなどの感染症やアレルギー性疾患対策に役立つことが期待されています。[※6][※7]

不眠対策

加齢や心身のストレスなどによって引き起こされる不眠や睡眠障害に悩まされている日本人は5人に1人とされており、年齢を重ねるにつれて増加するようです。霊芝には、睡眠に影響を与える中枢神経や自律神経の乱れを整える効果があるとされており、不眠対策に役立つことが期待されています。[※8]

がん対策

霊芝には、がんや免疫不全の治療に用いられているインターロイキン2の産生促進・ヒト末梢リンパ球NK細胞をはじめとした免疫細胞の活性化により、がん対策への効果が期待できるとされています。[※9]

こんな方におすすめ

霊芝(れいし)には、免疫力向上をはじめ、様々な効果が期待されているβ-グルカンが含まれているため、日々の健康維持や感染症対策、がん対策、生活習慣病対策、アレルギー対策などをしたい方におすすめです。

β-グルカンは食物繊維の一種であるため、便秘対策や腸内環境改善も期待できます。腸は免疫細胞が多く集まっている器官であり、免疫システムの要です。腸内環境が整うことによって、免疫細胞のはたらきが活性化し、β-グルカンの作用と併せて免疫力向上に役立つとされています。

また、β-グルカンと並ぶ有用成分であるトリテルペンのはたらきによる、肝臓保護、抗酸化、血糖コントロールなどの作用も期待できるため、健康の維持、増進をしたい方に幅広く役立つことが期待できそうです。

霊芝(れいし)自体には、特別な摂取目安量や上限目安量定められていませんが、食物繊維や各種ミネラル類には、摂取量が定められているものもあります。霊芝はあくまで食品であるため、薬のように即効性が期待できるものではありません。摂取してすぐに目に見えた効果が得られないからといっても、自己判断での過剰摂取は控えましょう。サプリメントや健康食品のパッケージに記載されている摂取目安量を確認したうえで、適量を摂取してください。

考えられるリスク・
副作用

霊芝(れいし)は、長きにわたって漢方薬の上薬として重用されてきたキノコであり、副作用はほとんどないとされています。

しかし、長期摂取や体質や体調によって、めまい、口やのどの渇き、鼻水、鼻血、かゆみ、胃の不快感、血便などがみられる場合があるようです。摂取する際は体調の変化をよく観察しながら摂ることをおすすめします。

また持病に対する治療で服用している薬によっては、注意すべき種類があるようです。

霊芝は抗血液凝固作用をもつため、抗血小板・抗血液凝固作用あるいは血圧低下作用のある医薬品やハーブとの飲み合わせには特に気を付ける必要があります。

霊芝の成分を
上手に摂取するには

霊芝(れいし)は細胞壁がとても硬いという特徴があります。そのため、そのまま摂取した場合の吸収率は高くありません。霊芝の有用成分を無駄なく効率的に摂取するためには、細胞壁が破壊されているものがよいとされています。

霊芝はとても硬いキノコです。生食するというケースはほとんどなく、多くの場合は霊芝の有用成分抽出物を配合したサプリメントやドリンク剤、漢方薬からの摂取となります。霊芝を含んだ商品は色々ありますが、より吸収しやすい形状のものを選ぶとよいでしょう。

発見・研究の歴史

霊芝(れいし)は、古くから東洋医学で用いられている数ある漢方薬の中でも上薬(副作用がなく、日々の健康維持・増進に役立つ薬)として、人々に親しまれてきました。紀元前1~2世紀に編纂された、中国初の薬物書である「神農本草経」にも、霊芝についての記載が確認されています。日本においても、「日本書紀」に芝草という名で記載されているようです。

霊芝は、ナラやクヌギの古木に稀に生えるキノコであり、たやすく手に入るものではありませんでした。そのため、貴重な霊芝を人工的に栽培するための研究が長きにわたって行われてきました。その成果が実り、1972年頃から中国で安定した人工栽培が可能となったのです。そのおかげで、現在はより身近に霊芝を利用できるようになっています。

霊芝の成分に関する研究情報

【1】進行性がん患者34名が、霊芝由来の多糖類を食前に1800mg/1日3回、12週間にわたって摂取した結果、T細胞の活性化およびNK細胞の増加がみられました。このことから、がん患者に対する霊芝の免疫力向上効果が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12916709/

【2】Ⅱ型糖尿病マウスに霊芝由来のプロテオグリカンを投与した結果、空腹時血漿グルコースの減少およびインスリン濃度の増加がみられました。このことから、霊芝の抗糖尿病効果が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22428467/

【3】本態性高血圧症・軽度高血圧症・正常血圧者53名を対象に、霊芝(乾燥エキス分240㎎相当)服用を27週間行った結果、本態性高血圧症のグループで拡張期および収縮期の血圧低下がみられました。この結果より、霊芝の抗血圧効果が示唆されました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1947/105/10/105_10_942/_pdf/-char/ja

【4】アレルギー誘発マウスに霊芝を300mg/kg投与した結果、抗アレルギー作用がみられました。ヒスタミンや肥満細胞との関連性はみられなかったため、霊芝にはヒスタミンや肥満細胞とは別の作用による抗アレルギー作用が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20948166/

参照・引用サイトおよび文献

※1 「【PDF】霊芝トリテルペノイド(Ganoderic acid DM)の標的たんぱく質の同定に成功|九州大学」
(URL:https://www.kyushu-u.ac.jp/f/1233/2012_11_30.pdf)

※2 「Wolever TM, Gibbs AL, Brand-Miller J, Duncan AM, Hart V, Lamarche B, Tosh SM, Duss R. 2011 “Bioactive oat β-glucan reduces LDL cholesterol in Caucasians and non-Caucasians.” Nutr J. 2011 Nov 25;10:130.|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22118569/)

※3 「Rondanelli M, Opizzi A, Monteferrario F, Klersy C, Cazzola R, Cestaro B. 2011 “Beta-glucan- or rice bran-enriched foods: a comparative crossover clinical trial on lipidic pattern in mildly hypercholesterolemic men.” Eur J Clin Nutr. 2011 Jul;65(7):864-71.|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21505506/)

※4 「Tiwari U, Cummins E. 2011 “Meta-analysis of the effect of β-glucan intake on blood cholesterol and glucose levels.” Nutrition. 2011 Oct;27(10):1008-16.|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21470820/)

※5 「アレルギーを知ろう|一般社団法人日本アレルギー学会」
(URL:https://www.jsa-pr.jp/html/knowledge.html)

※6 「Kohguchi M, Kunikata T, Watanabe H, Kudo N, Shibuya T, Ishihara T, Iwaki K, Ikeda M, Fukuda S, Kurimoto M. 2004“Immuno-potentiating effects of the antler-shaped fruiting body of Ganoderma lucidum (Rokkaku-Reishi).” Biosci Biotechnol Biochem. 2004 Apr;68(4):881-7|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15118318/)

※7 「Gao Y, Zhou S, Jiang W, Huang M, Dai X. 2003 “Effects of ganopoly (a Ganoderma lucidum polysaccharide extract) on the immune functions in advanced-stage cancer patients.” Immunol Invest. 2003 Aug;32(3):201-15.|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12916709/)

※8 「不眠症|e-ヘルスネット|厚生労働省」
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html)

※9 「霊芝の効能|徳島県医師会webサイト」
(URL:https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/718-244)

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