オメガ3
こんなお悩み・健康効果に
- 血圧低下・血流の改善
- 生活習慣病予防
- 脳機能の活性化
- 中高年の健康維持
オメガ3とは
オメガ3は炭素の結合が2つ以上構造に含まれている不飽和脂肪酸と呼ばれるものの1種。不飽和脂肪酸は主に植物や魚の油に多く含まれています。体内で作り出すことのできない成分であるため、食品から摂取しなくてはいけません。
オメガ3の「オメガ」というのは、ギリシャ語でアルファベットの最後の文字を表す単語。端から3番目に炭素の二重結合があるためオメガ3と呼ばれます。[※1]
成分名にオメガがつくのはオメガ3だけではありません。端から6番目に炭素の二重結合のあるオメガ6や、端から9番目に炭素の二重結合のあるオメガ9なども存在します。
また、オメガ3は3種類の成分に分類可能です。「DHA(ドコサヘキサエン酸)」、「EPA(エイコサペンタエン酸)」、「α-リノレン酸」とあり、これらをまとめてオメガ3と呼んでいます。DHAとEPAは主にサバやイワシをはじめとした青魚に含まれる成分で、α-リノレン酸はエゴマ油などに含まれる成分です。[※1]
オメガ3はもちろん、オメガ6やオメガ9も食事から摂り入れなくてはいけない成分のため、健康的な生活を送るためにはこれらを意識した食生活が必要となるでしょう。
期待される効果・作用
血圧低下・血流の改善
血圧の低下が起きると、めまいやふらつきといった症状が現れることがあります。低血圧は血管を拡張することによって改善することができるため、オメガ3の摂取が効果的です。
オメガ3系脂肪酸に分類される「α-リノレン酸」には、血圧低下や血流を改善する効果が期待されています。血管を拡張させることによって血流がスムーズになり、摂り入れた栄養を体に滞りなく運べるようになるのです。代謝促進や健康維持も期待できます。
生活習慣病の予防
生活習慣が原因となって引き起こされる疾患の総称を指す生活習慣病。脳血管疾患や心疾患、動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症なども生活習慣病に含まれます。
こうした生活習慣病の予防にもオメガ3が役立ちます。オメガ3系脂肪酸に分類されるEPAは、中性脂肪低下作用が期待されている成分。EPAは実際に医薬品として医療の世界で活躍しており、「エパデール」という名前の医薬品で、高脂血症や閉塞性動脈硬化症の治療などに使用されています。[※2]
コレステロール値の低下・高血圧の低下などの研究結果も報告されているため、動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣の予防効果にも期待されています。[※3]
心臓梗塞や心不全など心臓にかかわる病気の予防効果も期待されており、健康維持には欠かすことのできない成分です。[※4]
脳機能の活性化
オメガ3系脂肪酸に分類されるDHAは、脳機能を活性化させる作用が期待されています。DHAそのものが脳の記憶力をつかさどる海馬に多く存在しているためです。
また、DHAは母乳にも含まれる成分で、ベビーミルクなどにも配合されています。
中高年の健康維持
オメガ3は中高年の健康維持にも役立つ成分です。
脳や血液中に含まれるDHAやEPAという成分は、年を取るにつれて徐々に減少していく傾向にあります。血漿中のDHA濃度が高ければ高いほど認知症発症の危険性が低いという調査結果も出ているため、認知症を予防したいのならばオメガ3は積極的に摂るべき成分であるといえるでしょう。[※5]
こんな方におすすめ
オメガ3は上記で説明したように「低血圧の人」「生活習慣病を予防したい人」「脳機能を活性化したい人」「健康維持したい人」などにおすすめの成分です。
オメガ3のほかにも、オメガ6やオメガ9という成分も存在しますが、健康維持のためにこれらの成分を積極的に摂るのであれば、オメガ6を少なめに摂り、オメガ3を多めに摂ると良いでしょう。
肉料理や揚げ物料理にはオメガ6が含まれるため、偏った食生活をしないよう注意が必要です。食生活が乱れてくるとオメガ3の摂取量が少なくなってしまいがちになるため、普段からオメガ3を摂り入れた食生活を意識してみましょう。
摂取目安量・上限目安量
オメガ3が不足すると皮膚炎を発症してしまう恐れがあるとされています。農林水産省で設定している日本人食事摂取基準の1日の目安量は以下の通りです。[※6]
・男性18歳~29歳:2.0g
・男性50歳~74歳:2.2g
・男性75歳以上:2.1g
・女性18歳~49歳:1.6g
・女性50歳~64歳:1.9g
・女性65歳~74歳:2.0g
・女性75歳以上:1.8g
・妊婦:1.6g
・授乳婦:1.8g
上記の食事摂取基準では、日本人のオメガ3摂取量中央値を基にして目安量が設定されています。[※6]
考えられるリスク・
副作用
オメガ3の摂取により起こる副作用などの報告はまだありません。オメガ3は魚類に多く含まれるため、魚アレルギーを持つ人はアレルギーを引き起こす可能性があります。そのため、オメガ3サプリメントを選ぶ際には注意しなくてはいけません。
オメガ3は健康維持に役立つ成分ですが、摂りすぎには注意が必要です。オメガ3をとりすぎることにより、脂肪が蓄積し肥満の原因にもなってしまいます。
オメガ3には皮膚アレルギーを改善させるという報告もあり、[※5]現時点では健康維持に役立つ成分として専門家の間で意見はほぼ一致しているようです。
オメガ3が多く含まれる食べ物
オメガ3の「EPA」「DHA」「α-リノレン酸」が豊富に含まれる食べ物はこちら。
- EPA:サバやイワシなどの青魚
- DHA:サバやイワシ、卵黄など
- α-リノレン酸:亜麻仁油や菜種油、大豆油、アボカドなど
オメガ3は酸化スピードがとても速いという特徴を持った成分です。酸化してしまった油は摂取することによって細胞の老化や生活習慣病などを引き起こしてしまう可能性もあります。
油類は熱や光、空気などの影響を受けて酸化するため、「できる限り早く使い切る」「加熱調理は避ける」といったことを心掛けると良いでしょう。
油類は、加熱調理以外ではドレッシングやマリネとしての使い道もあります。オメガ3をより効率的に摂取するためにもこれらの料理も日々の食生活にぜひ取り入れてみてくださいね。
また、オメガ3の酸化を防ぐために抗酸化作用のある成分と併せて摂取するのもおすすめです。ポリフェノールやセサミンなどは抗酸化作用が高いため、オメガ3同様血流をスムーズにする効果が期待できます。
発見・研究の歴史
オメガ3が注目を浴びるようになったのは1960~70年代。イヌイット民族が脂肪分の多いアザラシや白熊などを食べて生活していたのに生活習慣病になる人が少ない、ということに目を付けた研究者らが研究を重ね、徐々に注目されるようになりました。
サプリメント先進国であるアメリカではオメガ3を補うためのDHAやEPAといった成分のサプリメントが人気です。2012年に行われた国民健康調査では、ビタミンミネラルを除き魚脂のサプリメントが最も利用されているという報告もあります。[※7]
オメガ3に関する研究情報
【1】2012年5月までを対象とした7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報で検討したメタ分析で、脂質異常症HIV感染者によるオメガ3の摂取がTGやTCの低下と関連することが認められました。
【2】慢性腎臓病患者85名を対象に行われた二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、オメガ3を1日あたり4gもしくはコエンザイムQ10を200mg併用で8週間摂取させたところ心拍や血圧、血中脂質の低下が認められました。
【3】血液透析患者34名を対象に行われた二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、1日あたり1,080mgのオメガ3を10週間にわたって摂取させたところ、血液TGの減少が認められたものの、TC、LDL-C、HDL-C、LP(a)の濃度に影響は認められませんでした。
【4】高トリグリセリド血症患者19名を対象に行われた二重盲検クロスオーバー無作為比較試験において、オメガ3エチルエステルを1日あたり4g6週間摂取させたところ、空腹時および食後のTG定価が認められたほか、膵β細胞機能の低下も認められました。
【5】肥満男性22名を対象に行われた二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、オメガ3エチルエステル1日当たり3.2gを6週間摂取させたところ、VLDL-TG異化率に影響は認められませんでした。
成分
10秒解説
オメガ3は不飽和脂肪酸の一種で、DHA・EPA・α-リノレン酸の3種類に分類されます。血流促進や生活習慣病の予防効果が期待されている必須脂肪酸であり、アメリカではサプリメントとして人気が高い成分です。認知症予防効果も研究されており、高齢者の健康維持に役立つ成分として注目されています。