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DHA

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成分
10秒解説

オメガ3系に分類される不飽和脂肪酸の一種。魚の油に主に含まれており、摂取することで生活習慣病予防効果が期待できます。中性脂肪を減らす効果や血液サラサラ効果も報告されている成分です。

こんなお悩み・健康効果に

  • 脳機能のサポート
  • 子供の成長に
  • 中性脂肪・コレステロール低下作用
  • アレルギー性炎症抑制効果
  • 視力回復効果
  • ストレス緩和効果

DHAとは

人間の成長に必要不可欠な成分

DHAはドコサヘキサエン酸を略した呼び名の成分。魚に多く含まれる脂質で、不飽和脂肪酸のひとつです。脳や目、網膜、胎盤、心臓、母乳などに多く存在している成分でもあります。

DHAは魚を食べることにより摂取できますが、魚介類・海藻に含まれるαリノレン酸によりEPAからDHAに変換し体内で生成することも可能です。しかし、体内で生成されるDHAはわずかなため、食べ物から摂取するほうが効率的であるといえるでしょう。

DHAは母乳などにも含まれており、人間の体内における成長に重要な役割を果たすと考えられています。近年は生活習慣病予防の効果も報告されており、子どもから大人まで年代問わず積極的に摂取するべきだと推奨されている成分です。

魚油に含まれているEPAもDHA同様に意識して摂取すべき成分の一つ。近年は魚の消費量が著しく低下していることから、魚油が不足している人が多いと懸念されているのです。食の欧米化が進む昨今、普段からEPA・DHAの摂取を意識した食生活を送ると良いでしょう。

また、魚の摂取量が減少していることと、生活習慣病罹患者が増加していることに何らかの関係性があるのではないかと考えられています。DHAには血中中性脂肪を減らす効果や脳に直接届く性質などが報告されており、最近ではDHAを主成分とした健康食品も多数販売されています。魚を摂取するのが難しい人は、そういった健康食品やサプリメントを活用するのも有効な方法です。[※1]

期待される効果・作用

脳機能のサポート

DHAは脳の神経細胞内に存在し、脳の機能を支えている成分。摂取したDHAは脳に届き、その働きをサポートする効果があると言われています。アルツハイマー病モデルラットやマウスを用いた実験でも、学習機能障害が予防・改善したというデータが確認されています。[※2]

子供の成長に

DHAは母乳に多く含まれる成分です。そのため、特に子どもの脳の成長・向上に欠かすことのできない栄養素であると解明されています。脳が大きく発達する胎児期から乳児期にかけて脳に含まれるDHA量を測定した結果、DHA量は妊娠20週ごろから徐々に上昇しはじめ、生後も上昇し続けていました。脳の発達に合わせて脳内DHA量も上昇することから、DHAは脳の発達に強くかかわりを持っていることは明らかです。また、オックスフォード大学で行われた研究により、DHAを摂取した児童は読解力が向上したことも報告されています。子供の読解力・学習能力を高めるためにDHAは欠かすことのできない成分だといえるでしょう。[※3]

中性脂肪・コレステロール低下作用

DHAは悪玉コレステロールや中性脂肪の上昇を抑える働きが報告されています。中性脂肪・コレステロール値が気になり始める中高年世代の方は、積極的にDHAを摂取すると良いでしょう。[※4]

アレルギー性炎症抑制効果

DHAには、アレルギー症状を促進するプロスタグラジンという物質を抑制する作用があります。[※5]

視力回復効果

DHAは目の網膜に含まれる成分で、目の健康維持や視力回復に欠かすことのできない成分だと報告されています。[※6]

ストレス緩和効果

子ども・高齢者にDHAを十分摂取させることで、精神が安定することが報告されています。[※7]

こんな方におすすめ

DHAは子供の成長に欠かせない成分で、赤ちゃんや子供、妊婦が特に意識して摂取すると良いと言われています。日ごろ魚の摂取量が少ないと感じている人は積極的に摂取するべきでしょう。DHAを食事から摂取する場合、脂ののった青魚を週3回以上食べるのが望ましいと言われています。時間や手間などの都合で魚を摂取するのが難しい場合、サプリメントを利用するのもひとつの方法です。[※8]

2020年版「日本人の食事摂取基準」によると、DHAを含むn-3系脂肪酸全体の摂取目安量は、30~49歳の男性で2.0g、50~69歳の男性で2.2g、65~74歳の男性で2.2g、75歳以上の男性で2.1g、30~49歳の女性で1.6g、50~69歳の女性で1.9g、65~74歳の男性で2.0g、75歳以上の女性で1.8gと定められています。上限に関しては特に設定されていませんが、偏った食事にならないよう、栄養バランスを意識して摂取すると良いでしょう。[※9]

考えられるリスク・
副作用

食事からDHAを摂取する分には特に副作用を心配する必要はありません。DHAは血圧を下げる作用があるため、降圧剤を使用している場合サプリメントでDHAを摂取すると血圧が下がりすぎてしまう可能性もあるため、事前に医師に相談する必要があります。高血圧の治療薬はカプトプリルやエナラプリル、ロサルタン、バルサルタンなどです。他にも、血栓予防の薬を服用している人も事前に医師に相談しなくてはいけません。

DHAが多く含まれる食べ物

DHAが多く含まれる食べ物はイワシやサバといった青魚です。DHAやEPAなどの脂肪酸は酸化しやすいという特徴があるため、ビタミンCやビタミンEといった抗酸化成分を含む食べ物と一緒に食べると効率よく摂取できます。また、魚は焼いたり煮たりすることで油が流れ出てしまうため、お刺身などで食べるのがおすすめです。

DHAは缶詰などの加工食品からも摂取することができます。さば水煮やさばみそ煮などの缶詰は煮汁の中にもDHAが多く含まれているため、できれば捨てずに活用しましょう。魚が苦手であればDHAを主成分としたサプリメントや健康食品などを利用するのも良い方法です。

発見・研究の歴史

DHAが注目され始めたのは1989年のこと。北ロンドン大学・脳栄養科学研究所所長として勤めていたマイケルクロフォード博士が「日本の子どもの知能指数が高いのは魚をよく食べるためではないか」と述べたことをきっかけとして世界各地で研究が始まりました。DHAは、現在も研究が進められています。近年は日本でも食が欧米化している影響から、日本人の魚離れが顕著です。これによってDHAの摂取不足が起こり、発達の遅れや問題行動の増加、生活習慣病の増加と関係性があるのではという指摘もあります。

DHAに関する研究情報

【1】2013年2月までを対象に、2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験70法について検討したメタ分析で、18歳以上の高血圧薬非服用者によるDHAとEPAの3週間以上にわたる摂取で、収縮期、拡張期血圧の低下との関連が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24610882/

【2】中等度脂質異常症の男性34名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、DHA3gが含まれた油脂を1日当たり7.5g、90日間にわたって摂取させたところ、TG、最高血圧、心拍数の減少が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17684201/

【3】成人18名を対象とした二重盲検試験において、1日当たり1.5gのDHAを9週間摂取させて20項目以上のストレスを付加させたところ、ストレスの指標となる血漿中のノルエピネフリン濃度が減少し、エピネフリン/ノルエピネフリン比が増加しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22541055/

【4】6か月齢の満期出生母乳栄養児55人を対象としたプラセボ対照試験において、DHA115mg/110gを含む卵黄を含有する離乳食を与えたところ、12か月齢での視覚機能が向上しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15333721/

【5】健康な乳児81名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、出生時から12か月齢までDHAとアラキドン酸を含む調整乳を摂取させたところ、3歳~6歳児の認識機能評価項目の一部に向上が認められました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23803884/

参照・引用サイトおよび文献

※1 DHAって何?:DHAが何か分かりやすく解説 | DHAのチカラ | マルハニチロ株式会社株式会社
(https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha20000.html)

※2 ドコサヘキサエン酸による脳機能改善作用と神経疾患への応用
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/6/2/6_67/_pdf)

※3 子どもの脳と目の発育をサポートするDHA | 味の素KK あなたの悩みを解決!「いきいき健康研究所」
(https://report.ajinomoto-kenko.com/hatsuiku/kaiketsu.html)

※4 DHA|血液をサラサラにする成分を知る
(http://www.heartatk.com/vascular/sarasara/dha.html)

※5 【PDF】「ω3系脂肪酸由来の抗炎症性代謝物の構造と機能」 生化学 第80巻 第11号 1042-1046(2008) 
(http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/11/80-11-08.pdf)

※6 視力回復 | DHAのチカラ | マルハニチロ株式会社株式会社
(https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha10800.html)

※7 DHAの効果:精神安定 | DHAのチカラ | マルハニチロ株式会社株式会社
(https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha10900.html)

※8 DHAの摂取:DHAが必要な人、摂取方法 | DHAのチカラ | マルハニチロ株式会社株式会社
(https://www.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha30000.html)

※9 【PDF】日本人の食事摂取基準(2020 年版)
(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)

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