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L-テアニン

成分
10秒解説

L-テアニンは緑茶に多く含まれている成分で、うま味や甘味のもとになっているアミノ酸の一種。緑茶にはグルタミン酸、アスパラギン酸などさまざまなアミノ酸が含まれていますが、もっとも含有量が多いのがL-テアニン。神経の興奮を抑え、リラックス効果をもたらすとされています。

こんなお悩み・健康効果に

  • ストレス緩和
  • 冷え改善
  • 不眠改善・睡眠の質向上
  • PMS(月経前症候群)改善
  • 更年期障害の症状軽減
  • 血流改善・血行促進
  • リラックス
  • 集中力アップ
  • 認知症予防

L-テアニンとは

緑茶に含まれる全アミノ酸の約50%を占める成分。
集中力アップやリラックス効果などが期待できます。

L-テアニンとは緑茶に含まれているアミノ酸のひとつで、うま味や甘味のもとになっている成分。
正式名称をグルタミルエチルアミドといい、緑茶に含まれる全アミノ酸の約50%を占めています。茶葉を生産するチャノキのほか、ツバキ、サザンカといったごく一部の植物にしか含まれていないのが特徴。テアニン(Theanine)という名称は、お茶の学名である「Thea sinensis(テア・シネンシス)」から名づけられたとされています。

L-テアニンはチャノキの根の部分で作られたのち、葉の部分に移動していくのが特徴。葉に日光が当たって光合成が行われると、ポリフェノールの一種であるカテキンに変化します。そのため、茶葉に含まれるL-テアニンの量は採取の時期やお茶の種類によって異なるのです。緑茶の中でもL-テアニンの含有量が多いとされるのは、日光が当たらないよう覆いをして栽培される玉露、かぶせ茶、抹茶、碾茶(てんちゃ)。茎の部分を用いるほうじ茶、茎茶にも、L-テアニンが多いとされています。

L-テアニンにはカテキンと並んで数多くの健康・美容効果が報告されており、サプリメントの成分としても注目を集めています。

期待される効果・作用

リラックス効果

L-テアニンには神経の興奮を抑え、心身をリラックスさせる効果があります。ヒトの体は疲労、ストレス、緊張などが続くと交感神経が優位になり、ピリピリとした状態になります。L-テアニンには交感神経の興奮を鎮め、リラックスを司る副交感神経を優位にする働きがあるのです。

また、L-テアニンにはリラックスしたときに現れるα波(アルファ波)という脳波を引き出す効果もあります。普通の水を飲んでもα波は検出されませんが、テアニンを摂取すると約30分後からα波が強く検出されるという報告もあるため、テアニンのリラックス効果は高いと考えられます。

集中力を高める効果

L-テアニンによるリラックス効果は、緊張状態を緩和して集中力をアップさせる働きもあります。ヒトは緊張しすぎると本来持っている実力を十分に発揮できないことがありますが、L-テアニンの効果でリラックスできれば集中力もアップ。緊張状態の中でもよいパフォーマンスを発揮できるようになり、テストやスポーツの試合などでも良好な結果を残すことができるといわれています。

抗ストレス作用

L-テアニンは自律神経に働きかけて、ストレスを緩和する効果があります。ストレスを感じると交感神経が優位になって興奮状態になりますが、L-テアニンはリラックスを司る副交感神経を優位にし、心を落ち着けてくれるのです。2012年に静岡大学が行った研究では、14名の学生にテアニン200㎎、偽薬(プラセボ)、カフェイン100㎎のいずれかを摂取してもらったところ、テアニンを摂取した人に緊張、うつ、疲労などの緩和効果が見られたとのことです。[※1]

不眠の予防、睡眠の質の改善

L-テアニンには脳の興奮を抑えて、寝つきや睡眠の質を高める働きがあります。睡眠の途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」という不眠の症状がありますが、L-テアニンは覚醒を司る神経伝達物質の働きを抑えると共に、交感神経の活動も抑制してくれるため、しっかり熟睡できるようになるのです。こういった働きから、L-テアニンは睡眠サプリとしても利用されています。

冷え性の改善

冷え性とは、手や足の先にある末梢血管で起こる血行障害。血管の働きや体温調節は、交感神経と副交感神経からなる自律神経がコントロールしていますが、L-テアニンを摂取すると血管を拡張させる副交感神経が優位になります。その結果、手足の末梢血管も拡張して血のめぐりが良くなり、皮膚表面温度の回復速度がアップ。冷え性が解消されるといわれています。

PMS(月経前症候群)や更年期障害の症状軽減

L-テアニンには、PMSや更年期障害に見られるイライラ、うつ、倦怠感、集中力の低下といった症状を緩和する効果があります。PMSの症状を持つ22~49歳の女性20名に、2周期にわたり生理前10~14日目にテアニンを摂取してもらったところ、身体的症状・精神的症状の両方でPMSの改善効果が見られたという報告もあります。[※3]

認知症の予防

L-テアニンには神経細胞を保護する作用があり、認知症予防にも役立つとされています。
多量のL-テアニンを含む緑茶抹を、認知症患者をのぞく高齢者に継続して摂取してもらったところ、認知症の予防効果が見られました。[※4]この研究におけるL-テアニンの摂取量は1日あたり約47.5㎎。上級抹茶約2gに相当するため、抹茶2杯でこの研究で効果が得られたL-テアニン量を摂取できると考えられます。

こんな方におすすめ

L-テアニンは、心身をリラックスさせてストレスを緩和する効果の高い成分です。そのため、「仕事や人間関係でストレスが溜まりやすい」「イライラしやすい」といった人におすすめです。また、「ストレスが原因でなかなか寝つけない」「眠りが浅くて疲労が抜けない」といった、睡眠に関する悩みを抱えている人にも適しているでしょう。

心と体をリラックスさせて集中力を高める働きもあるため、「大事な面接や試験がある」「仕事で大きなプレゼンをする」「スポーツの試合がある」という人も、事前にL-テアニンを摂取するのはおすすめです。
またL-テアニンは、PMSや更年期障害といった女性ならではの悩みにも効果的。精神的な不調だけでなく、身体的な症状の緩和も期待できるので、積極的な摂取が望まれます。

さまざまな健康効果を持つL-テアニンですが、体の機能維持や代謝にとって必須な成分ではないため、1日の摂取目安量・上限目安量はとくに定められていません。
L-テアニンは食品からの摂取も可能ですが、不眠や睡眠の質を改善するためには有効量以上の摂取が必要。そのためサプリメントを用いる場合は1回あたり約200㎎の摂取が望ましいとされています。[※2]
ただし、L-テアニンの効果は1度ですぐに発現するものではないため、継続した摂取が必要です。

考えられるリスク・
副作用

L-テアニンは1964年に食品添加物指定を受けましたが、それから現在までに重篤な副作用の報告はなされていません。FDA(米国食品医薬品局)でも、L-テアニンは「一般に安全と認識される食品」として認定されています。過剰摂取における安全性については、このような試験があります。健常な成人男女40名に、1包あたりテアニン280㎎・シスチン700㎎が含まれた試験食食品を4週間にわたり1日1回3包摂取してもらったところ、とくに健康に問題は見られませんでした。[※5]

L-テアニンを含む
食べ物

L-テアニンは、緑茶に含まれている特有の成分です。茶葉に日光が当たるとL-テアニンからカテキンに変化してしまうため、日光が当たらないようにして育てられた玉露、かぶせ茶、抹茶に多く含まれています。

その含有量は湯のみ1杯80mlに対し、玉露34㎎、抹茶36mg、煎茶10㎎。摂取目安とされている200㎎をお茶で摂取しようとした場合、煎茶であれば1日20杯が必要となります。緑茶にはカフェインなども多く含まれているため、L-テアニンを摂取するならサプリメントの利用も視野に入れたほうがよいでしょう。

また、L-テアニンによる睡眠効果を高めたいなら、ストレス低減に効果があるとされるGABA(ギャバ)を一緒に摂るようにするとよいでしょう。GABAは、メロン、バナナ、トマト、ヨーグルトなどに含まれています。

発見・研究の歴史

L-テアニンが発見されたのは1950年の日本。京都府立農業試験場茶葉研究所(現・京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所(宇治茶部))で所長を務めていた、酒戸弥二郎氏によって発見されました。

酒戸氏は玉露の中からL-テアニンを分離精製することに成功し、これが文献にない新しい物質であることを確認。成分発見当時の茶の学名であるThea sinensis(テア ・シネンシス)にちなみ、Theanine(テアニン)と命名しました。

1900年代は、いわゆるうま味成分(グルタミン酸・イノシン酸など)への研究が進められていた時代で、緑茶に含まれるうま味成分の調査も行われていました。そんなL-テアニンが食品添加物として指定されたのは、1964年のこと。さらなる研究の結果、L-テアニンにはリラックス作用・睡眠改善効果・認知症予防といった、さまざまな健康効果があることが分かってきています。

L-テアニンに関する研究情報

【1】健常な男子学生18名(高不安群8名・低不安群10名)にL-テアニン200㎎もしくは偽薬(プラセボ)を摂取してもらったところ、注意集中試験で高不安群の正答率と反応速度の上昇が見られました。
https://www.taiyokagaku.com/lab/health/theanine_data/

【2】6日間にわたり、成人男性にL-テアニン200mgを摂取してもらったところ、起床時のリフレッシュ感が改善し、さらに中途覚醒時間の短縮が確認されました。このことから、L-テアニンに睡眠改善効果があることが示唆されました。
https://www.taiyokagaku.com/lab/health/theanine_data/

【3】健常な人と不安を感じやすい人に、普通の水、テアニン50㎎入りの水、テアニン200㎎入りの水を飲んでもらい、時間の経過と共に脳波を測定。テアニン200㎎を飲んだ人の脳では、約40分後以降にα波の顕著な発生が認められました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nogeikagaku1924/72/2/72_2_153/_pdf/-char/ja

【4】20~36歳の健常な男性22名にL-テアニン50㎎が含まれるサプリメントを6日間にわたり摂取してもらったところ、L-テアニンを摂取したグループでは、「起床時の眠気」「入眠と睡眠維持」といったすべての項目で改善効果を感じていることが分かりました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/9/4/9_KJ00003386051/_pdf/-char/ja

参照・引用サイトおよび文献

※1「お茶は「ストレス」「不眠」にも効果あり!緑茶パワーをフルに活かす“いれ方”とは?│日経Gooday」
(URL:https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/16/052600030/053100003/

※2「不眠症(熟睡困難)の症状とは?治療に効果的なサプリの成分について、医師が解説します。│クリニックフォア」
(URL:https://www.clinicfor.life/articles/a-048/#002

※3「PMSとテアニン│テアニン情報センター」
(URL:http://theanine.jp/theanine_function/theanine_pms/

※4「レポート07緑茶抹による認知症予防~「テアニン」を多く含んだ緑茶抹2gの継続摂取で効果~│株式会社伊藤園」
(URL:https://www.itoen.co.jp/company/research/report07/

※5【PDF】「健常成人を対象とした「シスチン・テアニン食品」の過剰摂取における安全性の検証│J-STAGE」
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei/52/4/52_4_229/_pdf

※6「【第1回】テアニンでほっとひといき ストレスフルな現代の生活に癒しを!│太陽化学株式会社」
(URL:https://www.taiyokagaku.com/lab/theanine_story/02/

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