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カテキン

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成分
10秒解説

主にお茶の苦味成分のもととなる物質で、ポリフェノールの一種であるカテキン。活性酸素を除去し、酸化を抑制する「抗酸化物質」として知られています。カテキンは、多岐にわたる機能性から多くの健康効果が期待されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 高血圧や動脈硬化、がんの予防
  • 抗菌・殺菌・抗ウイルス作用
  • 血中LDLコレステロール低下作用
  • 体脂肪減少
  • 糖尿病の発症予防
  • 口内環境の改善

カテキンとは

お茶に含まれる多機能性抗酸化物質

カテキンはポリフェノールの中のフラボノイド、さらにその中のフラバノールに分類されます。

緑茶抽出液中に含まれる主なカテキンは「エピカテキン」「エピガロカテキン」「エピカテキンガレート」「エピガロカテキンガレート」の4種類です。この4種類の中で最も多い割合を占めるのがエピガロカテキンガレート。エピガロカテキンガレートは、カテキンの中でも強い抗酸化作用を持つほか、多くの機能を有しているとされています。[※1]

エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートはお茶特有のカテキンですが、エピカテキンはフルーツやカカオなどにも含まれている成分です。

カテキンはお茶の苦味成分です。苦味成分といえば「タンニン」を思い浮かべる方も多いでしょう。実はタンニンもポリフェノールの一種。タンニンは、カテキンが複数重合したものであるといえます。紅茶に含まれる「テアフラビン」も、カテキンが結合し生成されたものです。

紅茶やウーロン茶は、茶葉を発酵(酸化)して製造するお茶です。その製造過程でカテキンが結合しテアフラビンなどの重合体が生成されますが、カテキンもその重合体も同様の活性を持つとされています。[※1]

カテキンには、抗菌・殺菌作用、抗アレルギー作用、動脈硬化予防など多くの健康効果が期待されています。

期待される効果・作用

高血圧や動脈硬化、がんの予防

カテキンの持つ抗酸化作用が、高血圧や動脈硬化、がんを引き起こすとされる活性酸を除去することが分かっています。

日本国内での調査でも、カテキンによるがんの発症抑制を示唆する結果が得られています。これは、活性酸素の除去作用などが関与していると考えられていますが、詳しいことはまだ分かっていません。現在、日本をはじめ欧米などでもカテキンなどのがん予防効果について研究が進められています。[※2]

抗菌・殺菌・抗ウイルス作用

カテキンは「毒素型」「感染型」どちらの細菌性食中毒菌に対しても、強い殺菌作用を示します。胃がんや胃潰瘍の原因となるピロリ菌についても同様の作用を示すことが明らかになっています。[※3][※4]

さらに、カテキンの効果として知られているのが抗ウイルス作用。お茶でうがいをすることで、インフルエンザウイルス感染症予防に効果的であるといわれています。[※4]

血中LDLコレステロール低下作用

カテキンには、血中LDLコレステロールを低下させる作用があることが分かっています。[※5]

さらに、カテキンの抗酸化作用によりLDLコレステロールの酸化を防止できるため、動脈硬化予防にも期待できるでしょう。

体脂肪減少

肥満傾向の人が約200mgのカテキンを含む飲料を、朝・夕食の1日2回、12週間続けることで、体重が少しずつ減り、カテキンを含まない飲料を摂取した群と比較すると約1㎏の体重の差が認められたとの報告があります。[※6]

また、高濃度カテキンを含む緑茶を12週間摂取することで、体脂肪が有意に減少したと報告されています。[※7]

糖尿病の発症予防

緑茶を摂取することで、非インスリン治療の2型糖尿病患者のHbA1cが低下することが報告されています。

カテキン摂取群とコントロール群、それぞれ12週間試験飲料を摂取したところ、アディポネクチンが有意に増加しました。また、インスリン分泌促進剤投与者では、有意なインスリンの増加とHb1Acの低下が見られたということです。
カテキンには膵β細胞保護作用があるといった報告があることから、インスリン分泌能を改善し、血糖コントロールを改善する効果があると考えられています。[※8]

口内環境の改善

カテキンの効果により、ミュータンス菌の増殖とプラーク形成が抑えられ、虫歯を予防できることが分かっています。さらに、口臭を抑えることにも役立つことから、口内環境改善効果が期待できます。[※4]

こんな方におすすめ

カテキンは血圧や血糖値が気になる方、体重やおなか周りが気になる方、生活習慣病の予防に気を遣っている方などに適しています。

また、アレルギー症状の緩和や口腔内を清潔に保ち、虫歯や歯周病を予防したいという方にも効果が期待できるといえるでしょう。

カテキンには消臭効果もあります。私たちの体内で良い効果を発揮してくれるだけではなく、衣類や寝具の消臭剤や脱臭剤などの日用品や、ペット用品などさまざまな用途で使われています。日常生活において気になる「臭い」がある方にも適した成分だといえます。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」において、カテキンの摂取目安量などは設定されていません。

茶カテキンの有効濃度についての研究報告では、1日540mg以上の茶カテキンを継続的に摂取することで内臓脂肪が有意に減少することが確認されています。[※9]

この量を健康効果が期待できる摂取目安量として考えるならば、急須で入れた煎茶100ml(湯のみ約1杯)で約8杯分、抹茶70mlで約4杯分ということになります。[※10]

考えられるリスク・
副作用

現時点では、特に問題となる健康被害や副作用は報告されていないようです。

また、カテキンと医薬品との相互作用も認められてはいませんが、お茶に含まれるカフェインには相互作用に関わる薬剤もあります。

そのため、薬を服用する場合にはお茶と一緒に飲まず、医師や薬剤師の指示に従うようにしましょう。[※11]

カテキンを含む食べ物

カテキンを多く含む代表的な食品がお茶です。茶葉がより多くのカテキンを生成するためには、日光を多く浴びることが重要です。そのため、茶葉に覆いをして栽培する「玉露」などはカテキンが少なめです。また、春先に収穫された茶葉の一番茶よりも、日照時間の多い夏に収穫される茶葉の二番茶や三番茶のほうがカテキンを多く含んでいます。

しかし、玉露のように覆いをして栽培する茶葉でも、より多くのカテキンを摂取できるお茶があります。それは「てん茶」を原料とする抹茶。抹茶は、茶葉を乾燥し粉砕して作られるため、茶葉をまるごと摂取できます。そのため、カテキンを摂取できる量も多くなるのです。

緑茶だけではなく紅茶からもカテキンが摂取できます。紅茶に含まれるのは、紅茶ポリフェノールとも呼ばれるテアフラビン。茶葉を発酵(酸化)して作られる紅茶は、その過程でカテキンが2つ結合した「テアフラビン」が生成されます。
茶葉を発酵(酸化)させて作られるとはいえ、テアフラビンもカテキンと同等の効果を持ちます。そのため、緑茶のみならず紅茶を摂取することも、カテキンを効率よく摂取することにつながるでしょう。

最近では、カテキンの体脂肪を減少させる効果に注目したトクホ(特定保健用食品)の飲料も多く販売されています。カテキンの効果をしっかり引き出したい方は、継続して摂取するのがおすすめです。

お茶以外の食材では、りんごやぶどう、チョコレートなどにもカテキンが含まれています。

発見・研究の歴史

中国では紀元前の医学書に記述があるなど、古くから飲まれていたとされるお茶。 日本には、中国から奈良・平安時代にもたらされたものと推定されています。[※12]

日本では、農学博士辻村みちよ氏が緑茶の研究を始め、1924年には緑茶にビタミンCが含まれていることを発表しました。辻村氏はその5年後、初めて緑茶中のカテキンを取り出すことに成功。[※13][※14]

こうして始まった研究により、現在ではカテキンのさまざまな機能性が明らかになっています。今後も、カテキンの多岐にわたる健康効果に期待が高まっています。

カテキンに関する研究情報

【1】カテキンが豊富な飲料は、2型糖尿病患者の肥満と血糖コントロールを改善します
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19008868/

【2】急性GTE(緑茶抽出物)摂取は、中程度の強度の運動中の脂肪の酸化を増加させ、健康な若い男性のインスリン感受性と耐糖能を改善する可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18326618/

【3】女性が緑茶抽出物を5週間摂取すると、血管機能が変化し、血清酸化能が大幅に低下することがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18689551/

【4】緑茶カテキンの摂取は、運動による腹部脂肪と血清TGの減少を促進することを示唆しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19074207/

【5】カテキンが豊富な飲料の摂取が、日本人の子供たちの安全上の懸念を引き起こすことなく、深刻な肥満と心血管疾患の危険因子を改善することを示唆しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18356827/

参照・引用サイトおよび文献

※1 カテキンのいろは | 日本カテキン学会
(URL:https://www.catechin-society.com/iroha.html

※4 がん予防|お茶の成分と健康性|お茶百科|株式会社伊藤園
(URL:http://www.ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/catechin/cancer/

※3 抗菌・殺菌作用|カテキンの効果・作用 | 日本カテキン学会
(URL:https://www.catechin-society.com/effect_01.html

※4 虫歯予防、抗菌作用|お茶の成分と健康性|お茶百科|伊藤園
(URL:http://www.ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/catechin/cavities_antibacterial/

※5 Green tea catechins decrease total and low-density lipoprotein cholesterol: a systematic review and meta-analysis|J Am Diet Assoc . 2011 Nov;111(11):1720-9. doi: 10.1016/j.jada.2011.08.009.
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22027055/

※6 体脂肪低下作用|お茶の成分と健康性|お茶百科|伊藤園
(URL: http://www.ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/catechin/bodyfat/

※7 Green tea with high-density catechins improves liver function and fat infiltration in non-alcoholic fatty liver disease (NAFLD) patients: a double-blind placebo-controlled study|Int J Mol Med . 2013 Nov;32(5):989-94. doi: 10.3892/ijmm.2013.1503. Epub 2013 Sep 20.
(URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24065295/

※8  A catechin-rich beverage improves obesity and blood glucose control in patients with type 2 diabetes|Obesity (Silver Spring) . 2009 Feb;17(2):310-7. doi: 10.1038/oby.2008.505. Epub 2008 Nov 13.
(URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19008868/

※9 花王 | 栄養代謝の研究開発 | 茶カテキンの有効濃度
(URL:https://www.kao.com/jp/nutrition/about-cat/cat03/

※10 抹茶と健康 研究最前線!|ネスレ抹茶|ネスレアミューズ
(URL:https://nestle.jp/matcha/health/

※11 Q&A | 日本カテキン学会
(URL:https://www.catechin-society.com/qanda.html

※12 お茶の歴史|お茶の成分と健康性|お茶百科|伊藤園
(URL: http://www.ocha.tv/history/

※13 緑茶の栄養を発見した偉人、辻村みちよ|株式会社小野園
(URL:https://onoen.jp/column/column_32.html

※13 我が国初の女性農学博士 辻村みちよ|桶川市
(URL:https://www.city.okegawa.lg.jp/shisei/shinoshokaikanko/shokai/3475.html

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