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グレープフルーツ

成分
10秒解説

柑橘類のひとつであるグレープフルーツは、爽やかな酸味と苦みが特徴的なフルーツ。黄色い果肉のマーシュ種と、赤っぽい果肉のルビー種があります。ビタミンだけでなくさまざまな栄養素が含まれており、美容効果や健康効果があります。食用以外には精油(アロマオイル)などとしても用いられています。

こんなお悩み・健康効果に

  • コレステロール値を下げる
  • 疲労回復
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • 美肌
  • ダイエット
  • リラックス
  • 集中力アップ
  • 心臓疾患の予防
  • 肝機能アップ
  • エイジングケア

グレープフルーツの成分とは

ビタミンCをはじめとしたビタミン類が豊富。
抗酸化力に優れた身近なフルーツ。

グレープフルーツは、亜熱帯地方を原産とする柑橘類の一種。西インド諸島のバルバドスで発見されたフルーツで、ブドウのような房で実ることからその名がついたと言われています。
広く知られている品種は、果実が黄色いマーシュ種と赤みがかったルビー種。グレープフルーツは独特の苦みと爽やかな酸味が特徴的ですが、ルビー種はマーシュ種よりも甘みが強くなっています。生食のほか、ジャム、ジュース、缶詰などに加工されたり、アロマオイルとしても使用されます。

グレープフルーツに多く含まれているのはビタミン類です。とくにビタミンCが豊富で、100gの果肉に36㎎のビタミンCが含まれているのが特徴。1日あたり1個のグレープフルーツで、必要なビタミンCを十分に摂取することができます。

ちなみにグレープフルーツ特有の苦みは、苦み成分であるリモノイドやナリンギンからきています。これはどちらもポリフェノールの一種で、抗酸化力を持っているのが特徴。そのほかにも、クエン酸、ミネラル、ペクチン(食物繊維)などが含まれており、非常に栄養豊富なフルーツです。

期待される効果・作用

ダイエットサポート

グレープフルーツの苦み成分であり、ポリフェノールの一種であるナリンギン。このナリンギンには、糖の代謝を高めてエネルギーを効率よく消費させるといった働きがあります。体内で消費されなかったエネルギーは脂肪として蓄えられることになるため、ナリンギンの摂取はダイエットのサポートになると考えられます。

さらにグレープフルーツの香り成分であるヌーカトンは、エネルギー消費を促すと共に、内臓脂肪の蓄積を抑制するという効果があります。グレープフルーツの香りを嗅ぐと交感神経が刺激され、脂肪の燃焼に関与するUCPタンパク質が活性化。これにより、体内の脂肪が燃焼しやすくなると言われています。また、グレープフルーツは他の果物に比べて糖質量が少ないため、ダイエット中のビタミン補給にも適しているのです。

疲労回復効果

グレープフルーツには、疲労回復効果の高いクエン酸が含まれています。疲労が蓄積するとヒトの身体は弱酸性から酸性に傾きますが、これは体内のクエン酸回路がうまく機能せず、ブドウ糖が分解されたあとに残る乳酸が蓄積している状態。しかし、グレープフルーツでクエン酸を摂取すればクエン酸回路が活性化し、疲労物質である乳酸が減少。爽やかな酸味と香りも手伝って疲れを軽減します。

美肌効果

グレープフルーツに豊富に含まれているビタミンCは、抗酸化物質のひとつ。細胞にダメージを与えてシワ、たるみ、くすみなどを引き起こす、活性酸素を除去する働きを持っています。また、日焼けやシミの原因となるメラニン色素を生成するチロシナーゼの働きを抑えてくれるため、美肌効果もアップします。

リラックス効果

グレープフルーツの爽やかな香りには、リラックス効果があると言われています。グレープフルーツの香りの正体は、香り成分であるリモノイド。このリモノイドは果皮に多く含まれる精油成分で、気分を爽快にしてストレスを和らげる効果があるのです。アロマオイルにも使われており、エステサロンなどではリラクゼーション効果を高めるために利用されています。

心臓疾患の予防

グレープフルーツにはミネラルも含まれていますが、とくに豊富なのがカリウムです。このカリウムには心臓や筋肉の働きを正常化する作用があるため、心臓の健康保持に効果的。心筋梗塞や不整脈といった、心臓疾患の予防につながると考えられています。

肝機能アップ

グレープフルーツには、抗脂肪肝ビタミンと呼ばれるイノシトールが含まれています。イノシトールとは、ビタミンB群に属する成分です。脂肪の流れを改善して脂肪が蓄積するのを防いでくれるため、脂肪肝の予防に効果的。肝機能の向上にもつながります。

コレステロール値の低下

グレープフルーツには、血液中のコレステロール値を下げる効果があると言われています。この働きは、グレープフルーツに含まれるペクチンによるもの。ペクチンとは食物繊維のひとつで、水溶性食物繊維に属するもの。水溶性食物繊維にはコレステロールを排出する効果があると言われているため、グレープフルーツの摂取はコレステロール値を下げることにつながります。

こんな方におすすめ

グレープフルーツには、代謝をアップさせてエネルギー消費を促進する「ナリンギン」や、内臓脂肪の減少に役立つ「ヌーカトン」、さらにコレステロール値を下げるとされる「ペクチン」が含まれています。そのため、メタボリックシンドロームが心配な人やコレステロール値を正常化したいと考えている人におすすめです。
また、ビタミンCが豊富なので、美肌を目指したい人や、風邪などの病気を予防したいという人にも適しています。

グレープフルーツの摂取目安量については、とくに決められていません。グレープフルーツは糖質も少なめでダイエット中でも比較的安心なフルーツですが、健康や美容のために毎日取り入れるのであれば、1日あたり1/2個を目安にすると良いでしょう。グレープフルーツジュースの場合は、1日あたりコップ1杯(200ml)が目安です。ただし果汁の比率が低い製品には糖類などが添加されているため、果汁100%のストレートタイプを選ぶのがおすすめです。

考えられるリスク・
副作用

グレープフルーツには飲み合わせることを禁忌としている薬があります。
高血圧の治療に使われる降圧剤の中でも「カルシウム拮抗薬」を併用すると、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類によって、代謝酵素の「CYP3A4」が阻害される相互作用が起こります。
酵素が阻害されて代謝がうまくいかなくなると、薬の血中濃度が上がってしまい、降圧効果や頭痛・めまいなどの副作用が強くあらわれるのです。
カルシウム拮抗薬以外に、高脂血症治療薬や催眠鎮静薬、抗てんかん薬などで同じ相互作用が起こることも確認されています。
これらの薬を服用している人は、グレープフルーツの摂取を避けるのが望ましいでしょう。

また、グレープフルーツには苦み成分のナリンギンが含まれています。ナリンギンは針状の結晶構造をしているため、グレープフルーツを食べたときに口の周りや舌が刺激されてヒリヒリするといった症状が出るようです。

グレープフルーツ成分を
上手に摂取するには

グレープフルーツを選ぶ際は、果皮がへこんでいないキレイな形のものを選びましょう。鮮やかな色味で表面に張りとツヤがあるものがおすすめです。良い果実はずっしりと重く実が詰まっているので、購入前に同じ大きさのグレープフルーツを手に取って重みを比較してみましょう。
グレープフルーツは生で食べることができるため、そのまま皮をむいて食べたり、半分に切ってスプーンですくって食べるのがおすすめです。グレープフルーツならではの香りや苦み、食感の良さを存分に楽しむことができます。生のグレープフルーツをサラダにトッピングしたり、ヨーグルトなどに加えるのもおすすめです。
保存する際は香りがほかの食材に移らないよう、ポリ袋かビニール袋に入れ、冷暗所か冷蔵庫の野菜室で保管します。
基本的にグレープフルーツの皮は厚くて中身が傷みにくいのですが、日が経ったものはカビや腐敗などに気を付けてください。
カットしたものはラップをかけて保存し、2~3日を目安に食べきるのがよいでしょう。

生だと苦みや酸味が強くて食べにくいという場合は、ジャムやジュースに加工すると食べやすくなります。皮を砂糖やハチミツ漬けにして、ケーキやクッキーといったお菓子づくりに利用するのも良いでしょう。ただし加工品は糖類を用いることが多いため、食べすぎると糖分の過剰摂取につながります。適量の摂取に留めましょう。

発見・研究の歴史

グレープフルーツが発見されたのは、18世紀の中盤。西インド諸島のバルバドス島で発見され、実る様子がブドウの房のように見えることからグレープフルーツと名付けられました。発見当時、バルバドス島ではグレープフルーツのことを「禁断の木の実」と呼んでいたそうです。

このグレープフルーツが世に広まったのは、イギリス人学者であるグリフィス・ヒューズの著書である「バルバドスの自然史(The Natural History of Barbados)」がきっかけです。これを機に、アメリカのフロリダで1823年にグレープフルーツの栽培がスタートしました。

当初、グレープフルーツはブンタンの変種であると考えられていましたが、その後の研究で1837年にはブンタンとは違うものであることが判明。Citrus paradisiという学名がつけられました。さらに1948年には、オレンジとブンタンとの交配でできた品種であることが分かったのです。

グレープフルーツが日本に伝わったのは大正時代のはじめですが、気候の関係でグレープフルーツが育ちにくく、ほとんど知られることはなかったと言います。その後1970年代に輸入が活発になり、1982年に日本食品標準成分表に掲載されたことで、一般家庭に普及するようになったと考えられています。

グレープフルーツ成分に関する研究情報

【1】脂肪分の多いエサを食べて水を飲ませたマウスと、グレープフルーツ果汁を含む水を飲ませた場合の体重変化を100日間にわたって調査。その結果、グレープフルーツ果汁を含む水を飲んでいたマウスは、水だけのマウスより体重増加が18%抑制されました。
https://www.floridacitrus.org/newsroom/news/new-study-suggests-grapefruit-juice-may-help-control-weight-gain/

【2】20~40名の女性に対し精神的負荷をかけたあと、グレープフルーツの香りを嗅いでもらい、脳波を測定。その結果、グレープフルーツの香りを嗅いだ後の脳波はリラックス状態を示していました。
http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/igaku/mokuji/kiyou/kiyou17/image/kiyou17–042to047.pdf

参照・引用サイトおよび文献

※1「二日酔いに!グレープフルーツジュースの効果。飲み過ぎは体に悪い?夜は太る?│EPARK」(URL:https://epark.jp/medicalook/grapefruit-juice-effect/

※2「フロリダ州政府柑橘局(FDOC)フロリダ グレープフルーツのカラダにいい成分 美容・健康・ダイエット|フロリダ グレープフルーツ公式サイト」
(URL:https://www.floridacitrus.jp/grapefruit/)

※3【PDF】「精神負荷に対するグレープフルーツの香りの効果 村松仁ら(山梨医大紀要 第17巻 p42-47 2000年)」
(http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/igaku/mokuji/kiyou/kiyou17/image/kiyou17–042to047.pdf)

※4「くすりのいろは すこやかコンパス│大日本住友製薬」
(URL:https://www.ds-pharma.co.jp/sukoyaka/iroha/theme4/vol1.html)

※5「今月のトピックス 注意したいお薬の飲み合わせ│公益財団法人 日本心臓財団」
(URL:https://www.jhf.or.jp/topics/2014/003626/)

※6「グレープフルーツジュースが強めるのは薬の主作用?それとも副作用?野菜・果物を摂取するときの注意│野菜等健康食生活協議会事務局」
(URL:http://www.5aday.net/v350f200/chuui/toku_c.html)

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