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ウコン(ターメリック)

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成分
10秒解説

「ウコン」は熱帯アジア原産のショウガ科の植物。英語では「ターメリック」と呼ばれ、カレーのスパイスなどとしても知られています。ウコンの色素成分である「クルクミン」はポリフェノールの一種で、抗酸化作用などを持つ成分です。

こんなお悩み・健康効果に

  • 抗酸化・抗炎症作用
  • 二日酔いの予防
  • 消化器系の働きを助ける
  • 血中脂質改善作用
  • 糖尿病発症・進展予防効果

ウコン(ターメリック)とは

古くから漢方などとして利用されてきた健康食材

インドなどの熱帯アジア原産でターメリックとも呼ばれるウコン。カレーには欠かせないスパイスとして知られているほか、さまざまな有効成分を含んでいることから、生薬としても利用されてきました。

古くから肝機能を高める働きがあるとされ、二日酔いの防止や改善のために利用されてきたウコンですが、現在ではサプリメントなどで摂取することも多くなっています。

ウコンに含まれている機能性成分には、以下のようなものがあります。

  • クルクミン
  • フラボノイド
  • ターメロン
  • シネオール
  • クルクメン
  • アズレン
  • エレメン
  • カンファー

ウコンの最も主要な機能性成分が「クルクミン」。活性酸素を除去する抗酸化作用などを持つ成分です。

クルクミンは主に肝臓でUDP-グルクロン酸転移酵素によって抱合され、グルクロン酸抱合体として血液中に存在します。このメカニズムがクルクミンの効能に大きく関わっていることが分かってきました。

また、クルクミンは腸肝循環することが示唆されています。この腸肝循環が、クルクミンの効能を発現させることに重要な役割を担っていることが明らかになりつつあります。[※1]

ウコンにはたくさんの種類がありますが、日本で一般的に「ウコン」といわれているものは「秋ウコン」という種類になります。他には「春ウコン」「紫ウコン」などがあり、それぞれ特徴があります。

  • 秋ウコン(ターメリック)……クルクミンを非常に多く含みます。ターメリックと呼ばれるウコンはこの種類だけです。
  • 春ウコン(キョウオウ)……ターメロン、シネオール、クルクメンなどの精油成分やミネラルが豊富です。
  • 紫ウコン(ガジュツ)……クルクミンは含まず、シネオールやカンファー、アズレンなどの精油成分を多く含みます。

期待される効果・作用

抗酸化・抗炎症作用

ウコンに含まれるクルクミンはポリフェノールの一種です。ポリフェノールは「抗酸化物質」と呼ばれ、体内の活性酸素を除去してくれる作用があります。

したがって、クルクミンには紫外線による肌の炎症を抑えメラニン色素の生成を抑えたり、LDLコレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化を予防したりするなどの効果が期待できるでしょう。

二日酔いの予防

ウコンの機能性成分であるクルクミンを30mg含む飲料を摂取したことで、アルコール代謝が改善したという報告があります。[※2]つまり、飲酒による二日酔いや悪酔いを防いでくれる効果が期待できるといえるでしょう。

アルコール摂取による吐き気や頭痛などの二日酔いの症状は、アセトアルデヒドによるもの。ウコンに含まれるクルクミンは、アセトアルデヒドの分解を促進する作用があるといわれています。[※3]

消化器系の働きを助ける

胃液や唾液の分泌を促進し、消化を助ける作用があるのがシネオールなどのウコンの精油成分です。[※3]さらにウコンには胆汁酸の分泌を促進し、肝臓の働きを助ける作用も期待できます。

血中脂質改善作用

ウコンには、コレステロールや中性脂肪を低下させる作用があります。高血圧や脂質異常症をはじめとした生活習慣病の予防・改善効果が期待できます。

糖尿病発症・進展予防効果

肝機能を活性化する働きのあるウコンは、糖代謝を盛んにする作用があることが分かっています。また、クルクミンの摂取によりインスリンが分泌される膵β細胞の機能が改善されるなど報告もあり、糖尿病の発症を抑制する可能性もあるとされています。[※4]

ウコンには血流や血行障害を改善させる効果もあるため、糖尿病合併症予防にも期待できるといえるでしょう。[※3]

こんな方におすすめ

ウコンは、お酒を飲む方や胃腸を健康に保ちたい方におすすめです。また、生活習慣病の予防に気を遣う方や、紫外線や加齢に伴う肌トラブルが気になる方にも効果が期待できるでしょう。

ウコン食品であるため、特に摂取量は決められていません。

「食品添加物に関するFAO / WHO合同専門家委員会(JECFA)」では、ウコンに含まれるクルクミンのADI(一日許容摂取量)を「体重1kg当たり3mg」と定めています。[※5]

考えられるリスク・
副作用

通常の食事中に含まれる程度の量であれば、安全性に問題はないと考えられます。しかし、過剰摂取や長期に摂取を続けた場合などは消化管に障害を起こすことがあるため、注意が必要です。

妊娠中の方が通常の食事中に含まれる量より多量のウコンを摂取した場合は、安全ではない可能性があります。また、授乳中の方については食事に含まれるより多い量のウコンを摂取した場合の安全性については、ほとんど分かっていないというのが現状です。[※6]

胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉塞症の方に秋ウコンは禁忌。胆石のある方もウコンの摂取に注意が必要です。

また、ウコンはワルファリンやアスピリンなどの血液凝固剤との併用にも注意しなければいけません。血液凝固作用を増強させ、出血傾向となる可能性があることが症例として報告されています。[※7]

ウコンの過剰・長期摂取は肝臓への負担が大きく、肝障害を引き起こす要因となります。その要因の一つとして、ウコンに含まれる「鉄」の過剰摂取があります。これは、ウコンの鉄含有量が高いというよりも、ウコンを配合したサプリメントなどの製品に鉄の含有量が高いものが多いため。鉄代謝異常を抱えるC型肝炎患者などは、特に注意したほうがよいでしょう。[※8]

サプリメントなどに関しては、長きにわたり生薬として使用されてきた秋ウコン以外の春ウコンや紫ウコンを配合する製品も増えてきています。このことにより健康被害や医薬品との相互作用が増加している可能性も否めません。[※7]

ウコン(ターメリック)の成分を上手に摂取するには

ウコンを乾燥させてパウダー状にしたものが、ターメリックとしてスーパーなどで手に入ります。スパイスとして料理に使用するのが最も手軽な摂取方法です。

カレーには欠かせないターメリックですが、カレーのスパイス以外にもさまざまな料理に利用できます。黄色い色を活かしてターメリックライスにしたり、肉を焼く際に振りかけたりして風味付けに使うのも良いでしょう。スープなどに加えても彩りよく仕上がります。

ターメリックは水に溶けず、油によく溶ける性質があるため、炒め物などの油を使った料理がおすすめです。

手軽さでいえばサプリメントなどで摂取するのもよいでしょう。サプリメントなどを利用する場合は1日当たりの摂取目安量を守り、過剰摂取に注意しましょう

発見・研究の歴史

ウコンは、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」や、中国の漢方薬として古くから用いられてきました。

カレーのスパイスでも知られるウコンですが、漢方では血流の悪さによって引き起こされる肩こりや月経痛の症状を和らげるために用いられます。また、健胃、止血、痛み止めなどとしても利用されるほか、家庭薬にも配合され、身近なものとして利用されているようです。

インドでも、皮膚や上気道、関節、消化器系の症状に対して伝統的に使用していたとされています。

タイ、中国を経て沖縄に伝わったとされているウコン。現在、沖縄をはじめ種子島、石垣島、奄美大島、鹿児島などで栽培されています。

日本では、たくあんやマスタードなど食品の着色料として用いたり染料として利用されたりするほか、ウコンの産地である沖縄では古くから肝臓の薬としても用いられていたといいます。

その効果から、現在はウコンの成分クルクミンなどの研究が進み、サプリメントなどに活用されています。

ウコン(ターメリック)に関する研究情報

【1】クルクミンと、ビサクロンを含有した秋ウコンエキス飲料は、二日酔いを効果的に改善することが示されました。
https://ukonken.jp/bisacurone/05.html

【2】クルクミン30mgを配合した飲料(100ml)は、飲酒時に摂取することで、アルコール代謝の改善が認められる。
https://ukonken.jp/curcumin/02.html

【3】クルクミンは、ラットにおいて四塩化炭素によって誘発された急性および亜急性の両方の肝障害を改善したと結論付けられた。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10813555/

【4】ターメリックはラットにおいて免疫抑制剤タクロリムスの血中濃度を増加させることを確認しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22123127/

【5】クルクミン、クルクミノイドはある程度の血糖異常のある人のFBG濃度を下げるのに効果的でした。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22123127/

【6】ターメリックの黄色色素「クルクミン」はCaMKIIの活性化を介してGLP-1の分泌を促進する。
http://stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/Food_Nutr_Sci/labo/tsuda_lab/research/research07.h

参照・引用サイトおよび文献

※1 ウコン研究所 | 渡邊教授『クルクミンの可能性』 | ハウスウェルネスフーズ (URL:https://ukonken.jp/future/02.html

※2ウコン研究所 | アルコール代謝研究 | ハウスウェルネスフーズ
(URL:https://ukonken.jp/curcumin/02.html

※3 食経験が豊富で根強い人気を誇る『肝心要』 の健康素材 「ウコン」の健康パワー|すこやかネット|NIPRO-ニプロ株式会社-
(URL:https://www.nipro.co.jp/sukoyakanet/31/

※4 ウコンが糖尿病を予防? クルクミンが有効の可能性|Medical Tribune
(URL:https://medical-tribune.co.jp/kenko100/articles/121121524843/

※5 Evaluations of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA)|WHO |
(URL:https://apps.who.int/food-additives-contaminants-jecfa-database/chemical.aspx?chemID=1355

※6 厚生労働省eJIM | ウコン | ハーブ | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト
(URL:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/46.html

※7 ウコンについて | 「健康食品」・サプリメントについて | 国民のみなさまへ | 日本医師会
(URL:https://www.med.or.jp/people/knkshoku/ukon.html

※8 ウコンと肝障害について |東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部
(URL:https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column_079.html

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