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アミノ酸

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成分
10秒解説

たんぱく質の構成成分として知られるアミノ酸ですが、アミノ酸の働きはたんぱく質を構成するだけではありません。筋肉量の維持や合成、筋肉疲労の軽減やリラックス効果など数多くの働きを有し、わたしたちの健康維持には欠かせない成分として知られています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 筋肉量増加・筋力の向上
  • 脂肪燃焼促進
  • 筋肉疲労や筋肉痛の軽減
  • 血流促進
  • 免疫力の向上
  • 脳機能の活性化
  • 美肌・美髪効果
  • リラックス効果・睡眠の質向上効果

アミノ酸とは

さまざまな生理機能を持つ人体に欠かせない成分

アミノ酸の機能として重要なのは、たんぱく質の構成成分であることです。複数のアミノ酸が複雑に組み合わさることで、たんぱく質がつくり出されます。 自然界には非常に多くの種類のアミノ酸が存在していますが、たんぱく質の構成成分となるのはわずか20種類。この20種類のうち、ひとつ欠けただけでもたんぱく質は合成されません。[※1]

20種類のたんぱく質は「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に大別されます。必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要のある9種類のアミノ酸です。一方、体内で合成できる11種類のアミノ酸を非必須アミノ酸といいます。非必須アミノ酸は必要に応じて体内で合成されますが、それだけで不足する場合は食事から適切に摂取する必要があります。

【必須アミノ酸】

バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、リジン、フェニルアラニン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン

【非必須アミノ酸】

アルギニン、システイン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン

また、たんぱく質を構成成分とはならず単独で体内に存在し、それぞれの働きを発揮しているアミノ酸は「遊離アミノ酸」と呼ばれています。 遊離アミノ酸にはシトルリンやオルニチン、GABA(ギャバ:γ-アミノ酪酸)などがあります。 アミノ酸は人体に必須の栄養素であるたんぱく質を構成する他、それぞれがさまざまな生理機能を有し人体に欠かせない役割を担っているのです。

期待される効果・作用

筋肉量増加・筋力の向上

筋肉など体をつくるもととなる栄養素のひとつ、たんぱく質を構成するのがアミノ酸です。そのため、アミノ酸を十分に摂取することは、筋肉量の維持や増加に役立つといえるでしょう。

食事から摂取したたんぱく質は、最終的にアミノ酸やアミノ酸が数個結合した小さなサイズの「ペプチド」まで分解されて吸収されます。サプリメントなどでアミノ酸を直接摂取することは、分解(消化)の過程が省かれ、より素早く効率的に体内に吸収することができると考えられます。

また、筋肉量が増加することで筋力の向上も期待できるでしょう。

脂肪燃焼促進

遊離アミノ酸のひとつであるL-カルニチンには、脂肪燃焼の効果が期待できるといわれています。

L-カルニチンは脂質の代謝に不可欠な成分です。脂質をもとにエネルギーをつくり出す他、中性脂肪やVLDLコレステロールの低下作用、脂肪肝予防などの効果があることが知られています。[※2]

筋肉疲労や筋肉痛の軽減

バリン、ロイシン、イソロイシンを含む「BCAA」には、筋肉の分解を抑制することで筋肉疲労の軽減にも役立つといわれています。

激しいトレーニングなどによりエネルギー不足が生じると、筋肉を分解しエネルギーをつくり出すようになってしまいます。このときにアミノ酸、特に素早くエネルギー源となるBCAAを摂取することで、筋肉の分解を抑えながら運動に必要なエネルギーを補給することができるのです。

また、トレーニングによって傷ついた筋肉の修復を促すことにもつながることから筋肉痛の軽減が期待できるといわれています。同様の効果が期待できるアミノ酸には、他にアルギニンがあります。

血流改善

アルギニンやシトルリンには、血管を拡張させ血流を促す作用があります。これは、血管内皮でアルギニンやシトルリンから生成される「一酸化窒素」の働きによるもの。直接一酸化窒素をつくり出すのはアルギニンですが、アルギニンは体内でシトルリンから生成されます。そのため、一酸化窒素の生成に関してはどちらも重要な役割をもつアミノ酸であると考えられています。[※3]

アルギニンやシトルリンの血流促進作用により、動脈硬化を予防したり血流の悪さからくる手足の冷えを改善したりといった効果が期待されています。

免疫細胞の活性化

必須アミノ酸であるアルギニンには、免疫細胞を活性化し免疫機能を正常に保つ作用があります。

アルギニンには一酸化窒素を産生することを通して、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの免疫細胞が、細菌やウイルスなどを攻撃する力を高める作用があるとされています。[※4]

脳機能の活性化

必須アミノ酸であるトリプトファンやフェニルアラニン、チロシンは脳内の神経伝達物質の生成に欠かせません。[※5]

フェニルアラニンは体内でチロシンに変換され、チロシンはドーパミンの材料となります。また、トリプトファンはセロトニンから作られます。

アミノ酸の摂取によりセロトニンやドーパミンの分泌をコントロールすることで、集中力や認知機能の向上が期待できると考えられています。

美肌・美髪効果

セリンやプロリン、アルギニンなどは肌の角質層において水分を保持する働きを持つ「天然保湿因子」の構成成分です[※6][※7][※8]。そのため、肌に潤いを与え美肌を保つ効果も期待されています。 また、これらのアミノ酸が利用されているのがヘアケア用品です。毛髪の潤いを保つ目的で配合され、ダメージによる髪のパサつきを改善して髪のコンディションを整えるのに有効だと言われています。

リラックス効果・睡眠の質向上効果

アミノ酸のひとつである「ギャバ(γ-アミノ酪酸)」には、リラックス効果や快眠効果が期待できます。[※9]

ギャバは自律神経に作用し、交感神経の働きを抑える作用があります。神経の興奮を鎮めることでリラックスを促したり、「よく眠れた」「翌朝すっきり起きられた」と感じられるような睡眠の質を向上させる作用があると考えられています。

こんな方におすすめ

アミノ酸は、性別や年代問わず全ての方の健康維持に不可欠な成分です。しかし、それぞれのアミノ酸特有の効果に期待して摂取するという方法もあります。例えば、筋肉量や筋力のアップ、筋肉疲労軽減の効果が期待できるBCAAやアルギニンは、日常的に筋力トレーニングを行う方やアスリートの方などに適しているでしょう。

また、脂肪燃焼効果のあるアミノ酸はダイエット中の方にも効果的であるといえます。

気分をリラックスさせたい方、睡眠の質をあげたい方などはギャバを取り入れてみるのもよいでしょう。さらに血流を促進し動脈硬化を予防したい方、免疫力を正常に保ちたい方にはアルギニンなどを摂取するのがおすすめです。

2007年に発表された国際機関(FAO/WHO/UNU)の報告によると、必須アミノ酸の必要量(合計)は、成人で183mg/kg 体重/日です。[※10]

厚生労働省では、たんぱく質の食事摂取基準(推奨量)を成人男性で60~65g/日、成人女性で50g/日としています。[※10]

食事摂取基準においては、たんぱく質の耐容上限量は定められていません。これは、過剰摂取による健康障害として報告されているものに明確な根拠がないためです。 [※10]

考えられるリスク・
副作用

特定のアミノ酸のみを過剰に摂取することで、健康に悪影響を及ぼす可能性があることが報告されています。とはいえ、ほとんどのアミノ酸では過剰摂取による危険性のメカニズムは不明であるというのが現状です。[※11]

アミノ酸を単独で摂取する場合、多くの方がサプリメントを利用することになるでしょう。通常の食生活では過剰に摂取することはないと考えられるアミノ酸でも、サプリメントでは摂取量によっては過剰摂取となる可能性もあります。サプリメントを利用する場合には1日当たりの摂取目安量を守り、過剰摂取に注意しましょう

アミノ酸を含む食べ物

アミノ酸はたんぱく質を構成する成分であるため、たんぱく質を含む幅広い食べ物に含まれています。たんぱく質を豊富に含む食べ物は肉類、魚介類、卵類、乳類、大豆・大豆製品です。

これらの食べ物のうち、必須アミノ酸をバランスよく摂取できるものは「良質なたんぱく質」と呼ばれています。良質なたんぱく質を示す指標を「アミノ酸スコア」といい、アミノ酸スコアの最大値は100です。つまり、アミノ酸スコア100の食べ物を摂取することで、必須アミノ酸を効率よく摂取できるといえるのです。

【アミノ酸スコア100の主な食品】

鶏卵、牛乳、豚肉、牛肉、鶏肉、あじ、いわし、まぐろ、鮭、大豆、豆乳など

発見・研究の歴史

アミノ酸の発見は1806年まで遡ります。初めて発見されたのは、アスパラガスの芽から抽出され「アスパラギン酸」と名付けられたアミノ酸です。以降、アミノ酸は次々と発見され、1935年までにはたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸すべてが見つかっています。[※12]

その後もアミノ酸の研究は進み、たんぱく質の構成成分となる以外にも、それぞれのアミノ酸特有の生理機能が次々と明らかになっています。

アミノ酸に関する研究情報

【1】アミノ酸摂取とともに運動を行うことは、サルコペニアの女性において、筋力だけではなく筋肉量や歩行速度を強化するのに効果的である可能性があることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22142410/

【2】健康な肥満者に対してアミノ酸混合物を摂取させたところ、インスリン非依存的にOGTTに対するグルコース反応を低下させることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22260861/

【3】急性脳出血患者にアミノ酸を摂取させたところ、インスリン感受性と総リンパ球数が改善しました。死亡率は対照患者よりも減少しました。このことから、アミノ酸は脳出血の治療に有効である可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20972646/

参照・引用サイトおよび文献

※1 アミノ酸 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html

※2 【PDF】L-カルニチンの機能について|公益財団法人 日本食肉消費総合センター
(URL:http://www.jmi.or.jp/common/download.php/Health&Meat%E2%80%9999%EF%BC%88%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%EF%BC%89.pdf?id=NjQ1

※3 【PDF】シトルリンの代謝と薬効|公益社団法人 日本農芸化学会 化学と生物 第46巻 (2008) 7号
(URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/46/7/46_7_460/_pdf/-char/ja

※4 アルギニンの成分情報|協和発酵バイオの健康成分研究所
(URL:https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/aminoacid/yougo/2_04.html

※5 【PDF】タンパク質と脳の栄養~うつ病とタンパク摂取~|独立行政法人農畜産業振興機構
(URL:https://www.alic.go.jp/content/000141085.pdf

※6 セリンの基本情報・配合目的・安全性|化粧品成分オンライン
(URL:https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/2782/

※7 プロリンの基本情報・配合目的・安全性|化粧品成分オンライン
(URL:https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/2616/

※8 アルギニンの基本情報・配合目的・安全性|化粧品成分オンライン
(URL:https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/209/

※9アミノ酸の効果:リラックス・快眠|協和発酵バイオの健康成分研究所
(URL:https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/aminoacid/relax.html

※10 【PDF】日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省
(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf

※11 【PDF】加藤久則「アミノ酸の機構や安全性の研究におけるオミクス」|生化学 第86巻第3号
(URL:https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2015/01/86-03-03.pdf

※12 アミノ酸とは?|味の素株式会社
(URL:https://www.ajinomoto.co.jp/amino/manabou/about.html

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