サポニン
こんなお悩み・健康効果に
- 抗酸化作用
- 肝機能障害の予防
- 肥満予防
- 免疫力の向上
- 血流の改善
- 鎮咳・去痰効果
- 殺菌効果
サポニンとは
サポニンは、さまざまな植物に含まれている配糖体(糖と糖以外の分子が結合したもの)の一種です。水に溶かして撹拌すると良く泡立つ性質があり、日本では奈良時代からサポニンを含む植物を洗剤として利用していました。サポニンが泡立つ性質を持つ理由は、分子構造に親水性と疎水性の異なる性質が共存しているため。このような構造を持つことで緩やかな「界面活性作用」を示し良く泡立つのです。[※1]。
大豆などのマメ科の植物に多く含まれているサポニンは、茶葉や高麗人参などにも含まれています。これらの植物の苦みや渋み、えぐみは主にサポニンから生じたものです。[※2]
サポニンを含む植物は古くから生薬として利用されていましたが、現在はサプリメントの成分や食品添加物などとして利用されています。
高い抗酸化作用を持ち活性酸素の無毒化や脂質の酸化防止に働くサポニンは、生活習慣病予防が期待される成分として注目されています。しかし、ヒトに対する効果や有効性、安全性に関しては十分に信頼できるデータを得るに至っていないため、今後の研究に期待がかけられています。
期待される効果・作用
抗酸化作用
サポニンには、活性酸素の発生や働きを抑えたり除去したりする抗酸化作用があり、細胞の老化や脂質の酸化を防いでくれます。この抗酸化作用により、血中脂質の酸化によって起こる動脈硬化やがんの予防にもつながると言われています。
肝機能障害の予防
サポニンの持つ抗酸化作用により脂質の酸化が抑制されるため、肝炎や肝機能低下のリスク低減につながります。
肥満予防
サポニンには、脂肪の蓄積を抑制したり脂肪の燃焼を促進したりする働きがあるため、肥満予防に効果を示すとされています。大豆サポニンには、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」という物質の分泌を促進する作用があるとされています。[※3]
アディポネクチンはインスリン感受性を亢進したり動脈硬化を抑制したりする作用あると言われている物質。この物質の作用により、脂肪の蓄積を防ぎ燃焼を促進する作用が期待できるとされています。[※4][※5]
免疫力の向上
サポニンには、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きを活性化させ、細菌やウイルスなどを攻撃する力を高める作用があるとされています。
血流の改善
高麗人参由来のサポニンには、血流を改善させる作用があります。[※3]
さらに、血流改善に加え抗酸化作用により活性酸素が血管にダメージを与えるのを防いでくれるため、血栓予防の効果も期待できます。血流が改善されることで「冷え」が改善される可能性も考えられるでしょう。
鎮咳・去痰効果
アマチャヅルに含まれるサポニンには、咳を抑える効果、桔梗(ききょう)に含まれるサポニンには、痰を除去する効果が期待されています。
殺菌効果
主に植物に含まれるサポニンですが、ナマコやヒトデなどの棘皮動物にも含まれています。なかでも、ナマコに含まれるサポニンの一種「ホロトキシン」は強い防カビ作用を持っています。水虫やタムシの原因となる白癬菌(はくせんきん)の増殖を防いだり除去したりする効果があり、治療薬としても用いられています。[※6]
こんな方におすすめ
サポニンには高い抗酸化作用があります。そのため、生活習慣病予防のための対策を始めたい方などにおすすめの成分です。免疫力を高める作用もあるため、風邪をひきやすいという自覚がある方などは取り入れてみても良いでしょう。
摂取目安量・上限目安量
厚生労働省による食事摂取基準などでは、サポニンの摂取目安量や上限量などは定められていません。サプリメントなどの健康食品から摂取する場合は、過剰に摂取しないよう1日当たりの摂取目安量を守るようにしましょう。
考えられるリスク・
副作用
サポニンはヒトに対する安全性に関わる十分なデータがないというのが現状のようです。
豆類や野菜類など通常食品として摂取しているものに含まれているサポニンは安全性が高いと考えられますが、生薬として利用される桔梗(ききょう)や柴胡(さいこ)などに含まれるサポニンを過剰摂取してしまうと、溶血や吐き気などが生じる可能性があるため注意が必要です。[※7]
また、サポニンと抗凝固剤との併用摂取により血液凝固を抑制する作用が強くなるため、出血傾向となるリスクが高まります。[※8]
サポニンを含む食べ物
サポニンを特に多く含む食品は大豆や大豆製品です。
- 大豆
- 高野豆腐
- 生揚げ
- がんもどき
- 油揚げ
- おから
- 豆乳
その他、日常的に取り入れやすい食品としてはごぼうがあります。大豆そのものやごぼうなどから効率的にサポニンを摂取したい場合には、「アク」を摂り過ぎないことがポイントです。これらの食材を茹でると泡のようなアクが出てきます。通常アクはえぐみや渋みのもととなるため取り除きますが、実はこの部分にサポニンが含まれています。[※1]
料理の味のためにもある程度アクを取り除くことは必要ですが、必要以上に摂りすぎないよう意識してみましょう。
また、サポニンは普段食べないような食品にも多く含まれています。その一例が高麗人参や田七人参、アマチャヅルです。高麗人参や田七人参はサプリメント、アマチャヅルは健康茶としてサポニンが摂取できます。
発見・研究の歴史
日本では、サポニンを含むマメ科の植物「サイカチ」を古くから洗剤として利用していました。このことは「古事記」や「万葉集」に記されていることから、奈良時代にはサポニンの効果を日常的に利用していたと考えられます。[※9]
それ以降、サポニンについて多くの研究が行われるようになったとされるのは1900年頃。その当時は、主にお茶の種子に含まれるサポニンの研究が盛んに行われていたようです。その後も様々な植物特有のサポニンが発見されるとともにその機能性についての研究が進められ、サプリメントなどに応用されています。
サポニンに関する研究情報
【1】大豆サポニンは糖尿病ラットの血糖値を大幅に低下させ、アテローム性動脈硬化症の指標を改善し、脂質過酸化と血小板凝集を阻害する可能性があります。これは糖尿病と糖尿病関連アテローム性動脈硬化症の予防と管理に役立つ可能性があります。
【2】Xuesaitongドロップピル(総サポニン:XDP)90mg/kg を3日間胃内投与することはラットの電気刺激誘発総頸動脈の血栓症に対して血栓を溶解させるのに十分な効果が認められました。また、XDP 80、40、20 mg x kgは有意に赤血球凝集を減らし、全血血液粘度を減少させました。このことから、サポニンを含むXDPは血栓症を大幅に抑制し、血栓溶解に十分な効果をもたらすことが分かりました。
【3】プラチコジン(キキョウ由来のサポニン配糖体)は抗肥満およびコレステロール低下特性を持っていると考えられています。この試験ではハムスターに28日間プラチコジンを強化したアテローム発生(0.25%コレステロール)飼料を与えたところ血漿および肝臓の総コレステロール濃度が低下し、糞便中のコレステロール濃度は2.5倍増加しました。このことからサポニン配糖体は血中のコレステロールを低下させ、心血管疾患のリスクを軽減させると考えられます。
成分
10秒解説
植物の根や葉、茎などに含まれ、高い抗酸化作用を持つ物質の総称がサポニンです。サポニンは体を健やかに保つためのさまざまな効果が期待でき、この成分を含む植物は古くから生薬としても利用されてきました。多くの植物に含まれていますが、代表的なものが「大豆サポニン」です。