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イチョウ葉エキス

イチョウ葉エキスアイコン

成分
10秒解説

加齢による物忘れや、記憶力の低下を予防する効果が期待されている、注目の成分「イチョウ葉エキス」。国内では機能性表示食品の関与成分として知られていますが、ドイツなど一部の国では医薬品として用いられています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 抗酸化作用
  • 血流改善・血液凝固抑制作用
  • 認知機能の改善効果

イチョウ葉エキスとは

認知機能としての記憶力の維持に役立つ注目成分

イチョウの緑葉を乾燥させ、エタノールを用いて抽出されたものがイチョウ葉エキス。

約2億年前から存在していたとされ「生きた化石」とも呼ばれるイチョウは、中国伝統医学としても用いられるなど、古くから健康のために利用されてきました。

ドイツなど一部の国では医薬品扱いで、記憶障害や耳鳴り、めまいなどの治療薬として用いられていますが、日本では食品扱いとなり、機能性表示食品の関与成分として販売されています。

イチョウ葉には有効成分のほか、「ギンコール酸」という有害物質が含まれています。

ギンコール酸はイチョウの外種皮に多く含まれるアレルギー物質。イチョウの実である銀杏には含まれていませんが、葉には0.1%~1.0%含まれています。[※1]

そのため、イチョウ葉エキスをサプリメントなどとして安全に利用するには、できるだけギンコール酸を除去したものでなければならないのです。

イチョウ葉エキスの有効成分である「フラボノイド配糖体」、「テルペンラクトン」には血流改善効果があるとされ、認知症の改善や認知機能としての記憶力を向上させる効果などが注目されています。[※1]

しかしこれらの効果については、大規模及び長期的な評価研究においては否定的な内容も見られているため、これからの研究に期待がかけられています。[※3][※5]

期待される効果・作用

抗酸化作用

イチョウ葉由来のフラボノイド配糖体とテルペンラクトンの相乗効果により、活性酸素の発生を抑制したり、活性酸素による神経細胞の傷害を抑制したりすることが動物実験により明らかになっています。[※2]

フラボノイドは、抗酸化物質と呼ばれるポリフェノールの一種で、活性酸素の発生やその働きを抑えたり除去したりする作用を持っています。

血流改善・血液凝固抑制作用

イチョウ葉エキスに含まれるテルペンラクトンには、血小板の凝集を抑制する作用があることが試験管内の試験により明らかにされています。[※2]

この効果によって血流が改善されることで、脳梗塞や動脈硬化の予防効果も期待されています。[※1]

認知機能の改善効果

イチョウ葉エキスには、加齢による物忘れや記憶力の低下などを予防し、認知機能を維持する効果が期待できるとされています。

認知機能低下に関与する要因が「脳の血流悪化」と「活性酸素の発生」。イチョウ葉エキス中の抗酸化物質フラボノイドと、血流改善効果のあるテルペンラクトンとの相乗効果により、認知機能への効果を発揮していると言えるでしょう。

こんな方におすすめ

イチョウ葉エキスは、加齢による物忘れが気になる方や記憶力を維持したい方、認知症を予防したいという方などに注目されている成分です。

機能性表示食品などの多くが、イチョウ葉エキスの摂取対象者を「健常な高齢者」としていますが、子どもの集中力や落ち着きに着目した子ども向けのサプリメントにも使われているようです。

しかし、イチョウ葉エキスの子どもへの有効性については検証されていません。

そのため、子どもの集中力などに対する効果についての根拠はないと言えるでしょう[※3]。

日本ではイチョウ葉エキスは食品として扱われており、国としての成分規格はありません。

そのため、摂取目安量や上限量などは示されていませんが、公益財団法人日本健康・栄養食品協会では、「イチョウ葉エキス食品」の規格基準を以下のように設けています[※4]。

  • イチョウ葉エキスを20mg以上含有(1粒、1カプセル、1包中として)
  • ギンコール酸 …… 5ppm以下
  • 1日の摂取目安量はイチョウ葉エキス末として60~240mg
有害物質であるギンコール酸の許容含有量をはじめとするこれらの規格基準は、イチョウ葉エキスを医薬品として扱うドイツの成分規格に準ずるものとなっています。

ギンコール酸の含有量によってはアレルギー反応を起こす危険性もあるため、利用の際にはしっかりと確認するようにしましょう。

考えられるリスク・
副作用

日本においては、日本健康・栄養食品協会の規格基準を満たしているイチョウ葉エキス食品から摂取する場合、安全であると考えられます。[※5]

ただし、ごくまれに胃腸の不快感やめまい、皮膚のアレルギー反応が起こることがあるとされているため、注意が必要です。[※5]

さらに、妊娠中にイチョウ葉エキスを摂取することについては危険性が示唆されているほか、授乳中の安全性については十分なデータがないため使用は控えたほうが良いと言えるでしょう。

イチョウ葉エキスには血液凝固抑制作用があるため、ワルファリンなどの抗血小板薬と併用すると、医薬品の作用を増強してしまう恐れがあります。[※5]

また、抗てんかん薬やてんかん閾値を下げる薬との併用では、医薬品の効果を減弱させてしまうことがあります。

何かしらの内服薬を飲んでいる方が、イチョウ葉エキスをサプリメントなどから摂取する場合は、主治医や薬剤師などに飲み合わせについて確認するようにしましょう。

イチョウ葉エキスを上手に摂取するには

私たちにとって身近な樹木であるイチョウですが、自分で集めたイチョウの葉を煮出して摂取するのは厳禁です。その理由は、外種皮に多く含まれる有害物質ギンコール酸が葉にも含まれているからです。

安全なイチョウ葉エキスの摂取にはギンコール酸の除去が必須です。そのため、自作のイチョウ葉エキスの摂取は、大変危険であると言えます。

イチョウ葉エキスを安全に摂取するためには、サプリメントなどを利用するのが安全でしょう。ただし、サプリメントだからといって安心せずにパッケージに記載されている成分、特にギンコール酸の濃度についてはしっかりと確認することをおすすめします。

現在、イチョウ葉エキスを配合する機能性表示食品が多く販売されています。

機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)とは違い、国に許可されたものではありません。

しかし、販売企業が科学的根拠の確立や情報提供について責任を持ち、国に届け出たものであるため、安心であると言えるでしょう。

また、公益財団法人日本健康・栄養食品協会の規格基準を満たしたイチョウ葉エキス食品には「JHFAマーク」が付けられているため、安全性を確かめる際の参考にしてみると良いでしょう。

発見・研究の歴史

イチョウの種子である銀杏は、日本でも去痰薬、鎮咳薬などとして古くから用いられてきました。

一方、イチョウ葉エキスは1965年にドイツで医薬品として登録され、血流循環改善剤として利用されています。

日本でも研究が進み、機能性表示食品などのサプリメントの成分として注目されていますが、医薬品としては許可されていません。

現在、イチョウ葉エキスは糖尿病性網膜症、緑内障、末梢動脈疾患、月経前症候群(PMS)、統合失調症、めまいなどへの有効性が示唆され、研究が進められています[※5]。

イチョウ葉エキスに関する研究情報

【1】イチョウ葉エキス摂取により血液粘度が低下し、空間把握記憶も正確になりました
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12905098/

【2】イチョウ葉からの抽出物の急性投与は、健康な若年者の注意力を持続的に改善することができます
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11026748/

参照・引用サイトおよび文献

※1 健康・栄養フォーラム – 健康影響評価:イチョウ葉エキス
(URL: https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hn/modules/pico/index.phpcontent_id=306&page=print.html

※2 イチョウ葉|日清ファルマ株式会社
(URL: https://www.nisshin-pharma.com/livlon/icho/

※3 [イチョウ葉エキス]薬との併用、高齢者は慎重に | ヨミドクター(読売新聞)
(URL:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160809-OYTEW170921/

※4イチョウ葉エキス食品|公益財団法人日本健康・栄養食品協会
(URL:https://www.jhnfa.org/ityou-1.html

※5 厚生労働省eJIM | イチョウ | ハーブ | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト
(URL:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/25.html

※6 公益社団法人福岡県薬剤師会「上手に使おう健康食品|イチョウ葉エキスと医薬品の飲み合わせ」
(URL:https://www.fpa.or.jp/var/rev0/0002/0821/Vol.6.pdf

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