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クランベリー

成分
10秒解説

クランベリーは、ツツジ科スノキ属の赤くて小さな果実。主な種類はツルコケモモで、北米3大フルーツのひとつとして世界中で親しまれています。果実は非常に酸味が強いため、そのまま食べるよりもジュース、ジャム、ソース、お菓子などに加工されることが多くなっています。

こんなお悩み・健康効果に

  • コレステロール値を下げる
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • むくみ改善
  • 膀胱炎予防
  • 美肌
  • 生活習慣病予防
  • 歯周病・口臭の予防
  • 心臓疾患の予防
  • エイジングケア
  • がん予防
  • 尿路感染症の予防

クランベリーの成分とは

強力な抗酸化力をはじめ、全身への様々な効果が期待でき、
北米3大フルーツのひとつに数えられています。

小さくて赤い果実をイメージすることの多いクランベリーですが、実はツツジ科スノキ属の常緑低木の総称を指します。主な種類はツルコケモモと呼ばれるもので、そのほかにもヒメツルコケモモ、アクシバ、オオミツルコケモモなどがあります。

北米3大フルーツのひとつとされるクランベリーには、非常に多くの成分が含まれています。代表的な成分はポリフェノール類で、その中でも強力な抗酸化力を持つプロアントシアニジンを持っているのが特徴。プロアントシアニジンは他の果物にも含まれていますが、含有量はクランベリーがトップクラスです。

また、キナ酸という成分が含まれているのもクランベリーの特徴です。キナ酸は「キナ」という木の皮から見つかった成分で、優れた殺菌作用を持っています。体内に入ると馬尿酸という物質に変化し、尿のpHを弱酸性に保って細菌の繁殖を防ぎます。

その他にも、ビタミンE、ビタミンC、カテキン、ペクチン、フラボノール類(ケルセチン)、トリテルペン類、ミネラル(マンガン、カルシウム)など、さまざまな健康効果を持つ成分が含まれています。ただし、腎結石の原因となり得るシュウ酸や、アスピリンアレルギーを引き起こすとされるサリチル酸なども含まれているため、体質によっては摂取に注意が必要です。

期待される効果・作用

尿路感染症の予防

クランベリーには、尿路感染症の予防に役立つとされるキナ酸という成分が含まれています。尿路感染症は、膀胱や尿管といった部分に細菌が入り込むことで起こる感染症。膀胱炎、腎盂炎もこれに含まれます。クランベリーのキナ酸は体内に取り込まれると馬尿酸へと変化し、尿の性質を弱酸性に保ち、細菌が繁殖しにくい環境にしてくれるのです。こういった働きから、クランベリーは尿路感染症の予防に役立つとされています。ただし、すでに細菌が繁殖してしまったあとでは効果が見込めないため、注意が必要です。

むくみ改善

クランベリーには、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンが豊富に含まれています。このプロアントシアニジンは腎臓の働きをサポートして利尿作用を高め、体内にある余分な水分や老廃物を体外へ排出するという作用を持っています。その結果、手や足に見られていたむくみが改善し、見た目もスッキリする効果が期待できます。

美肌効果

プロアントシアニジンやビタミンE、ビタミンCなど、クランベリーには強力な抗酸化力を持つ成分が豊富に含まれています。これらの抗酸化物質は、肌細胞にダメージを与えてシワ、たるみ、シミなどを引き起こす活性酸素を除去してくれるため、美肌効果が期待できるのです。また、プロアントシアニジンは血液中の悪玉コレステロールを減らして血流を改善するという効果も持っているため、肌細胞のすみずみまで栄養が行き届くようになります。

生活習慣病の予防

クランベリーに含まれるプロアントシアニジン、ビタミンE、ビタミンCといった成分は、その抗酸化作用で、動脈硬化の原因となる血中の悪玉コレステロールの生成を抑制します。その結果、血管のしなやかさやスムーズな血流が保たれ、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患といった生活習慣病を予防してくれるのです。その効果の高さは医療分野でも注目されており、とくに心臓病患者の多いアメリカでは「コレステロール値を指摘されたらクランベリーを摂る」というほど、その効果が広く知られています。

歯周病の予防

まだ基礎研究の段階ですが、クランベリーに含まれるプロアントシアニジンなどのポリフェノール類が持つ抗酸化作用は、歯周病菌のストレプトコッカス菌の増殖を抑える効果が報告されています。30代以上になると2人に1人が歯周病であるといわれているため、クランベリーの摂取は健康な口腔環境の維持に役立つと考えられます。[※3]

抗がん作用

クランベリーの持つ抗酸化作用には、がんを予防する効果があるという報告があります。1996年に行われたイリノイ大学の発表によると、クランベリーには潜在的抗がん特性があることが報告されました。[※2]
また、西オンタリオ大学によるヒト乳がん細胞を用いた研究結果(動物モデル)もあります。この研究では試験群の食事にクランベリーが付与されていたときに、腫瘍細胞の成長が有意に低下したとしています。まだこれらの結果は試験的なものであるため、今後の研究がまたれます。

こんな方におすすめ

クランベリーの効果で注目されているのは、尿路感染症の予防効果。尿路感染症は子どもから大人まで誰でもかかる病気であるため、クランベリーを摂取することで膀胱炎をはじめとする泌尿器系の疾病を予防できるかもしれません。また、クランベリーのキナ酸には尿を弱酸性にして細菌の増殖を防いでくれるため、尿のニオイが気になるという人にもおすすめです。

その他にも、むくみの改善や美肌効果といった美容効果も高い成分なので、毎日のスッキリと若々しい肌を目指す人にも良いでしょう。まだ研究段階ではありますが、歯周病やがん予防にも効果を発揮してくれそうです。ただしクランベリージュースの場合、糖質の量が多くなりがちなので、気になる人はサプリメントを利用したほうが良いでしょう。

クランベリーに明確な摂取目安量・上限目安量は設けられていません。生のクランベリーは酸味が非常に強く、そのまま食べるということはほとんどないため、私たちが口にしやすいのはサプリメントをはじめ、クランベリージュース、ジャム、フルーツソース、ドライフルーツといった加工品になります。沖縄県薬剤師会が提供している情報によると、クランベリージュースであれば約90~160ml/日(濃度50~100%のもの)を摂取目安としているため、こちらを参考にすると良いでしょう。[※5]
ただし糖類が添加してあることも多いため、成分表示を必ずチェックしましょう。

考えられるリスク・
副作用

クランベリーは、過剰摂取をしなければ安全に取り入れることのできる食品です。
過剰摂取とは、例えばクランベリージュースを毎日大量に飲み続けるといったケース。胃部の不快感、下痢といった症状のほか、腎結石の原因となることもあるため注意しましょう。
また、血液の凝固を防ぐ薬剤であるワルファリンカリウム、ワーファリンを服用している人にとって、クランベリーは禁忌です。クランベリーの成分で薬の効果が増強され、消化管出血により死亡した例もあります。

クランベリーの成分を上手に摂取するには

クランベリーはアメリカ、カナダ、北欧産のものが多く、国産のクランベリーはほとんど流通していません。入手できるものの多くは輸入品となりますが、生のクランベリーはあまり販売されておらず、手に入りやすいのは冷凍品、ドライフルーツ、ジュース類となります。

冷凍のクランベリーはスムージーに使ったり、マフィンなどに混ぜると酸味が緩和されて食べやすくなります。ドライフルーツはそのまま食べるほか、ヨーグルトやシリアルにトッピングしても良いでしょう。ソースにして、肉料理のアクセントとしても利用できます。もっとも手軽に利用できるのはクランベリージュースですが、糖類が添加されているものが多いため、飲み過ぎには注意しましょう。

発見・研究の歴史

もともとクランベリーは、狩りのエサとしてアメリカの先住民が使っていたもの。部族によってそれぞれ呼び名や用途が異なりますが、カナダ北部の先住民であるイヌイットは、クランベリーの葉をタバコとして使っていたとのことです。

クランベリーの利用方法として一般的だったのは、ぺミカンと呼ばれる保存食への加工。ぺミカンとはすり潰した鹿の干し肉、クランベリー、動物性脂肪を混ぜ合わせたもので、旅人や商人の栄養補給食品として使われていました。栄養価が高く保存もきくことから、18~19世紀にかけては船旅の必需品ともなっていたそうです。

そんなクランベリーの栽培が本格的になったのは19世紀に入ってから。20世紀に入るとクランベリーの持つさまざまな特性が明らかになり、医療目的や民間療法としても用いられるようになりました。

クランベリーの成分に関する研究情報

【1】153名の高齢女性にクランベリージュース300mlを1ヶ月間飲んでもらったところ、放尿頻度が減り、尿路感染症の発症率の低下が認められました。
https://www4.dhc.co.jp/supplejiten/html/26.html

【2】腎臓小児科を受診する女児84名にクランベリー濃縮ジュースを1日50ml、または乳酸菌飲料100mlを飲んでもらったところ、クランベリージュースを摂取したグループでは尿路感染症の再発減少が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19921981/

参照・引用サイトおよび文献

※1「クランベリーは体にいいことだらけ? 4つのうれしい栄養効果とおいしい食べ方│マイナビ農業」
(URL:https://agri.mynavi.jp/2020_06_07_120865/

※2「クランベリーを見直しましょう│株式会社光洋商会」
(URL:https://www.koyojapan.jp/pdf/TOPIX_163.pdf

※3「おじさん、おばさんの味方~クランベリー~│クラウターハウス」
(URL:https://www.krauter-haus.jp/cranbery/

※4「クランベリーは“元祖スーパーフード”│ナショナルジオグラフィック」
(URL:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8585/

※5【PDF】「クランベリー・Cranberry│一般社団法人沖縄県薬剤師会」
(URL:http://www.okiyaku.or.jp/vsup/pdf/cranberry.pdf)

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