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アスパラギン酸

アスパラギン酸アイコン

成分
10秒解説

アスパラギン酸は、その名のとおりアスパラガスに多く含まれるアミノ酸です。体内で作られるため、非必須アミノ酸のひとつとされています。アスパラギン酸はエネルギー産生に関与するクエン酸回路に関わっており、疲労の軽減などへの効果が期待されている成分でもあります。

こんなお悩み・健康効果に

  • 疲労回復効果
  • 利尿作用によるデトックス効果
  • 体調を整える効果
  • 美肌効果

アスパラギン酸とは

窒素代謝やエネルギー代謝に関与し疲労回復に役立つ

アスパラギン酸はアスパラガスに多く含まれているアミノ酸です。生体内ではオキサロ酢酸とグルタミンから生成されため、非必須アミノ酸に分類されます。同じく非必須アミノ酸である「アスパラギン」は、体内でアスパラギンシンテターゼによってアスパラギンから合成されるアミノ酸です。[※1]

窒素代謝やエネルギー代謝に関与するアスパラギン酸は、疲労回復効果が期待できる成分であるといわれています。

L-アスパラギン酸とD-アスパラギン酸

アスパラギン酸には、L型とD型があり、一般的にアスパラギン酸といわれているものはL型の「L-アスパラギン酸」です。

L-アスパラギン酸は栄養ドリンクの成分としても知られているほか、医薬品の成分としても認められています。この場合、L-アスパラギン酸は「L-アスパラギン酸カリウム」「L-アスパラギン酸マグネシウム」の形で製品に利用されます。

さらに、食品添加物として指定されているのが「L-アスパラギン酸ナトリウム」です。L-アスパラギン酸ナトリウムは、L-グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどと同様、うま味調味料として利用されています。[※2][※3]

一方、D-アスパラギン酸をはじめとするD型のアミノ酸の研究はあまり盛んではありませんでした。しかし、近年その研究が進められるなかで、生体内での機能などが明らかになりつつあります[※4]。D-アスパラギン酸はコラーゲンの生成を促進し、肌のハリや弾力を保つ効果があることが見いだされています。[※5]

期待される効果・作用

疲労回復効果

エネルギー産生に関わるクエン酸回路の一端を担う成分であるため、疲労の回復に役立つと考えられているアスパラギン酸。このことから、アスパラギン酸は栄養ドリンクの成分としても利用されています。

利尿作用によるデトックス効果

アスパラギン酸には利尿作用、つまり体内に溜まる老廃物や毒素を排出させる作用があります。[※6]

体調を整える効果

アスパラギン酸には、カリウムやマグネシウムを全身の細胞に運ぶ作用があります。

カリウムやマグネシウムなどのミネラル類は体に不可欠な栄養素で、おもに体の調子を整える働きを担っています。そのため、アスパラギン酸も体調を整えることに役立っていると考えられます。

美肌効果

アスパラギン酸には皮膚細胞の代謝を促進する、つまり新陳代謝を高める作用があるといわれています。

また、D-アスパラギン酸には生体内でコラーゲンの生成を促進する作用があることが報告されていることから、肌の美しさを保つための役割を担う成分であると考えられます。[※5]

こんな方におすすめ

疲労回復に効果が期待される成分として、栄養ドリンクの成分として知られているL-アスパラギン酸。そのため、日頃から疲れやストレスを感じている方などに摂取をおすすめしたい成分です。スポーツやトレーニング習慣のある方も意識して摂取してみると良いかもしれません。

L-アスパラギン酸は経口摂取のほか、保湿や肌荒れ防止の目的から化粧品などにも利用されています。肌の調子が気になるという方は、コラーゲンの生成を促進するD-アスパラギン酸と併せて取り入れてみると良いでしょう。

厚生労働省による食事摂取基準では、アスパラギン酸をはじめとしたアミノ酸の1日あたりの摂取目安量・上限量などは設定されていません。また、食品添加物としての利用においても同様です。

アスパラギン酸が欠乏したり過剰摂取したりすることによる健康被害の報告もありません。日常生活において、過度な食事制限や不規則な食生活を送らない限りは十分に摂取できることが予想されます。日頃から栄養バランスの整った食事を心掛けることで、アスパラギン酸を適切に摂取できるといえるでしょう。

考えられるリスク・
副作用

現時点では副作用の報告などはありません。アスパラギン酸はアミノ酸であるため、通常の食事から摂取する分にはほとんどの方にとって安全であると考えられます[※7]。

しかし、サプリメントなどから摂取する場合においては、十分な安全性を保障するデータがないというのが現状です。サプリメントからアスパラギン酸を摂取しようとする場合には、製品に記載されている摂取目安量などを守って利用しましょう。

アスパラギン酸を含む食べ物

アスパラギン酸は大豆や大豆製品、肉類、魚類などに多く含まれています。[※8]

野菜類にもアスパラギン酸は含まれていますが、上記の食品群ほど多くはなく、アスアスパラガスも例外ではありません。

  • きな粉(黄大豆)        4,700mg/100g
  • 油揚げ(生)          3,100mg/100g
  • かずのこ(生)         3,000mg/100g
  • 湯葉(生)           2,900mg/100g
  • あずき(乾)          2,400mg/100g
  • めばちまぐろ(生)       2,400mg/100g
  • かつお(春獲り・秋獲り/生)  2,200mg/100g
  • まだい(天然/生)       2,200mg/100g
  • 鶏ささみ肉(生)        2,200mg/100g
  • 豚ロース(赤肉/生)      2,200mg/100g
  • 鶏むね肉(皮なし/生)     2,100mg/100g
  • 牛リブロース(赤肉/生)    2,000mg/100g
  • 大豆(水煮缶詰)        1,700mg/100g
  • 枝豆(生)           1,500mg/100g
  • そら豆(未熟豆/生)      1,100mg/100g
  • アスパラガス(若茎/生)     430mg/100g

発見・研究の歴史

アミノ酸の発見はアスパラギンから始まります。1806年、フランスの化学者らがアスパラガスの芽からアスパラギンを発見しました。その後、アスパラギンの加水分解物質として発見されたのがアスパラギン酸です。

2種類のアスパラギン酸のうち、L-アスパラギン酸が食品や医薬品に利用されている一方で、D-アスパラギン酸の研究は後れを取っていました。しかし、近年D-アスパラギン酸の生体の機能に関する研究が行われるようになり、肌に対する効果などが注目されつつあります。

アスパラギン酸に関する研究情報

【1】30mmol/日のアスパラギン酸カリウムの比較的低量の補給は、軽度から中等度の本態性高血圧の被験者の診察室および24時間外来血圧を低下させました。降圧効果は1日中持続し、基礎尿中Na/K比が高い患者でより大きな変化が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15740932/

【2】アスパラギン酸およびアスパラギン、カルニチンの食事への補充は、筋のFFA利用能とグリコーゲン予備量を増加させることが示唆されました。この結果は、アスパラギン酸およびアスパラギンが中等度の運動を長時間行った際の疲労を感じるまでの時間に、重要な関連性を持つ可能性があることを示唆しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7716217/

【3】ラットに激しい運動をさせる際、アスパラギン酸およびアスパラギンを補給したところ、長時間の運動が可能になったこと、血中の乳酸濃度が低くなったことが分かりました。また、筋肉のグリコーゲンの分解速度も低下しました。このことから、アスパラギン酸およびアスパラギンはエネルギー産生を活性化させ、疲労感を遅らせる可能性があることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12660406/

【4】グリコーゲン濃度が高いラット(摂食状態)にアスパラギン酸およびアスパラギンを補給すると、筋肉中のグリコーゲン濃度がさらに上昇し、インスリン濃度が最大になったときの筋肉によるグルコースの取り込みが減少することが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19821260/

参照・引用サイトおよび文献

※1 【PDF】内閣府 食品安全委員会「アスパラギン」
(URL:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000024137.pdf

※2 東京都福祉保健局 食品衛生の窓 「用途別 主な食品添加物」
(URL:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/chomiryo.html

※3 日本うま味調味料協会「うま味調味料ってなんだろう?」
(URL:https://www.umamikyo.gr.jp/spice/

※4 【PDF】公益社団法人日本生物工学会「食品機能成分としてのD-アミノ酸の可能性」
(URL:https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9003/9003_biomedia_4.pdf

※5 【PDF】資生堂 ニュースリリース D-アスパラギン酸にコラーゲン線維束形成を促進する効果を発見
(URL:https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000001184/1184_b4z16_jp.pdf

※6 非必須アミノ酸 | 日本理化学薬品株式会社
(URL:https://www.nipponrika.co.jp/amino/detail02/

※7 アスパラギン酸|健康食品・サプリ[成分]のすべて(第6判) ナチュラルメディシン・データベース

※8 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
(URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

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