Skip to main content

ザクロ

成分
10秒解説

ザクロは、インドやイランといった中近東を原産地とする果物。現在では中近東を中心に、ヨーロッパやアメリカなどでも栽培されています。豊富なビタミン、ミネラルを含んでおり、美容や健康効果が高いことから、1999~2000年にかけて大ブームを巻き起こしたことがあります。

こんなお悩み・健康効果に

  • 肌荒れ予防・解消
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 高血圧予防
  • 免疫力向上
  • 美肌
  • エイジングケア
  • 女性ホルモンの分泌促進

ザクロの成分とは

女性ホルモンに似た作用を持つエストロンを含み、
「女性の果実」と呼ばれることも。

ザクロはミソハギ科ザクロ属のフルーツで、その原産地はインドやイランをはじめとする中近東。

美容にうれしいビタミン、ミネラル、ポリフェノールを豊富に含むことから「女性の果実」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。国内でザクロはほとんど栽培されておらず、流通しているもののほとんどはカリフォルニアやイランからの輸入品となっています。

ザクロは、カリウム、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、タンニン、アントシアニン、エラグ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸など、非常に豊富な栄養を含んでいるのが特徴。また、女性ホルモンに似た作用を持つとされるエストロン(エストロゲンの一種)を含んでいるのが大きな特徴です。

ザクロが出回るのは9~11月ごろで、日本で多く見られるのはワンダフル種。大ぶりのサイズで、甘酸っぱい味わいが特徴です。ザクロを購入する場合は、皮が赤く色づいており、傷がついていないものを選ぶのがベター。持った時に重さを感じるものは、しっかり熟している証拠です。ザクロはそのまま常温保存できますが、完熟したら冷蔵保管すると保存が効きます。

期待される効果・作用

美肌・美白効果

美しく透明感のある肌は、多くの女性のあこがれ。シミやしわのない肌を目指したいと思う女性は多いですが、それを妨げるのがメラニン色素です。紫外線にあたると表皮にあるメラノサイト(色素細胞)の働きが活発になり、皮膚を守るためのメラニン色素が生成されます。このメラニン色素は皮膚のターンオーバーと共に排出されますが、ターンオーバーのリズムが乱れるとそのまま残ってしまい、シミの原因となります。

シミのない肌を目指すにはメラニン色素の生成を抑えることが重要ですが、その働きを担ってくれるのが、ザクロに含まれるエラグ酸です。メラニン色素はチロシンというアミノ酸の一種から作られますが、エラグ酸はチロシンの原料となるチロシナーゼの活性を阻害。その結果メラニン色素の生成が抑制され、美肌や美白効果が期待できるようになります。

高血圧予防

ザクロの果汁を摂取することで、収縮期血圧が下がるという研究レポートがあります。収縮期血圧とはいわゆる「上の血圧」で、心臓から血液が送り出される際に血管にかかる圧力のこと。血圧が高い状態が続くと血管がダメージを受けてもろくなり、動脈硬化が進行しやすくなります。[※1]

血圧の上昇を防ぐには体内のナトリウムを排出することが重要ですが、その働きを担うのがザクロに多く含まれるカリウム。ザクロには100g中250mgのカリウムが含まれているため、ナトリウムの排出が促進され、高血圧の予防・改善に効果を発揮してくれます。

老化防止効果

ザクロには、デルフィニジンやシアニジンといったアントシアニン類のポリフェノールと、エラグ酸・プニカラギンといったタンニン類のポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは強い抗酸化作用を持つ物質で、体を老化させる活性酸素を減らす働きがあるため、ザクロには老化予防効果が期待できると考えられます。

免疫力の向上

ザクロにはさまざまなビタミンが含まれていますが、その中のひとつであるビタミンCは免疫力アップに欠かせない栄養素です。血液中の白血球やリンパ球にはビタミンCが多量に含まれており、体内に入ってきたウイルス、細菌といった外敵を排除する働きがあります。ビタミンCが不足すると白血球やリンパ球の働きが弱くなるため、ザクロに含まれるビタミンCを摂取することは、免疫力の向上につながると考えられます。

女性ホルモンのバランスを整える

ステロイドホルモンの一種であり、一般的には8歳頃から卵巣で分泌されるエストロゲン。女性らしいからだ作りを助けるエストロゲンは、エストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類からなります。加齢と共に女性ホルモンの分泌量は減っていきますが、ザクロの種子に含まれるエストロンは、低下する女性ホルモンの働きを補ってくれると言われています。具体的には、ホルモンバランスの乱れを改善したり、更年期障害の症状を緩和したり、コラーゲンの生成を促してハリのある肌をつくるといった効果が期待できます。

こんな方におすすめ

ザクロは非常に栄養豊富なフルーツです。とくに美容効果の高い成分が多いため、シミ、しわ、肌荒れなどのトラブルを抱えている人におすすめです。また、メラニン色素の生成を抑えるエラグ酸が多く含まれていることから、屋外で紫外線にさらされることが多い人や、ホワイトニング効果で美白を目指したい人などにもおすすめ。

他にも、ザクロには体内の余分なナトリウムを排出してくれるカリウムが豊富。血液中のナトリウム濃度が高いとむくみや高血圧の原因となるため、手足のむくみを解消したい人や血圧が気になる人にも適しています。また、女性ホルモンが乱れやすい更年期の女性や、いつまでも若々しくいたいという人にも良いでしょう。

ザクロの摂取量に上限は設けられていません。水溶性ビタミンや水溶性ポリフェノールの含有量が多いため、大量に摂取しても余剰分は体内に吸収されることなく体外へ排出されてしまいます。ザクロの成分を効率よく摂取したいのであれば何回かに分けて食べるようにすると良いでしょう。
ちなみに生のザクロ100gあたりのカロリーは56kcalと比較的低いため安心して摂取できますが、ザクロジュースなどの加工品には糖類が添加されていることが多いため、摂取量には注意が必要です。

考えられるリスク・
副作用

ザクロの種子や果皮に含まれる成分に対し、アレルギー反応を起こすことがあります。そのため植物アレルギーや果物アレルギーを持つ人は摂取を控えるか、医療機関でアレルギー検査を受けてからにする必要があります。
またザクロの根と樹皮には外敵から身を守るためのアルカロイドという物質が含まれています。実の部分を食べるぶんには問題ありませんが、アルカロイドを大量に摂取すると下痢・嘔吐といった症状を引き起こすことがあるため、実以外の部分には注意が必要です。

ザクロの成分を上手に摂取するには

生のザクロはしっかりと実が熟してから食べるのがおすすめ。熟したザクロは鮮やかな赤色にいろづいており、重みがあるのが特徴。先端をナイフで切り落としてから十字に切り込みを入れて果皮を割り、皮などを取り除いてから実の部分を食べます。ザクロだけでなく、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンといった抗酸化物質と一緒に摂ると抗酸化作用が高まると考えられます。

生のザクロが手に入りにくい場合は、ジュースや果実酒などを利用すると良いでしょう。ただしこれらの加工品には糖類が多く含まれていることがあるため、過剰な摂取には注意が必要です。ジュースの場合は果汁100%の製品を選ぶようにすると摂取カロリーや糖質を抑えることができるでしょう。

発見・研究の歴史

古代ギリシャの時代から食用とされてきたザクロ。多くの種子を持つことから「子宝」「子孫繁栄」のシンボルとして、観賞用としても用いられていました。また美容にもよいため、「女性の果実」とも呼ばれて大切にされていました。日本にザクロが入ってきたのは平安時代のころ。「石榴」の呼び名で中国を経て伝わりましたが、その当時は食用ではなく観賞用だったようです。

日本でザクロが注目されたのは、1999~2000年にかけて。マスコミや雑誌などに「ザクロに女性ホルモン(エストロゲン)が含まれている」と取り上げられたことでブームとなりました。しかしその後の研究では、ザクロに女性ホルモンは含まれていないことが発表されました。
しかしさらにその後の研究で、「植物エストロゲン」という女性ホルモン様作用成分エストロンが含まれていることが分かり、再注目されました。

ザクロの成分に関する研究情報

【1】13名の20~40代女性の右腕内側にUVを照射後、エラグ酸高容量群・低用量群・含有なしのグループに分けてメラニンなどを測定。その結果エラグ酸摂取群はメラニンや色素沈着が抑制されました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17190110

【2】カゴメ株式会社総合研究所では、9種類の果物の抗酸化作用を比較。ザクロに強い抗酸化作用があることを明らかにし、平成15年度の果汁技術研究発表会で公表しています。
https://www.kagome.co.jp/company/news/2003/000305.html

参照・引用サイトおよび文献

※1「Pomegranate juice consumption inhibits serum angiotensin converting enzyme activity and reduces systolic blood pressure./PMID:11500191|National Center for Biotechnology Information」
(URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11500191/)

※2「女性ホルモンを整えて、さらに美しく艶やかに。たるみに効く!“美肌ホルモン”を増やす方法│株式会社ドクターシーラボ」
(URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000168.000002961.html

※3「スーパーフード「ザクロ」の基礎知識、栄養成分、むくみ解消やアンチエイジングなどの健康効果、レシピなど」
(URL:https://precious.jp/articles/-/4420

※4「果実類/ざくろ/生│食品成分データベース 文部科学省」
(URL:https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=15944

ページの先頭へ