プラセンタ

こんなお悩み・健康効果に
- 更年期障害の症状緩和
- 乳汁の分泌促進
- 肝機能障害の改善
- 美肌(美白)効果
- 疲労回復
- アンチエイジング効果
- 抗アレルギー作用
- 創傷治癒促進
プラセンタとは
プラセンタとは、母体と胎児をつなぐ胎盤のことです。胎児の成長に欠かせない胎盤から抽出されたエキスには、アミノ酸やビタミン類、核酸、ペプチドなどの栄養素が豊富に含まれています。その中でも、特に注目されているのが「成長因子」。成長因子とは細胞分裂を促す作用などを持つ成分で、肌細胞の再生や修復に関与しているものもあります。
成長因子は体内で作られますが、加齢に伴い減少するといわれています。そのため、成長因子を含むプラセンタの成分を取り入れることで、アンチエイジングなどの効果が期待できると言われているのです。
プラセンタはアンチエイジングや美肌効果など、多くの美容効果が期待されているほか、更年期障害や乳汁分泌不全、肝機能障害の治療においては保険適応となる注射薬に使われています。現在は2種類の注射薬が認可されており、これらの薬剤にはヒト由来のプラセンタが使用されています。しかし、それ以外の内服薬やサプリメント、化粧品などに使われているプラセンタはブタやウマ由来のプラセンタです。
プラセンタは動物性の他に、植物由来の「植物性プラセンタ」や魚卵由来の「海洋性プラセンタ」があります。植物性プラセンタや海洋性プラセンタにはアミノ酸やビタミン・ミネラル、コラーゲン、ヒアルロン酸などを含みますが、成長因子は含まれていません。
動物性、植物性、海洋性プラセンタは医薬品、化粧品、美容ドリンクやサプリメントなど幅広く活用されています。
期待される効果・作用
更年期障害の症状緩和
プラセンタは、注射薬として更年期障害の治療に用いられています[※1]。更年期障害の治療といえば、よく知られているのがホルモン補充療法や漢方薬[※2]。
プラセンタによる治療では、プラセンタに含まれるさまざまなアミノ酸が効果を発揮することで、更年期障害の症状緩和効果が得られると考えられています。
乳汁の分泌促進
プラセンタには、乳汁の分泌を促す作用が認められています[※1]。そのため、母乳が出にくくなる「乳汁分泌不全」にも、更年期障害の治療同様プラセンタ注射が用いられます。
肝機能障害の改善
肝機能障害の治療にもプラセンタ注射薬の使用が認められています[※3]。B型肝炎やC型肝炎のほか、アルコール性肝炎など、さまざまな原因による肝機能の低下を、肝細胞を増殖させ組織を修復することで改善します。
美肌(美白)効果
プラセンタに含まれる成長因子には、肌の再生力や保湿力を高めたり、シミの原因となるメラニンの生成を阻害したりする働きがあります。[※4][※5]
疲労回復
プラセンタには糖質・脂質・たんぱく質(アミノ酸)の他、ビタミンやミネラルなど主要な栄養素が含まれています。これはスムーズなエネルギー産生につながり、疲労回復などが期待できると考えられます。[※5]
アンチエイジング効果
プラセンタに含まれるSA(スーパーアクティブ)アミノ酸には、体内のSOD酵素と同等の抗酸化作用があります。そのため、シミやシワなど肌の老化を防止する効果が期待される他、体全体のアンチエイジングに役立つ可能性があります。[※5]
抗アレルギー作用
プラセンタには抗アレルギー作用があります。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性の皮膚疾患などへの効果も期待されています。[※5]
創傷治癒促進
プラセンタに含まれる成長因子には、傷の修復と細胞の増殖を促し組織を再生する作用が期待されています。[※6]
こんな方におすすめ
更年期障害や乳汁分泌不全、肝機能障害に悩む方の治療はもちろん、加齢による肌や体の調子が気になるという方にはプラセンタがおすすめです。
プラセンタ注射を用いた治療は医療機関で行えますが、病名により保険適応となるものと保険適応外のものがあります。
また、もっと手軽にプラセンタを利用したいならサプリメントなどを利用する方法も。プラセンタを使った製品は、さまざまなものが販売されています。効率よくプラセンタの効果を得るためには、品質やプラセンタの配合量などを見極めることが大切です。
摂取目安量・上限目安量
サプリメントなどからプラセンタを摂取する場合、1日当たりの摂取目安量は「プラセンタエキス純末として100mg以上」とされています。[※7]
考えられるリスク・
副作用
プラセンタは、副作用の心配がない成分であるといわれており、重篤な副作用の報告も今のところありません。しかし動物由来の成分であるという点から、アレルギーのある方は注意して使用する必要があるでしょう。[※8]
また、プラセンタにはアミノ酸をはじめとした多くの栄養成分が含まれています。そのため、他のサプリメントなどとの組み合わせによっては特定の成分が過剰摂取となる可能性もあるため注意しましょう。
プラセンタ注射を使用したことのある方は、厚生労働省により献血が制限されています。これは、vCJD(変異型クロイツフェルトヤコブ病)の感染リスクが否定できないためであるとされています。現時点ではプラセンタ注射によるvCJDの感染は報告されていませんが、輸血や臓器移植と同様ヒト由来の臓器から製造されているため、このような措置が取られているようです。[※9]
なおこの措置はプラセンタ注射のみで、サプリメントやドリンク、内服薬、化粧品での摂取は該当しません。
プラセンタに含まれる成分
プラセンタには、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸やたんぱく質、脂質(脂肪酸)、ビタミン、ミネラル、核酸、酵素など多くの成分が含まれています。[※10]
また、動物性プラセンタに含まれる、細胞の増殖や分化に関与する成長因子やサイトカインには以下のようなものがあります。- HGF(肝細胞増殖因子)
- EGF(上皮細胞増殖因子)
- NGF(神経細胞成長因子)
- IGF(インシュリン様成長因子)
- IL-1、IL-2、IL-3、IL-4など
発見・研究の歴史
プラセンタの歴史は古く、紀元前から医薬品として利用されていたといわれています。古代エジプトのクレオパトラが若さを保つために愛用していたと伝えられるほか、秦統一後の中国では不老長寿のために用いられ、以降「紫河車」という名の漢方薬として広く活用されていたようです。
プラセンタの研究は、組織の再生や代謝促進作用などに着目したロシアから始まり、その後ヨーロッパや日本でも本格的な研究が進められるようになりました。
現在では医薬品だけでなく、健康食品や化粧品など幅広い用途で利用されているプラセンタ。その多彩な効果がさまざまな分野で注目されています。[※11]
プラセンタに関する研究情報
【1】ヒト線維芽細胞を0.32および0.64%の濃度のプラセンタと、1.0および10mMの濃度のL-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウムで処理したところ、有意な増加が確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18528587/
【2】アレルギー性接触皮膚炎マウスにプラセンタを投与したところ、重症化を有意に抑制しました。これは末梢血中T細胞の過剰増殖の抑制や組織浸潤リンパ球の減少、Th2型サイトカインの産生に関連していると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20619383/
【3】有害物質ベンゾピレンに暴露したラットは酸化ストレスが増加しましたが、プラセンタエキスを前投与するとベンゾピレンによって誘導される酸化ストレスが減少しました。さらにTNF-α、IL-1β、IL-6 などの炎症性サイトカインレベルが有意に低下しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20708262/
【4】ブタプラセンタ抽出エキス 300mg/kg の摂取により、睡眠の深さや満足度の改善など睡眠の質が高まる可能性が示唆されました。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2020.550287/full
参照・引用サイトおよび文献
※1 医療用医薬品 メルスモン | メルスモン製薬株式会社
(URL:https://melsmon.co.jp/medicine/01melsmon.html)
※2 更年期障害|公益社団法人 日本産科婦人科学会
(URL:https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14)
※3 ラエンネック | 株式会社日本生物製剤
(URL:http://jbp.placenta.co.jp/medical_products/79/)
※4 「プラセンタ」とは? お肌の透明感を取り戻す強い味方| 大正製薬
(URL:https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_448.html)
※5 スーパープラセンタ|一般社団法人 総合再生医療研究会
(URL:http://togou-saisei.com/placenta.html)
※6 【PDF】プラセンタ療法と統合医療-プラセンタ療法実践 15 年と今後の展望-|一般財団法人 日本胎盤臨床医学会
(URL:http://jplaa.jp/pdf/tougou.pdf)
※7 【PDF】プラセンタ食品品質規格基準 概要|公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
(URL:https://www.jhnfa.org/topic160-1.pdf)
※8 副作用はあるの? | プラセンタとは|株式会社UTP
(URL:https://utp.co.jp/placenta/sideeffects/)
※9 ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用者の献血制限について|厚生労働省
(URL:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/08/h0824-3.html)
※10 プラセンタの主な成分 | プラセンタとは|株式会社UTP
(URL:https://utp.co.jp/placenta/healthy/)
※11 プラセンタエキスのおはなし|スノーデン株式会社
(URL:https://www.snowden.co.jp/placenta/)
成分
10秒解説
プラセンタとは、子宮の中の胎児の生命維持と成長に不可欠な臓器である胎盤のことです。へその緒を通して胎児に栄養や酸素を供給する胎盤は、医療や医薬品分野ではプラセンタと呼ばれ、美肌や若返りの効果が期待されています。