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ビフィズス菌

成分
10秒解説

ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・ビフィダム)は乳酸菌の一種で、腸内でもっとも多く見られる善玉菌。体に害をなす菌の繁殖を抑制し、腸内環境を整えるといった働きを持ちます。もともと人の体内にある菌ですが、加齢やストレスと共にその量は減少。食品などから積極的に摂取する必要があります。

こんなお悩み・健康効果に

  • 便秘予防
  • 下痢予防
  • アレルギー症状緩和
  • 肌荒れ予防・解消
  • コレステロール値を下げる
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • 整腸
  • 免疫力向上
  • 花粉症対策
  • 肥満予防
  • メンタルヘルスの維持
  • 血流改善・血行促進
  • 美肌
  • 生活習慣病予防
  • 血管性トラブル予防

ビフィズス菌とは

ヒトの体の腸内環境を整える力を持つ細菌ですが、
加齢とともに減少していってしまいます。

ビフィズス菌とはBifidobacteriales目Bifidobacterium属に属する細菌の総称です。ビフィズス菌とひとくくりに言っても、その種類は非常に多く、約30種類存在するとされています。ちなみにヒトと動物では生息しているビフィズス菌の種類が異なり、ヒトの腸内に生息する乳酸菌は動物の中には見られず、逆に動物に生息する乳酸菌はヒトの腸内では見られないとされています。

生まれたばかりの新生児の腸内にはまったく菌が生息していませんが、生後3~1週間後くらい経つと腸内細菌の95%がビフィズス菌に占められます。しかし、離乳食がスタートするとビフィズス菌の割合は少しずつ減っていくのが特徴。成年期に安定はしますが加齢と共にさらにその量は減り、大腸菌であるウェルシュ菌をはじめとする悪玉菌が増加。アンモニアなどの腐敗産物が増えることで腸内環境が悪化し、便秘・下痢などのトラブルに見舞われやすくなると言われています。

ヒトの体において、腸内環境を整える力が強いとされているビフィズス菌。加齢と共に減少していく分を外部から補給することで、腸内環境を整え続けることができるとされています。現在では特定保健用食品(トクホ)の認定も受けており、ヨーグルト・乳酸飲料・サプリメントといった製品に広く活用されています。

期待される効果・作用

便秘・下痢といった腸内トラブルの改善

ヒトの腸内に生息しているビフィズス菌は、いわゆる善玉菌の一種。体にとってさまざまな良い働きを持っていますが、その中のひとつが腸内環境の改善作用(整腸作用)です。
ビフィズス菌をはじめとする善玉菌が減ると、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増殖。悪玉菌が生成するアンモニアやインドールといった腸内腐敗物が増え、便秘や下痢といった腸内トラブルが起きやすくなります。しかし、ビフィズス菌には強い殺菌力があるため、摂取することで悪玉菌の増殖を抑制。腸内フローラのバランスを正常化し、腸内トラブルを改善する効果があると言われています。

悪玉菌の増殖を抑制する

一般的な乳酸菌は、糖を分解して乳酸に代謝するという働きを持ちます。しかし、ビフィズス菌は乳酸に加えて酢酸を代謝するという性質を持っています。この酢酸は非常に強力な殺菌力を有しており、これが悪玉菌の増殖を抑制。善玉菌を増やして、腸内環境を整えるとされています。
酢酸については食用酢などにも含まれていますが、お酢は消化のプロセスで体内に吸収されてしまい、大腸まで到達しません。そのため、大腸でしっかりと働くビフィズス菌を摂る必要があるのです。

免疫力の向上

ビフィズス菌による腸内環境の改善は、全身の免疫力向上にも役立ちます。
悪玉菌が腸内で生成した腸内腐敗物は腸壁から吸収され、血液を介して全身を循環します。これが積み重なると免疫力がダウンし、生活習慣病をはじめとするさまざまな疾病が引き起こされるとされています。しかし、腸内にビフィズス菌が多ければ悪玉菌の増殖を抑えることができるため、免疫力の低下を防ぐことができるのです。

美肌効果

ビフィズス菌は、ビタミンKを合成するという働きを持っています。ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種で、血液凝固に深く関与している成分。血管の健康維持にも役立っており、血流を促進するという効果も持っています。血流が良くなるとお肌に必要な栄養素がしっかりと届くようになり、美肌効果がアップ。イキイキとしたハリのある肌づくりに役立つとされています。

コレステロール値の低下作用

ビフィズス菌には、血液中のコレステロール値を下げる働きがあるとされています。血液中にコレステロールや中性脂肪が多くなると血管が弾力性を失い、脳梗塞・心筋梗塞などを引き起こす動脈硬化のリスクが増加すると言われています。ビフィズス菌にはコレステロール値を下げる効果があるため、動脈硬化や生活習慣病の予防効果が期待できます。
100gのビフィズス菌BB536が入ったヨーグルトを成人男性・成人女性43人に1日2個摂取してもらったところ、摂取する前に比べて総コレステロール値が顕著に下がったという研究データもあります。[※8]

アレルギー症状を緩和する効果

体内の免疫機能のバランスが崩れ、花粉などのアレルゲンに過剰反応することで起こるアレルギー症状。実は、アレルギー体質の人の腸内ではビフィズス菌をはじめとする善玉菌の減少が見られることが分かっています。
花粉症患者にビフィズス菌を摂取してもらったところ、花粉症の自覚症状が緩和されたという研究データ[※9]もあるため、ビフィズス菌はアレルギー症状の緩和に一定の効果を持つとされているのです。

こんな方におすすめ

腸内環境を整える効果が高いビフィズス菌は、便秘・下痢といった腸内トラブルを抱えている人におすすめです。しかし、ビフィズス菌は1度摂取すればそのまま腸内に留まり続けるわけではありません。そのため継続的な摂取が必要です。

また、腸内環境が改善されると体内の免疫力がアップするため、「風邪を予防したい」「丈夫な体になりたい」という人にもピッタリ。アレルギー症状の抑制効果も期待できるため、季節性の花粉症などで悩んでいる人もビフィズス菌を積極的に取り入れると良いでしょう。美肌効果も高いので肌荒れに悩んでいる人、健康診断でコレステロール値が高いと指摘された人にもおすすめです。

ビフィズス菌は栄養素ではないため、摂取目安量や上限目安量についてはとくに定められていません。
さまざまな健康効果の恩恵を受けるためには、大量に摂取するのではなく、毎日コツコツと継続して摂取することが大切です。ビフィズス菌はヨーグルトなどに多く含まれていますが、食事のあとに摂取すると胃酸の影響が少なくなり、腸まで到達しやすくなると言われています。ただしビフィズス菌は熱に弱いという性質があるため、70℃以上での加熱は避けた方が良いでしょう。

考えられるリスク・
副作用

ビフィズス菌はそもそも人体にもともと存在する菌なので、リスク・副作用といったものはほとんどありません。
腸内にずっと留まることはないため、大量に摂取したとしても2~3日で体外へ排出されてしまいます。
問題として考えられるのは、ビフィズス菌を含む食品の摂りすぎ。ビフィズス菌を摂取しようとヨーグルトや乳酸飲料を大量に取り入れると、脂質や糖質の摂りすぎにつながってしまいます。それぞれの食品に定められた摂取量を守るようにしましょう。

ビフィズス菌を含む
食べ物

ビフィズス菌を含む食品として挙げられるのは、発酵食品です。納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルト、漬け物といった食品には、ビフィズス菌をはじめとする乳酸菌が豊富に含まれています。
こういった食品を毎日の食卓に積極的に取り入れることは、腸内のビフィズス菌を増やすことにつながります。

また、腸内のビフィズス菌を増やすためには、オリゴ糖を含む食材を取ることも重要。なぜなら、ビフィズス菌はオリゴ糖をエサにして増殖を繰り返すからです。
オリゴ糖は豆類、タマネギ、とうもろこし、アスパラガス、ごぼう、ブロッコリー、カリフラワー、アボカド、にんにく、バナナといった食品に多く含まれているため、積極的な摂取をおすすめします。

また、食物繊維もビフィズス菌をはじめとする善玉菌のエサとなるため、野菜、キノコ、海藻類、こんにゃくなども取り入れるとベターです。

発見・研究の歴史

ビフィズス菌が最初に発見されたのは、1899年のフランス。パスツール研究所のティシエ(Tissier)博士は、母乳で育っている赤ちゃんの糞便からビフィズス菌を発見しました。
ティシエ博士は母乳を飲んでいる赤ちゃんの腸内では、酸素があるところで発育しない嫌気性乳酸菌が優勢であることをつきとめ、この菌をビフィズス菌(Bacillus bifidus communis)と名付けたのです。
この名前はラテン語で「二又の」という意味を持つ、bifidus(ビフィドゥス)からきています。

この発見から今日まで、ビフィズス菌は小児科領域におけるさまざまな研究の中心として登場。乳児の腸内にビフィズス菌を増やす、ビフィズス因子の研究なども始まっています。

ビフィズス菌に関する研究情報

【1】高齢者にビフィズス菌BB536を長期的に摂取してもらったところ、被験者のインフルエンザ感染者数が減少。便通の回数も通常の状態に近くなり、整腸作用の高さも示唆されました。
https://morinagamilk.co.jp/release/0215_66.html

【2】便秘や肌トラブルに悩む女性にビフィズス菌含有乳酸菌飲料を8週間摂取してもらったところ、排便回数や肌状態の改善効果が見られました。肌の状態に関しては、ツヤ、ハリ、毛穴の目立ちなどの自覚症状が改善されました。
https://www.morinagamilk.co.jp/download/index/4794/120322-2

【3】大腸がんを引き起こす原因のひとつと考えられているETBF菌。このETBF菌を保菌している人にビフィズス菌BB536含有ヨーグルトまたは牛乳を8週間摂取してもらったところ、BB536含有ヨーグルトを摂取した人のみに菌の減少効果が見られました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22138361/

参照・引用サイトおよび文献

※1「ビフィズス菌│厚生労働省 e-ヘルスネット」
(URL:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-029.html

※2「ビフィズス菌の基礎知識│ビフィズス菌研究所」
(URL:https://www.bb536.jp/basic/

※3「良くある質問│公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センター」
(URL:https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_04.shtml

※4「ビフィズス菌Q&A│ビフィズス菌研究所」
(URL:https://www.bb536.jp/qanda/index.html

※5「善玉菌を増やすコツ│大原薬品工業」
(URL:https://www.ohara-ch.co.jp/meitantei/vol03_7.html

※6「人類の乳酸菌との出会い│ダイワ薬品株式会社」
(URL:https://www.daiwa-pharm.com/info/mitsuoka/6168/

※7「便秘下痢対策①ビフィズス菌を増やす│平田肛門科医院」
(URL:https://www.dr-hips.com/column/no-surgery/02/05.html

※8「コレステロール低下作用│森永乳業株式会社」
(URL:https://www.bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk06.html

※9「抗アレルギー作用│森永乳業株式会社」
(URL:https://www.bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk04.html

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