わかめ
こんなお悩み・健康効果に
- コレステロール値を下げる
- 高血圧予防
- 美肌
- 生活習慣病予防
- 肌の保湿力アップ
- ダイエット
- エイジングケア
- 基礎代謝アップ
- がん予防
- 骨粗しょう症予防
- 美髪
わかめの成分とは
健康維持のための嬉しい成分が豊富です。
「海の野菜」とも称されるわかめは、コンブ目チガイソ科ワカメ属の海藻の一種です。
主に北海道に生息している海藻ですが、日本では全国各地で見られると言っていいほど広く生息しています。根、めかぶ、茎、葉といった部位からなっており、味噌汁などで一般的に食べられている部位は葉の部分。茎わかめはコリコリとした食感、粘り気がつよい根元部分のめかぶなど、部位ごとに食感が異なるのが特徴です。
わかめ特有の粘り・ぬめりの正体は、食物繊維の一種であるフコイダンやアルギン酸によるもの。フコイダンは水溶性食物繊維に分類されるもので、コレステロール値、中性脂肪値、血糖値などを下げる効果があるとして注目されています。アルギン酸も水溶性食物繊維で、体内の余分な水分・塩分を排出する働きを持っています。
また、わかめにはミネラルも豊富に含まれています。とくに含有量が多いのがヨウ素(ヨード)で、これは甲状腺ホルモンの原料となる物質。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進したり、成長ホルモンの分泌を促すといった働きがあるため、美肌、アンチエイジングに効果的であるとされています。その他にも抗酸化作用が期待できるβカロテンや、歯や骨に欠かせないカルシウムも含まれています。
期待される効果・作用
高血圧の予防効果
わかめに含まれる食物繊維「アルギン酸(ぬめり成分)」は、体内のカリウムとナトリウムのバランスをコントロールする働きを持っています。食物繊維には水溶性と不溶性があり、アルギン酸は水溶性に分類されるもの。この水溶性食物繊維には、体内の余分な水分、塩分、老廃物といったものを吸着して体外へ排出するという働きがあります。
塩分を摂りすぎると体内のカリウムとナトリウムのバランスが崩れ、むくみや血圧上昇といった状態につながりますが、アルギン酸によって余分なナトリウムが排出されれば、血圧の上昇を抑えることができます。
コレステロールの減少効果
水溶性食物繊維であるアルギン酸には、体内の余分なものを外へ排出するという働きがあります。アルギン酸はナトリウムの排出を促して高血圧を予防する効果があるとされていますが、余分なコレステロールも一緒に排出するという作用を持っています。体内のコレステロールバランスを整えることは、生活習慣病を引き起こす動脈硬化の予防につながるとされています。
基礎代謝の向上
わかめはミネラル豊富な食材ですが、その中でも多く含まれているのがヨウ素です。ヨウ素は甲状腺ホルモン(トリヨード、チロニン、チロキシン)の主原料となるもので、このホルモンは体の新陳代謝に欠かせないもの。甲状腺ホルモンが正常に働くと交感神経が刺激され、脂質、糖質、タンパク質の代謝がアップ。つまり基礎代謝が向上します。新陳代謝が活発になると肌や髪の毛に良い影響があるほか、ダイエットや肥満予防への効果も期待できるようになります。
がんの予防効果
わかめの食物繊維のひとつに、フコイダンがあります。これは水溶性食物繊維のひとつでアルギン酸と共に血圧やコレステロール値を抑えてくれますが、今注目されている働きはがんの予防効果です。フコイダンにはがん細胞の細胞死(アポトーシス)を誘導したり、細胞の増殖や転移を抑制する働きがあるとされているのです。フコイダンは腸から吸収されにくく腸内に長く留まるという性質があるため、腸内の免疫機能を活性化しつつ、がん細胞に働きかけているのではないかと考えられています。[※6]
骨粗しょう症の予防効果
わかめに含まれるミネラルの中には、カルシウムもあります。わかめは非常にカルシウム豊富な食材で、生わかめ100g中に100㎎のカルシウムが含まれているのです。カルシウムは丈夫な骨づくりに欠かせないミネラルですが、汗や尿と一緒に体外へ排出されやすいという特徴があります。そのため、意識的に摂取しないと骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折などのトラブルを起こしやすくなるのです。とくに日本人はカルシウムの摂取量が不足する傾向にあるため、積極的な摂取が望まれます。
ダイエット効果
ダイエットには低カロリーな食材が用いられますが、わかめもその中のひとつです。家庭でもよく使われる乾燥のカットわかめの場合、そのカロリーは100gあたり138kcal。小さじ1杯(1g)あたりたったの1kcalなので、カロリーオーバーを気にせずに食べられる食材です。用途も、味噌汁、スープ、海藻サラダ、酢の物、ナムルなどと幅広く、手軽にメニューをボリュームアップができるのが魅力です。
こんな方におすすめ
わかめは独特のぬめりがあるものの、味にはクセが少なく取り入れやすい食材です。とくにぬめり成分であるアルギン酸には、体内の余分なナトリウムやコレステロールを排出する働きがあるため、むくみ、血圧、肥満予防に効果的。とくに生活習慣病が気になるという人に向いている食材です。
また、甲状腺ホルモンを活性化して基礎代謝をアップする効果もあり、低カロリーな食材でもあるため、ダイエットをしたい人にも適しています。
カルシウムが豊富で骨粗しょう症予防にも効果的であることから、とくに骨密度が下がりやすい更年期や、更年期以降の女性にも積極的に摂ってもらいたい食材。乳製品が苦手でカルシウムが摂りにくいという人も、わかめを取り入れてみると良いでしょう。
摂取目安量・上限目安量
わかめ自体に摂取目安量・上限目安量は設けられていませんが、注意したいのはわかめに含まれるヨウ素の摂取量と上限量です。 ヨウ素の摂取目安量は成人男女で1日あたり130μg、上限目安量は3000μgとされています。[※3]
ちなみに乾燥のカットわかめ1g中のヨウ素量は85μgであるため、通常の食事で過剰摂取になることはあまりありません。 万が一過剰摂取になったとしても余分なものは体外へ排出されますが、ダイエット目的などで積極的に摂取する場合は、過剰摂取にならないよう気をつけたほうがよいでしょう。
考えられるリスク・
副作用
わかめそのものの副作用は報告されていませんが、わかめに含まれるヨウ素には欠乏症・過剰症の両方があります。
まずヨウ素を過剰摂取した場合ですが、甲状腺機能低下症・甲状腺腫・甲状腺中毒症が起こることがあります。とくに甲状腺に異常がある人は過剰症になりやすい傾向があるため、摂取量には注意が必要です。欠乏症については、日本人の1日あたりのヨウ素摂取量が1,500μgであることからほとんど心配はいりませんが、不足すると甲状腺肥大や甲状腺腫のリスクが高まります。
甲状腺関連の疾病や放射性ヨウ素治療、手術をしている人は、医師に確認の上、指示に従って摂取する必要があります。
わかめの成分を上手に摂取するには
わかめに含まれるヨウ素やβカロテンは脂溶性であるため、油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。さっぱりと食べるイメージの強いわかめですが、海藻サラダなどではオイル入りのドレッシング、ごま油を使ったナムルなどにすると効率よく栄養素を摂ることができます。
わかめの食物繊維は酢と一緒に食べることで柔らかくなり、分解されやすくなると言われています。そのためわかめを使った酢の物は理にかなったメニューのひとつ。酢はもちろん、有機酸を含む梅・トマトなどと一緒に摂るのもおすすめです。また、食物繊維には血糖値の急上昇を抑える効果があるため、わかめが入ったメニューは食事の最初に食べると良いでしょう。
発見・研究の歴史
日本人にとってなじみの深い食材である「わかめ」。古くから食用として用いられており、青森県亀ヶ岡にある泥炭遺跡では、土器などと共にわかめをはじめとする海藻類も発掘されています。万葉集にも、わかめを含む海藻を詠んだ歌が数多く残っているほど。
しかし、そんなわかめに含まれる成分の研究が進んだのはここ数年のことです。食物繊維のひとつであるフコイダンについては、1913年にスウェーデン・ウプサラ大学のヨハン・ヘラルド・キリン教授が発見。それ以降、世界中の研究者によって研究・調査が進められ、1980年代には健康に優れた働きをする成分として注目されるようになりました。そして近年では、とくに抗がん作用への注目が高まっています。
わかめ成分に関する研究情報
【1】わかめペプチド500㎎を含む食品を摂取するグループとプラセボ摂取グループに分け、8週間にわたり1日1個を摂取。その結果、わかめペプチドを摂取したグループでは摂取期間中の血圧降下作用が認められました。
【2】わかめペプチド50㎎/kgを高血圧自然発症ラットに摂取させたところ、収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧が低下。このことから、わかめによる高血圧予防効果が示唆されました。
成分
10秒解説
わかめはコンブ目チガイソ科ワカメ属の海藻で、食卓でもおなじみの食品。食物繊維とミネラルを多く含み、味噌汁、サラダ、酢の物など用途も幅広くなっています。非常に低カロリーでボリュームアップ効果もあることから、ダイエットや生活習慣病予防にも役立てられています。