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ビタミンB6

ビタミンB6アイコン

成分
10秒解説

ビタミンB6は、ネズミの皮膚炎の予防因子から発見された成分で、食品中のたんぱく質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液などがつくられたりするときに働いている栄養素です。
水溶性のビタミンで、カツオやサバなどの魚介類をはじめ、野菜類、バナナなどの果実、種実類など幅広く食品に含まれています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 皮膚トラブルの予防
  • 美肌
  • 免疫力アップ
  • 感染症予防
  • アレルギー症状の緩和
  • 成長促進
  • 動脈硬化予防
  • 神経機能の維持
  • つわり症状の緩和
  • 月経前症候群の症状緩和

ビタミンB6とは

補酵素としてたんぱく質の分解や合成などアミノ酸の代謝を助ける働きがあります。

ビタミンB6は水溶性ビタミンで、補酵素(酵素の働きを助ける成分)として、多くのアミノ酸の代謝を助けています。 その効能としては、免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの作用があり、脂質の代謝にも関わっています。

ビタミンB6は、リン酸やたんぱく質と結合した状態で生鮮食品の中に存在していますが、調理や消化の過程で分解され、吸収されていきます。

野菜類、穀類、魚介類、種実類などに多く含まれているうえ、腸内細菌によっても合成されるため、一般的には不足しにくい栄養素と言われていますが、水溶性ビタミンであるため、一度にたくさん摂取をしても体内に蓄積されずに排泄されてしまいます。そのため、毎日コンスタントに摂取をする必要がある栄養素です。

期待される効果・作用

皮膚トラブルの予防

ビタミンB6はアミノ酸代謝の補酵素で、アミノ酸で構成されるたんぱく質には欠かせない栄養素です。ビタミンB6を摂取することで必要なところにアミノ酸がいきわたるようになり、皮膚のターンオーバーが促され、肌荒れや湿疹などが起こりにくくなると言われています。

美肌

ビタミンB6がアミノ酸を体内に供給することで、アミノ酸で構成される皮膚のターンオーバーが活発になり、ハリやツヤ、うるおいのある肌を保つことができると言われています。さらに、皮脂をコントロールする働きを持っているので、ニキビやテカリの予防にも効果的です。

感染症予防・免疫力アップ、アレルギー症状の緩和

ビタミンB6は、免疫抗体の生成に関わりがあり、免疫機能を正常に維持するためにかかせない栄養素だと言われています。同様の理由で、アレルギー症状の緩和にも効果があると言われています。

動脈硬化予防

血中のアミノ酸濃度であるホモシステイン濃度を低下させる効果により、動脈硬化の抑制に効果があると考えられています。

成長促進

ビタミンB6は、細胞の新陳代謝を促す働きがあり、発育促進の助けになるので、成長期のお子さんは積極的に摂取したほうが良い栄養素です。

つわり症状の緩和

妊娠すると、お腹の中の赤ちゃんを育てるためにたんぱく質代謝が促されるようになり、ビタミンB6が不足して嘔吐が誘発されると言われています。
そのため、妊娠初期にビタミンB6を積極的に摂取しておくことで、つわり症状の緩和が期待できます。

月経前症候群(PMS)の症状緩和

PMSの時期はビタミンB6とたんぱく質が不足しがちです。たんぱく質は女性ホルモンの素となるため、たんぱく質の代謝の際に使われているビタミンB6は、PMSの期間中は代謝がさらに促進されるからです。
また、ビタミンB6は神経伝達物質とも関係があり、ビタミンB6が不足すると、PMSの症状であるイライラ、怒りっぽくなる、情緒不安定などの症状が引き起こされていると言われています。そのため、ビタミンB6をPMSの時期に摂取しておくことで、その症状の緩和が期待できるでしょう。

こんな方におすすめ

ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助けます。
そのため、肌荒れや口内炎が気になっている方、たんぱく質を多く摂取する方などに適している栄養素です。

食事制限で摂取エネルギーが不足していると、体のたんぱく質やアミノ酸の分解・代謝が活発になるためビタミンB6の摂取が必要になるので、ダイエット中の方などはビタミンB6の摂取が適しています。
また、妊娠中の方は、さまざまな栄養素を普段より多く摂取する必要がありますが、ビタミンンB6は悪心・嘔吐(つわり)の症状を抑制するため、妊娠12〜20週の方には特におすすめです。

厚生労働省が設定している「日本人の食事摂取基準2020年版」[※1]によると、ビタミンB6の耐用上限量は、18〜29歳男性では55mg、30〜49歳男性では60mg 、50~69歳男性では55 mg 、70歳以上で50mg 、18~69歳女性では45mg、70歳以上の女性で40 mgと設定されています。
一日の摂取推奨量としては、18歳以上の男性で1.4mg、18歳以上の女性で1.2mgです。

考えられるリスク・
副作用

ビタミンB6は水に溶けやすいため、吸収・代謝が早く、必要量以外は尿として速やかに排泄されます。そのため、食物から過剰に摂りすぎることはほとんどないと言われています。
しかし、高用量のビタミンB6を1年以上にわたってサプリメントから摂取すると重度の神経障害を引き起こし、動作の制御を失うことがあります。これらの症状はサプリメントの使用を中止すれば解消するケースがほとんどですが、場合によっては完全には回復しないこともあるようです。[※2]

ビタミンB6を含む食べ物

ビタミンB6は、野菜類、穀類、魚介類、果実類、種実類などさまざまな食品に広く存在しており、多く含まれているものを組み合わせて食べることで、より効果的に摂取することができます。
また、水に溶けやすく、酸性の環境下で壊れにくいという性質を持っているので、炒め物や蒸し物にしたり、生のままサラダや酢の物にして摂取するのがオススメです。

ビタミンB6を多く含む食べ物(100gあたり) [※3] [※4]

・かつお(生)…0.76mg
・ごまさば(生)…0.65mg
・ししとう(生)…0.39mg
・バナナ…0.38mg
・いりごま…0.64mg
・玄米…0.21mg

一般的な食品スーパーなど身近なところで購入できる食品が多く、調理がしやすいものが多いため食品から摂取しやすいのが特徴です。

発見・研究の歴史

1934年にイギリス人科学者によって、ネズミの皮膚炎の予防因子として、その存在が初めて確認。
その後は酵母や米ぬかなどから抽出されるようになり、1938年にはビタミンB6の結晶化に成功したことを世界の5カ所の研究者らがほとんど同時に発表しました。
翌年には、R.kuhn、P.Gyoergyらによって、結晶化したビタミンB6化合物の化学構造が3−ヒドロキシ-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2-メチルピリジンであると発表。Kuhnは、このビタミンB6化合物を皮膚炎の予防因子という意味で『アデルミン』と名付けましたが、この名称は現在では使われていません。
その後、ビタミンB6活性を有する化合物がピリドキシン以外に複数存在することが、アメリカのSnellらによる微生物増殖因子に関する研究によって明らかになりました。[※5]

ビタミンB6に関する研究情報

【1】妊娠5〜11週の妊婦20人を対象に、1錠あたりビタミンB6を8.3mg、葉酸を133μg配合したサプリメントを朝昼晩に1錠ずつ、5日間摂取してもらい、その後4日間の観察期間中に、吐き気、食欲、嘔吐回数、食事回数などを毎日記録したところ、20名中14名につわり症状の改善が認められました。この結果から、妊娠初期におけるビタミンB6と400μgの葉酸等は、吐き気などのつわり症状に有効な方法であることが示唆されました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000011145.html

【2】体内循環しているホモシステインの濃度が高いと心血管疾患のリスクが高まるという関連があり、作為化対象試験で、ビタミンB6を含むビタミンBの補給がホモシステイン濃度を効果的に下げる可能性があることが示唆されました。
https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/ビタミン/ビタミンB6

※1「日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省」
(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586563.pdf )

※2「ビタミンB6|MSDマニュアルプロフェッショナル版」
( https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/09-栄養障害/ビタミン欠乏症-依存症-および中毒/ビタミンb-6)

※3「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット 公益財団法人長寿科学振興財団」
( https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html)

※4「バナナに含まれる栄養について|Dole」
(https://www.dole.co.jp/banana/nutrients/)

※5「いろいろなビタミンについての解説|日本ビタミン学会」
(https://www.vitamin-society.jp/wp-content/uploads/2019/10/kaisetsu20120220.pdf)

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