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ビタミンC

成分
10秒解説

ビタミンCは別名「抗酸化ビタミン」とよばれ、高い抗酸化作用をもつのが特徴です。コラーゲンの合成や鉄分の吸収、ストレスの緩和、発がん物質の形成抑制などの作用があります。水溶性で、野菜や果物、いも類、緑茶などに多く含まれているビタミンです。

こんなお悩み・健康効果に

  • 肌荒れ予防・解消
  • しわ・たるみ予防
  • しみ・くすみ予防
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • ストレス緩和
  • 貧血予防
  • 免疫力向上
  • 美肌
  • 血管性トラブル予防
  • エイジングケア
  • がん予防
  • 骨粗しょう症予防
  • 健康な骨の形成・骨の強化

ビタミンCとは

野菜や柑橘類に多く含まれている水溶性ビタミンで
高い抗酸化作用があります。

ビタミンCは活性酸素の害から体を守る高い抗酸化作用をもっており、ビタミンAおよびEとともに「抗酸化ビタミン」ともよばれている成分です。

細胞や組織間をつなぐ結合組織の主成分となるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンであり、健康な皮膚や骨、血管などを作るのに役立ちます。

そのほか、抗ストレス作用をもつ副腎皮質ホルモンの合成や鉄分吸収の促進、発がん性物質のニトロソアミンの形成抑制、免疫力の向上など、多様な役割を担っています。

ビタミンCは、水に溶けやすく熱に弱い性質をもっています。加熱や水さらしで5割近くが損失するため、効率よくビタミンCを摂取したい場合には、調理法へのひと工夫が必要。生食できない食材に関しては手早く加熱し、水にさらす際には最低限の時間にとどめるとよいでしょう。

また鮮度が落ちるにつれてもビタミンCが失われるため、新鮮な状態での摂食が推奨されます。例外として、じゃがいもに含まれるビタミンCは比較的失活しにくいことがわかっているので、ビタミンCの補給源としておすすめです。1ヶ月の室温保存でのじゃがいもビタミンCの損失量は15%程度とされています。[※1]

期待される効果・作用

エイジングケア

年齢を重ねるにつれて現れ始める、しわ、シミ、たるみなどのエイジングサインは、活性酸素が原因の一つとされています。活性酸素は、紫外線によっても増加するため、過度に浴びることで、シミやくすみにつながるメラニン色素を発生させるのです。また活性酸素が肌細胞にダメージを与えることによって、正常なターンオーバーができなくなります。その結果、乾燥、しわ、たるみなどが生じるのです。
ビタミンCは、抗酸化作用によって活性酸素から肌細胞を守るため、エイジングケアに役立つと期待されています。

美肌づくり

ビタミンCは、経口摂取する以外に、外用のスキンケア用品としても利用されています。
外用で用いるビタミンCは、リン酸と結合した「ビタミンC誘導体」での利用が効率的です。通常型のビタミンCは、安定性の低さ、水に溶けると失活する、肌吸収率が低いという性質上、外からのアプローチで皮膚内に効果を届けるのが難しいとされていました。しかしビタミンC誘導体とすることで、角質層への浸透率が高い、メラニン色素にピンポイントで反応する、活性が長時間持続するなどの性質に変化するため、より直接的なアプローチが可能です。ニキビによる色素沈着、メラニンの生成抑制および排出促進、皮脂分泌のコントロールなどの美肌効果が期待できます。[※2]

免疫力向上

ビタミンCは、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃する白血球のはたらきを強化することが知られています。加えて、十分量のビタミンCの摂取によって殺菌作用をもつ過酸化水素が生成されることも、免疫力向上につながっているようです。
またビタミンCは、結合組織の主成分であるコラーゲンの合成に関与しています。コラーゲンがしっかりと補充されることによって、細胞間の結合が強化されるため、感染症を引き起こす病原菌をブロックするはたらきが期待されています。

貧血対策

貧血の中でも、もっとも多いのは鉄分の欠乏によって生じる鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血は、赤血球に含まれるヘモグロビンが不足した状態を指します。ヘモグロビンは、鉄分を含む色素成分「ヘム」とたんぱく質が結合して構成されており、酸素と結びついて全身に供給する役割を担っている物質です。そのため体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの減少を招き、全身への酸素供給が滞ってしまいます。その結果、疲労感、頭痛、めまい、息切れなど、いわゆる貧血症状を引き起こすのです。
鉄欠乏性貧血の予防には、食事から十分な鉄分やたんぱく質などを摂取することが推奨されています。鉄分はビタミンCによって吸収率が高まることが確認されているため、ビタミンCは鉄欠乏性貧血対策に役立つことが期待されているのです。[※3]

抗ストレス作用

ビタミンCは、抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンの合成に関与しているため、ビタミンCをしっかりと摂取することで、ストレスに強い心身を保持することが可能です。ストレスの感じ方には個人差がありますが、心身にストレスがかかりやすい環境にある方は、意識してビタミンCを摂ることでストレスの緩和が期待できます。

がん対策

亜硝酸塩とアミン類が結合して生成されるニトロソアミンは、がん遺伝子やがん抑制遺伝子に作用して、がんの原因となる場合があります。ビタミンCはニトロソアミンの形成を阻害する作用をもっているため、亜硝酸塩やアミン類を含む食べ物とビタミンCをうまく組み合わせて摂取することで、がん対策効果が期待できるのです。[※4]

筋肉・血管・骨などの健康維持

ビタミンCは、細胞や器官の間をつなぐ結合組織の主成分であるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンです。体内のコラーゲンが充足することで、細胞同士のつながりが強化されるため、健康で丈夫な筋肉、血管、骨などが保持されます。

こんな方におすすめ

ビタミンCは、抗酸化作用、コラーゲン合成、鉄の吸収サポートなど、多様なはたらきをもつビタミンです。活性酸素ダメージによる、しわ・たるみなどのエイジングサイン予防や緩和、シミ・くすみなどの色素沈着の軽減といった、肌の健康を気にしている方や、免疫細胞の活性化による免疫力向上で健康を維持したい方、ストレスに負けない体を作りたい方、がんを予防したい方などにおすすめです。貧血の解消や対策をしたい方にも適しています。

また、ケガをした際の傷ややけどの回復、日焼けによる黒化反応の軽減を促す効果も期待できます。

厚生労働省が設定している「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、ビタミンCの摂取量に上限はなく、成人男女ともに一日あたり100mgの摂取が推奨されています。また、妊娠中や授乳中は新生児の壊血病予防や母体の貧血予防などの観点から、推奨量に加え、妊娠中10mg、授乳中45mgの付加量が設定されています。[※5]

考えられるリスク・
副作用

水溶性のビタミンCは、体内で使われなかった場合尿中に排出されるため、一時的に過剰摂取の範囲であればリスクが低い成分です。ただし、通常の食品以外から1g/日以上の摂取をすることで、吐き気・下痢・腹痛などの胃腸症状がみられる場合があります。
また、腎疾患を有する患者が数gのビタミンCを摂取した場合、腎シュウ酸結石リスクが高まることが示唆されています。[※5]

ビタミンCを含む食べ物

ビタミンCは、新鮮な野菜や果物、いも類、緑茶などに多く含まれています。鮮度が落ちるにつれて含有量も減少するため、新鮮な食材を利用するほうが効率よくビタミンCを摂取できます。

ビタミンCを含む主な食べ物(100gあたり)

・アセロラ(酸味種)…1700mg
・グァバ…220mg
・キウイフルーツ(黄肉種)…140㎎
・レモン…100mg
・赤ピーマン…170mg
・黄ピーマン…150mg
・芽キャベツ…160mg
・じゃがいも…28mg

ビタミンCは水に溶けやすく、加熱に弱いので、生食できるものはそのまま摂取するほうがビタミンCを無駄なく摂り入れることができます。加熱が必要な食材については、加熱や水にさらす時間を短くするような工夫をするとよいでしょう。[※1][※6]

発見・研究の歴史

ビタミンCは1850年頃、イギリス海軍での壊血病の流行がきっかけとなり注目され始めました。軍医のジェームズ・リンド博士が、柑橘類を食べている船員には壊血病の発症が少ないことを発見したのです。

それからしばらくは壊血病予防の有効成分が突き止められることはありませんでしたが、1920年にイギリスの生化学者ジャック・ドラモンドが有効因子の抽出に成功。その成分をビタミンCと名付けたのです。

1933年には、イギリスの科学者ウォルター・ノーマン・ハースによって、ビタミンCの構造式が解明され、アスコルビン酸という正式名称がつけられました。

以降はビタミンC合成が化学的に可能となり、現在では様々な分野に応用されています。

ビタミンCに関する研究情報

【1】繊維筋痛患者32名を対象とし、ビタミンC摂取を実施したところ、運動疲労による酸化ストレス上昇が抑制されました。この結果より、ビタミンCに抗疲労効果があることが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20666654/

【2】ヒト黒色腫細胞にビタミンCを作用させると、NO産生および誘導性NO合成酵素の阻害による、メラニン形成が抑制されました。この結果より、ビタミンCの美白効果が示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21656367/

【3】腎不全が動脈硬化の一要因と考えられることから、腎不全患者を対象として、ビタミンC投与による動脈硬化指標の変化を調査したところ、PON1、脂質過酸化、AGEsの低下がみられました。このことから、ビタミンCが動脈硬化予防に役立つことが示唆されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18194672/

参照・引用サイトおよび文献

※1「栄養の基本がわかる図解辞典(中村丁次 著)|成美堂出版」

※2「ビタミンC誘導体とは?|医療法人瀬戸内科医院」
(https://www.ddmap.jp/blog/0755010995/2013/08/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%EF%BD%83%E8%AA%98%E5%B0%8E%E4%BD%93%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F.html)

※3「貧血の予防には、まず普段の食生活を見直そう|厚生労働省e-ヘルスネット」
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html)

※4「がんを知る|島根大学医学部付属病院先端がん治療センター」
(https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/cancer/?p=21017)

※5【PDF】「日本人の食事摂取基準2020年版|厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会」
(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)

※6「日本食品成分表2020 七訂│医歯薬出版」

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