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しいたけ

成分
10秒解説

しいたけには食物繊維のほか、免疫力向上に役立つとされるβ-グルカンが含まれています。ほかにもコレステロール値を下げるとされるエリタデニンや、骨や歯の健康に役立つとされるビタミンDの前駆体エルゴステロールなどが含まれており、様々な健康効果が期待できる食材です。[※1]

こんなお悩み・健康効果に

  • 便秘予防
  • アレルギー症状緩和
  • コレステロール値を下げる
  • 感染症(インフルエンザ、風邪等)予防
  • 高血圧予防
  • 整腸
  • 免疫力向上
  • 血流改善・血行促進
  • 生活習慣病予防
  • 血管性トラブル予防
  • がん予防
  • 健康な骨の形成・骨の強化

しいたけの成分とは

免疫力アップ効果が期待できる
β-グルカンが豊富に含まれています。

しいたけに含まれている不溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンは、免疫細胞の活性化による免疫力の向上に役立つとされています。

免疫力が向上することにより、風邪やインフルエンザなどの感染症対策やがん対策、アレルギー対策などが期待できます。

きのこ特有のエリタデニンは悪玉(LDL)コレステロール値を低下させる効果が知られている成分です。しいたけには特にエリタデニンが多く含まれており、マッシュルームの100倍近い量を含有しているとされています。コレステロールの代謝がスムーズになることで血流がよくなり、血栓ができにくくなったり、動脈硬化や血圧の上昇を抑えたりするはたらきが期待できます。

また、骨や歯の健康を維持するために不可欠なビタミンDの前駆体であるエルゴステロールも豊富に含んでおり、摂取する前に日光に当てることでビタミンDが増加するため、効率的にビタミンDを摂り入れることが可能です。[※1]

期待される効果・作用

免疫力アップ

がんは遺伝子の突然変異がもとで発生しますが、キノコ類には野菜や果物と同じく、遺伝子の変異を防いでくれる効果があることが知られています。その中でもしいたけはとくにその効果が高いグループ(71%以上抑制)に含まれています。
また、しいたけに含有されている成分を精製して作られるレンチナンはβ-グルカンの一種であり、食用きのこから抽出された唯一の抗がん剤です。人間のがん臨床試験などを経て、1985年に厚生省の承認を得た臨床薬としても知られています。[※2]
このように、β-グルカンが豊富なしいたけを食べることで、免疫力アップが望めます。

コレステロール値・血圧の降下作用

しいたけに含まれるエリタデニンには、血中コレステロール値を下げる効果があります。また、同じくしいたけに含まれるアデノシンや4-アミノ酪酸などには血圧を下げる作用があることがわかっています。

骨や歯の健康維持

しいたけに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収率を高め、歯や骨を丈夫にしてくれる効果があります。
逆にビタミンDが不足すると、背中が曲がる、足の骨が変形するなどの「くる病」を発症することがあります。

便秘対策

しいたけには不溶性食物繊維が豊富に含まれており、整腸作用によって便通をよくする効果があります。また不溶性食物繊維は、ダイオキシンや水銀などの身体にとって有害な物質を吸着し、便として排出してくれるという効果もあります。
そのため、便秘改善だけでなく、肌荒れを予防したり、肥満防止やダイエットにも効果を発揮します。

こんな方におすすめ

しいたけにはβ-グルカンが豊富に含まれるため、免疫力をアップしたいという方にはぜひ日常的な摂取をおすすめします。

また、コレステロール値や血圧が気になる方は、キノコ類を摂取するならとくにエリタデニンが豊富に含まれるしいたけを選ぶことをおすすめします。

なお、しいたけに含まれるビタミンDは、骨や歯を丈夫にしてくれるだけでなく、近年では脳や皮膚をはじめ、心身の発達、免疫機能などにも重要な役割を果たしているとされています。そのため、成長過程の子供も意識して摂取するとよいでしょう。

β-グルカンとエリタデニンには、特別な摂取目安量や上限目安量は設定されていません。ただしβ-グルカンは不溶性食物繊維の一種のため、過剰摂取になると下痢や栄養分の吸収阻害のリスクに注意が必要です。
ビタミンDの目安量および耐容上限量は次の通りとなっています。

日本人の食事摂取基準(2015年版)においては、ビタミンDの1日の摂取目安量は18歳以上の男女ともに5.5㎍(マイクログラム)、耐容上限量は100㎍と設定されています。[※5]

■目安量とは、「一定の栄養状態を維持するのに十分な量」
■耐容上限量とは、「習慣的に摂取した場合に健康障害をもたらすリスクがないとみなされる上限量」[※3]

考えられるリスク・
副作用

しいたけに含まれる食物繊維は、一般的な食品からの摂取であればあまりリスクはたかくありませんが、サプリメントや健康食品など、食物繊維含有量が多い食品として摂る場合には、下痢や栄養分の吸収阻害が生じる可能性があります。

またビタミンDに関しても同様に、食材としてのしいたけではなくサプリメントや健康食品として利用する場合には過剰摂取に注意が必要です。ビタミンDの過剰摂取によっては、高カルシウム血症・腎障害・軟組織の石灰化障害などが生じやすくなります。

しいたけの成分を
上手に摂取するには

しいたけに含まれるエルゴステロールは、紫外線を浴びることでビタミンDに変化するため、食べる前に30分程度日光にさらすことでより効率的な摂取が可能です。干ししいたけを利用するのもよいでしょう。その場合は戻し汁にエリタデニンが溶け出しているため、戻し汁も捨てずに利用することをおすすめします。

また生のしいたけは、冷凍することで細胞壁が破壊されるため、栄養分が吸収されやすくなります。そのため、購入後すぐに食べない場合には冷凍保存が有効です。

他の食材との食べ合わせによっても、しいたけの栄養成分の利用効率が高まります。コレステロール値対策にはEPA・DHAを含む青背魚と、歯や骨の健康維持には動物性カルシウムを多く含む牛乳やチーズなどと摂取すると、健康効果がより期待できるでしょう。

発見・研究の歴史

生のしいたけを乾して食べるという方法は古代中国人が発見したと思われ、保存が効く上、乾すことでうま味が増すメリットもあります。

乾しいたけが日本へと渡来したのは弘法大師(774~835)が唐(中国)から帰国した時と言われていますが、真偽は不明です。

日本で乾しいたけが食べ始められた時期ははっきりとはわかっていませんが、中国の食文化が入ってきた9世紀頃ではないかと考えられています。

中国への日本産しいたけの輸出も、おそらくは同じ9世紀頃に始まったとみられていますが、当時はまだ野生のしいたけを収穫していたため、採れる量はごくわずかでした。

中国でもしいたけは収穫されていましたが、味や姿形などの品質面で日本産は高く評価され、日本で採れたしいたけのほとんどは中国へ輸出されていました。中国が苦労してわざわざ日本産を取り寄せるほど、食材としての魅力・貴重性があったと考えられています。

日本におけるしいたけ栽培の開始は、約400年前の江戸時代初期と言われています。当時の佐伯藩千怒の浦(現在の大分県津久見市)の源兵衛という人物が、炭焼き用の材木にしいたけが生えているのを発見し、これをヒントに人工的なしいたけ栽培を考案。その栽培法が大分県から九州一帯へと広がっていきました。

1800年代の終わり頃から栽培技術に変化が現れ、1900年代にはさらに新しい栽培技術がいくつも考案されました。
その後、高度経済成長期の自然健康食品ブームの際、しいたけのコレステロール値低下・血圧降下作用や抗がん作用など、数多くの薬効研究成果が注目を集めました。ほかにもビタミンDを多量に含み、骨や歯の健康をはじめ、様々な高い健康効果が期待できるとして、現在まで高い人気を誇る健康食材として定着しています。

しいたけの成分に関する研究情報

【1】健康な白人高齢者42名を2グループに分け、しいたけ抽出物(Lentinex)2.5mg/日、またはプラセボを6週間経口摂取した後、4週間のウォッシュアウト期間を経て、交互に6週間の経口摂取を行った実験によると、しいたけ抽出物を摂取したグループでは、免疫細胞のB細胞の増加が見られる結果が出ました。(NK細胞数は両グループとも増加)。これにより、β-グルカンを豊富に含むしいたけには免疫力をアップさせる効果があると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22164761

【2】高脂肪食ラットに、しいたけ粉末を6週の間7,20,60g/kg摂取させた実験によると、体重増加ならびに血中トリグリセリド、総脂肪量の増加が抑制されたという結果が報告されています。これにより、しいたけには肥満予防効果があると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22028957

参照・引用サイトおよび文献

※1 「からだのための食材大全(池上文雄ら)│NHK出版」

※2 「シイタケのはたらき│日本特用林産振興会」
(https://www.nittokusin.jp/kinoko/contents/health/kinoko_file/shiitake/shiitake.html)

※3 【PDF】「日本人の食事摂取基準2020年版│厚生労働省」
(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586555.pdf)

※4「千年の歴史をひもとく│日本産・原木乾しいたけをすすめる会」
(https://j-shiitake.com/sen-nen_no_rekishi/)

※5「ビタミンDの働きと1日の摂取量│健康長寿ネット」
(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html)

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