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イソフラボン

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成分
10秒解説

イソフラボンは、大豆などマメ科の植物に多く含まれている「フラボノイド」の一種。女性ホルモンと似た分子構造と働きを持つことで知られている注目の成分です。抗酸化作用を持つほか、加齢に伴うトラブルの予防などさまざまな効果が期待されています。

こんなお悩み・健康効果に

  • 生活習慣病の予防
  • 骨粗しょう症の予防
  • 女性ホルモン依存性がんの発症予防
  • 更年期障害の症状緩和
  • 美肌効果
  • 抗酸化作用によるアンチエイジング効果

イソフラボンとは

女性にうれしい効果を発揮する抗酸化物質

大豆などの豆類に含まれるフラボノイドの一種がイソフラボン。フラボノイドは抗酸化物質として知られる「ポリフェノール」の一種です。

イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」と分子構造が似ており「植物エストロゲン」とも呼ばれています。しかし、似ているのは分子構造だけではありません。エストロゲンと類似した作用を持つため、更年期障害の症状軽減や骨粗しょう症の予防などの効果があるとされています。

植物に含まれるイソフラボン類の多くは「配糖体」として存在しています。しかし、食品として摂取すると腸内細菌の働きなどにより糖部分が分離し、より強い作用を発揮する構造へ変化します。これを「アグリコン型イソフラボン」と言い、代表的なものに「ダイゼイン」「ゲニステイン」「グリシテイン」があります。[※1]

大豆そのもの以外にも豆腐、納豆、味噌などの大豆製品にも多くのイソフラボンが含有されています。

期待される効果・作用

生活習慣病の予防

女性の場合、閉経後に脂質異常症を発症しやすい傾向にありますが、これは加齢によるエストロゲンの分泌低下が関与しているからであることが報告されています。[※2]

脂質異常症を放置すると、動脈硬化を進行させ虚血性心疾患や脳血管疾患を引き起こす原因となります。そのため、エストロゲン様の作用を持つイソフラボンの摂取は、脂質異常症を予防し動脈硬化をはじめとした生活習慣病の予防につながると考えられます。

骨粗しょう症の予防

骨がもろくなり骨折しやすい状態になってしまうのが骨粗しょう症です。運動不足やカルシウム不足により発症しやすいと考えられている骨粗しょう症ですが、加齢によるエストロゲンの分泌低下も原因の一つとされています。

イソフラボンの摂取と適度な運動の併用により、骨密度の低下を抑制し骨粗しょう症の発症を予防する効果が期待されています。[※3]

女性ホルモン依存性がんの発症予防

女性ホルモンに関連する乳がん、子宮体がん、卵巣がんによる死亡率は、大豆摂取量の多い地域で少ない傾向にあり、これは大豆イソフラボンと関係があると考えられています。[※5]

更年期障害の症状緩和

女性ホルモン・エストロゲンの不足により及ぼされる更年期障害の症状には「のぼせ」「ほてり」「めまい」「耳鳴り」などがあります。[※4]

イソフラボンにはエストロゲン様の作用があるため、不足した女性ホルモンの代替物質としてこれらの更年期障害の症状緩和が期待できると考えられています。

美肌効果

加齢に伴う女性ホルモンの減少により、シワが増えたり肌の弾力が失われたりすることがあります。イソフラボンを摂取することで、シワなどの加齢による肌の症状を改善させる効果が期待できます。

抗酸化作用によるアンチエイジング効果

イソフラボンはフラボノイドの一種で、抗酸化作用を持つ成分としても知られています。そのため、体内で過剰発生した活性酸素の働きを抑えたり除去したりする働きがあるため、細胞の老化防止にも役立つと考えられます。

こんな方におすすめ

イソフラボンは、特に40代以降の女性で、閉経による脂質異常症の発症が心配な方、更年期障害の症状を予防したい方や現在現れている症状を緩和させたい方などにおすすめであると言えるでしょう。

また、婦人科系のがん予防の対策を考えている方、肌の衰えが気になる方に対しても、意識的に摂取することで効果が期待できる可能性があります。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、イソフラボンの食事摂取基準は設定されていません。

しかし、厚生労働省の要請により食品安全委員会が行ったイソフラボンの食品健康栄養評価(リスク評価)では、以下のような目安が設定されました。[※6]

  • 日常的な大豆イソフラボンの安全と考えられる1日摂取目安量の上限:70~75mg(アグリコン型として)
  • 特定保健用食品(トクホ)としての大豆イソフラボンの安全な1日上乗せ摂取量の上限値:30mg(アグリコン型として)

これは、日本人が通常の食生活で大豆製品を日常的に摂取していることを考慮しつつ、イソフラボンの過剰摂取を防ぎ安全に摂取するための目安量です。[※6]

イソフラボンにはさまざまな効果が期待されている一方で、サプリメントなど成分が濃縮されたものからの摂取では、乳がんの発症・再発のリスクを高める可能性があるという報告もあります。[※7]

また、妊娠中の方や乳幼児、小児については科学的に十分なデータがないため、イソフラボンをサプリメントとして日常的な食生活に上乗せして摂取することは推奨できないとしています。

通常の食事からのイソフラボンの摂取に関しては、健康な状態の人においては安全性が高いとされています。サプリメントなどから必要以上に摂取することは避けたほうが良いということになるでしょう。

考えられるリスク・
副作用

通常の食生活におけるイソフラボンの摂取に関しては、副作用や健康被害の報告はないようです。しかし、サプリメントなどから摂取する場合については、妊娠中の方は胎児の発育に影響する可能性がある、子宮を刺激する可能性があることから大量摂取は避けるべきであるとされています。

また、乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモンに感受性が高い状態にある女性も、腫瘍を増加させる可能性があるためサプリメントの利用は避けたほうが良いでしょう[※7]。

イソフラボンを含む食べ物

イソフラボンは、マメ科の植物や大豆製品のほとんどすべてに含まれています。

普段食品として摂取する、代表的な食品の100g当たりのイソフラボン平均含有量(アグリコン型イソフラボンとして)は以下のとおりです。[※8][※9]

  • 大豆   140.4mg
  • 煮大豆  72.1mg
  • きな粉  266.2mg
  • 豆腐   20.3mg
  • おから  10.5mg
  • 納豆   73.5mg
  • 醤油   0.9mg
  • 味噌   49.7mg
  • 豆乳   24.8mg

近年、食品から摂取された大豆イソフラボンと腸内細菌によって産み出される成分「エクオール」が注目を集めています。エクオールは、イソフラボンの効果をより効率的に摂取できる成分ですが、誰にでも作れるわけではなく、「エクオール産生菌」なる腸内細菌が関係していると言われています。そのため、エクオールを効率的に取り入れるためにはサプリメントで摂取したり、エクオール産生菌と関連のある乳酸菌を意識的に摂取したりするのも良いでしょう。

また、エクオール産生には腸内環境を整えることも必要です。エクオール産生菌が腸内で活発に働くためには、多様な腸内細菌が必要であるとも言われています。そのため、腸内細菌の「エサ」となる食物繊維を多く含む食品(プレバイオティクス)を積極的に摂取することも重要であると言えるでしょう。[※10]

発見・研究の歴史

大豆イソフラボンの存在自体は1930年頃から知られていましたが、構造や機能性の研究は、世界中から注目されるようになる1990年頃から急速に進められたと言われています。そのきっかけとなったのが、NCI(米国立ガン研究所)が中心になって進める、食品と食品成分の抗がん効果研究「デザイナーズ・フード・プログラム」。このプログラムにおいて、抗がん効果のある食品として大豆がリストアップされたことで注目を浴びたのです。[※11]

このように、世界各国でイソフラボンの研究が進められ、大豆の食経験が豊富な日本人の食生活が脚光を浴びるようになりました。近年では、より強力な作用を発揮することで知られるエクオール(イソフラボンが腸内細菌によって代謝されることで作られる物質)にも注目が集まっています。

イソフラボンに関する研究情報

【1】イソフラボンは閉経モデルラットの軟骨編成を抑制する
https://www.fujicco.co.jp/corp/upload/rd_20150421.pdf

【2】イソフラボンは更年期移行期および閉経後早期のほてりおよび気分、睡眠、痛み、および認知機能などを大幅に減少させました
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24951101/

【3】イソフラボンの継続的な摂取は閉経後の骨粗鬆症を阻害する可能性があります
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12480802/

【4】大豆イソフラボンは中年女性の肌のシワや弾力の改善に役立ちます
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17484381/

【5】大豆タンパク質(少なくとも20 g)とイソフラボン(少なくとも80 mg)を5週間食事摂取すると、高リスクの中年男性の心血管疾患リスクを軽減するのに効果的です
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14963058/

参照・引用サイトおよび文献

※1 豆の主な機能性成分 | 公益財団法人 日本豆類協会
(URL: https://www.mame.or.jp/eiyou/kinou.html

※2 女性の健康に関する栄養|更年期以降|大塚製薬
(URL: https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/womens-health-and-nutrition/menopause/

※3 【PDF】大豆製品の有効性 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 石見 佳子
(URL:https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/5thsympo/ishimi_24feb04.pdf

※4 女性の健康編 更年期障害と大豆たん白質|大豆たん白質の健康知識|大豆で健康|不二製油株式会社
(URL:https://www.fujioil.co.jp/healthy_soy/know/10/index.html

※5 イソフラボン研究とがん予防|公益財団法人不二たん白質研究振興財団
(URL:https://www.fujifoundation.or.jp/review/review2004_04.html

※6 【PDF】大豆イソフラボン 食品安全委員会
(URL: http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/sousyuhen.data/09.pdf

※7 イソフラボン|国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
(URL: https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail832.html

※8 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A | 食品安全委員会
(URL: https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html

※9 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A 農林水産省
(URL: https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_daizu_qa/

※10 第33回日本女性医学学会学術集会にて、「エクオール産生能と腸内細菌叢および、食習慣、生活習慣関連因子についての検討」を発表 | 研究発表 | エクオール | AMC健康成分ラボ
(URL: https://www.amcare.co.jp/amc_labo/equol/publish/publish_20181201.html

※11 イソフラボンってなに?|イソフラボンのチカラ|研究開発|フジッコ株式会社
(URL: https://www.fujicco.co.jp/corp/rd/isoflavone/section1/

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